乳滴/2024年10月1日号
恐ろしい線状降水帯
能登で再び自然災害が発生した。行方不明者の救出と被災地の安全確保に、政府は全力で取り組んでほしい。珠洲市では停電、交通寸断で搾乳・出荷が出来なくなった。続く被災に胸が痛む。
朝の空気が少し涼しく感じられた土曜(9月21日)の朝。バケツと鎌を手に畑を巡回しながらスマホで天気予報を確認すると、能登半島に線状降水帯を示す赤い楕円が描かれていた。珠洲市から輪島市にかけての日本海沿い、国道249号に沿う形で豪雨が観測されていた。
正月の大地震からの復旧作業のなかでの災害。土砂・流木が流れ込んだ農地や泥流にのまれ泥だらけになった農機の映像も、所有者の気持ちを想像していたたまれなくなる。
温室効果ガスによる温暖化の影響なのか、ほぼ同じ時期に、欧州中部から東部にかけて低気圧「ボリス」が大水害をもたらした(BBC.com9月16日)。米国南東部ではハリケーン「ヘレン」で100名以上が死亡(ニューヨークタイムズ、9月30日)。農地の浸水被害は食料供給の不安定化に直結する。天候不順が世界的な傾向とすれば、やはり食料は自給を基本とすべきで、そのために食料生産基盤は維持しなければならない。農業被害のいち早い復旧に、新しい首相の指導力を期待する。