乳滴/2024年4月10日号
担い手層ですら雷雨
数々の酪農関係の受賞歴のある優れた牧場経営者でさえ「広がる網目から(下に落ちて離農しないよう)必死になってしがみついている」と語っていたことを知った。「このままでは取り返しがつかなくなるのでは」と背筋が寒くなった。一度、酪農経営から離れて再び戻ってくるケースは、ほとんどない。生産コストは高止まり。複数回の生産者乳価の引き上げでもカバーできていない現状にある。
日本政策金融公庫が融資先の担い手農業者を対象にした農業景況調査でも酪農は「良くなった」とする回答から「悪くなった」を差し引いた指数(景況DI)が、北海道、都府県ともに20~21年を境に急激に悪化。マイナス幅が跳ね上がり、2022年は80台、23年50台と雷雨状態で推移してきた。日本酪農の今後を担う層ですら、この実態では問題は大きすぎる。
従来から「後継者不在、小規模、展望が見えない」などと離農していったが、そのペースが近年の1.5倍から2倍近くに速まった。指定団体別の生乳出荷戸数は、直近2月では前年同期比6.1%減の1万382戸。1万戸の大台割れが近づいている。年度初め以降の第1四半期は例年、離農者が多くなる傾向にある。
2024年の見通しでは改善予想だが、実績がその通りになるか心配である。