乳滴/2025年2月20日号
無視できない「塩害」

国連食糧農業機関(FAO)は世界の陸地の約1割、13億8100万㌶が塩害の影響を受けていると分析している。オーストラリア、アルゼンチン、カザフスタンが主な地域。世界的に塩害が拡大する背景として、気候変動に伴う干ばつや永久凍土の融解に加え、海面水位の上昇などが挙げられ、今後も塩類化が進みかねないと警鐘を鳴らしている。
日本の耕地面積が約430万㌶なのでその規模の大きさは計り知れない。
日本国内では気象変動による食料減産リスクとして夏場の猛暑による作物の不作や生乳生産量の減少などが注目されているが、世界的に見れば日本の耕地面積の300倍以上の「塩害」は無視することは出来ない。米国一強の時代も終わり、地政学リスクも頻発しており、世界の食料供給への不安が更に深まって行くことを感じる。
2025年度は改正食料・農業・農村基本法に基づく新たな基本計画の初年度となる。
我が国の食料安保も待ったなしの状況である。江藤拓農相が今年初の閣議後の会見で「今年は農政の大転換期の年にならねばならない」と強調された。
穀物や牛乳・乳製品を含む動物たんぱくの自給率が向上され、農業者が未来を描けるような施策を強く期待したい。