乳滴/2024年7月20日号
戸数急減、緊急対策を
政府は補正予算を念頭に物価高対策の第2弾として秋の経済対策の中で、飼料高騰対策を講じる方向にある。生産現場からは一刻も早く、令和5年度に実施された購入飼料費コスト上昇対策(1頭当たり都府県1万円、北海道7200円)のような緊急対策が必要だとの強い要望が挙がっている。
というのも酪農家戸数が急減しているからだ。コロナ禍前の令和元年度以降の5年間で実に約3千戸が酪農から離れた。指定団体への出荷戸数は、直近公表時(5月時点)全国では、前年比5.6%減の1万173戸。次回6月分では、全国で1万戸の大台を割る恐れがある。
政府は、政策的指標として生乳生産や飼養頭数の動向に重きを置いてきたが、生産現場では酪農家の点在化によるひずみが大きくなっている。
例えば、集送乳や酪農ヘルパー事業、組合の管理運営等々、年々戸数や生産量が減少し厳しさが増している。酪農家からも「機械が故障しても修理に来てくれず、買い替えを勧められるが、2倍近い値上がりだ」「分娩監視装置を入れたが、初回以後の指導は、オンライン通信を利用したものとなった」等々。
酪連等のトップからも「更に点在化が進めば、酪農サプライチェーンが切れてしまうのではないかと懸念している」という声が挙がる。