乳滴/2024年8月1日号
人を惹きつける仕事
本紙7月20日号の畜産統計の記事(酪農家2年連続大幅減)が胸に重く残る。新型コロナ、ウクライナ侵攻、円安等で配合飼料・エネルギー費は高騰。厳しい状況はいつまで続くのか。
一方、先日名古屋で開かれた全国酪農青年女性酪農発表大会。経営発表、意見・体験発表、各部門の最優秀賞受賞者は、第三者継承で既存の酪農場を引き継いで就農したという共通点がある。
酪農家生まれの筒井さんは、実家とは別の牧場に就農。非農家生まれの牧之瀬さんは勤め人からの転身だ。それぞれ酪農に魅力を感じて、地元の仲間・組織、家族の支援を得ながら就農を果たした。2人は「酪農家になりたいという若者の役に立ちたい」(筒井さん)、「新規就農はハードルが高いが、それを超えてでもやってみたいと思ってもらえるよう自分の背中を見せていきたい」(牧之瀬さん)といい、酪農に興味を持っている人たちに前向きなメッセージを発信している。
経営安定と収益確保が前提にはなるものの、草食・反芻動物である乳牛を中心にした酪農の営み、草から豊かな牛乳乳製品を産み出す仕事には、人を惹きつけるものがある。世界情勢、時代の趨勢は混とんとしているが、食べ物を生産する仕事は決してなくならない。