乳滴/2024年9月10日号
コメ値上げは不可避
この夏コメが品薄になった。
要因はいろいろ言われている。▽昨年の猛暑で1等米が減り精米後の歩留が減った▽8月8日の日向灘地震後の買いだめ▽インバウンド需要等、だ。すでに各地で新米収獲が進んでおり騒ぎは収束しつつある。
ところで日本のひとり当たりコメ年間消費量は50.9㌔(農水省、22年度)でひと月にすると約4㌔強。サンプル数は少ないが職場の聞き取りでは平均的な世帯購入量はひと月5㌔を成人2~3人で消費(子どもがいると増える)するようだ。農家としてはもっと食べてほしいが、家庭外で調達する中食(なかしょく)や外食もあるのでこんなところか。
一時的でも需給ひっ迫が話題になり、生産者米価値上げの情報がある中で「稲作の大規模化が急務、主食であるコメはもっと安く」という論調が出始めている。面積については高齢小規模農家の引退で農家当たりの面積は徐々に増えている。米価については農機・肥料代が高騰。例えばわが家の今年の肥料代は21年と比べ1.3倍に値上がりした。店頭に並ぶまでの流通経費も当然上がっており、小売価格値上げは避けられまい。
とにかく買いたくても買えない事態は突然やってくるとあらためて分かった。食の安全保障は案外身近な問題なのだ。