全酪新報/2024年7月1日号
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「バターの輸入枠数量約4千㌧拡大、1万4千㌧に」――今年度の国家貿易、安定供給と需要維持へ判断

2024-07-01

農水省は6月26日、今年度の国家貿易による乳製品輸入について、バターの輸入枠数量を今年度の輸入予定数量約1万㌧に加えて4千㌧拡大すると発表した。昨年の猛暑の影響でバター在庫が前年より減少したことから、今年も猛暑となった場合でもバターの安定供給や需要を維持できるよう設定したもの。枠を確保した上で需給動向によっては拡大分を調整して対応する。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

お断り=本記事は7月1日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「小売業者等の意見を聴取、適正な価格転嫁には消費者への情報発信が重要」――農政審・畜産部会

2024-07-01

農水省は6月25日、省内で食料・農業・農村政策審議会畜産部会を開き、小売業者等から意見を聴取した。このうち、牛乳・乳製品を取り扱う小売業者からは、価格改定の必要性について消費者の理解も一定程度浸透している一方、適正な価格転嫁には消費者へ適切な情報発信を図っていくことが重要だという意見も上がった。


会合では、イオングループにおいて関東から中国・四国に展開する、イオンリテール㈱の青木郁雄デイリーフーズ商品部部長が、小売の立場から牛乳・乳製品市場の現状と課題を説明した。同部長は直近の自社と市場の牛乳・乳製品の販売動向について、「23年度は(これまでの2回の価格改定で)売上としては好調だが、問題は販売点数。単価が上がっている分(ほとんどのカテゴリーで)低下し、伸び悩んでいるのが小売業における課題」と指摘した。一方、自社の牛乳においては、近年の単身者の増加や、大容量(1㍑)からのシフトを要因に、中容量タイプ(500㍉㍑)が伸長していることを紹介した。


また、近年のコスト高騰を踏まえた価格転嫁への消費者理解について「昨年8月の改定の後は1回目ほど点数の急激な落ち込みはなかった。一定程度、コスト上昇に対する価格転嫁の必要性について、消費者にも理解が浸透している」と述べた。


その上で適正価格について「ただ、牛乳にはライバルの飲料も多いので、コスト上昇分は適切な価格へ転嫁し、それを消費者にしっかり理解していただけるよう、丁寧に伝えていけばいいのではないか。ただ、適正価格を一様に消費者へ説明するのは非常に難しい。様々な消費者がいることを認識し、そのお客様に向け正しい情報を正直に発信していくことが必要だ」と話した


このほか、会合では、小椋茂敏委員(北農中副会長)は「一昨年、昨年と乳価値上げ後もコスト上昇は続き、当然その分も価格転嫁しなければ我々生産者は経営ができない。ただ、価格転嫁を行うと店頭価格、売価も上がる。値上げによる消費動向、消費者の価格転嫁への認識を伺いたい」と意見をのべた。

「全酪連、7~9月期の配合飼料価格1㌧2750円値上げ」――円安が影響

2024-07-01

全酪連はこのほど、2024年7~9月期の牛用配合飼料価格を前期(4~6月)価格から1㌧当たり2750円値上げすると発表した。また、哺育飼料価格も為替相場の変動が影響し、㌧当たり3万5千円値上げする。


米国農務省が3月28日に発表した需給見通しで、米国産トウモロコシの作付面積見通しが事前予想を下回ったことや、米国産地で降雨による作付遅延懸念などから上昇し、3月の440㌣/㌴前後から6月は450㌣/㌴前後で推移。大豆粕は5月初旬に発生したブラジルでの洪水による生産量減少懸念などにより相場が上昇し、3月の370㌦/㌧から6月は400㌦/㌧前後で推移している。


海上運賃は2月に50㌦/㌧台後半で推移していたが、中国向けの石炭輸送需要が増加したことや、中東情勢の緊迫化を受けて原油相場が高騰し、3月には65㌦/㌧前後まで上昇した。その後、石炭向けの船腹需給が緩和したこと等から、現在は60㌦/㌧前後で推移。今後、南米産とうもろこしの輸送需要が本格化するものの、船腹需給の緩和等から現行水準で推移する見込み。


配合飼料価格をめぐっては、6月21日にJA全農が全畜種総平均で1㌧当たり約2200円値上げ、ホクレンは2250円値上げを決定した。

「全酪アカデミー修了生2組が都府県で就農」――24年度は1組が福岡で就農予定

2024-07-01

新規就農を志す担い手の確保・育成を支援する一般社団法人全酪アカデミー(理事長=北池隆全酪連専務)は6月14日、酪農会館で第4年度定時社員総会を開催。24年度事業計画等が原案通り承認された。昨年は、全酪アカデミー修了生2組が就農し、24年度は1組が福岡県内で新規就農する見込み。


総会開催にあたり、北池理事長は「酪農への新規参入が課題となる中、アカデミーからの就農者の誕生は、とても大きな成果だ。昨年の2組の就農により、(アカデミーとしても)ある程度手法は固まってきたが、より効率的・効果的な方法にブラッシュアップをかけ、酪農の新規就農者の育成にできる限り貢献できるよう努めていく」と意欲を述べた。


23年度は、賛助会員等の連携・協力のもと、就農候補地の視察や譲渡を希望する酪農家との協議、就農までの資金計画・事業計画支援などを実施。これら取り組みを通じて9月と11月にアカデミー発足後初となる就農者2組が誕生した。


24年度は、引き続き賛助会員等と連携し、契約農場や就農候補地の情報収集と確保を進めるとともに、営農計画の策定や青年等就農計画の作成支援、関係者との協議の実施など研修生の円滑な就農に向けたサポートを行う。


さらに、新たに酪農ヘルパー全国協会とも協力し、情報提供を通じた一層の人材発掘を推進。畜産系の大学や動物系専門学校等が開催する企業説明会にも積極的に参加する。今年度は、2組3名の研修生の採用を計画中。また、修了生によるOB会を結成するほか、賛助会員と連携し、酪農家の子どもを対象とした教育イベントを実施。酪農の魅力発信と人材発掘につなげる。


北池理事長は24年度事業について「酪農人材の確保といったことで言えば、『酪農後継者(酪農家)』の確保だけでなく、『牧場従事者』の確保も業界として厳しい状況。アカデミーでは牧場従事者の育成も定款に掲げており、酪農ヘルパーも含め、(酪農に携わる)全ての人材を育成できる方法や仕組みについても検討していく必要がある」と述べた。


全酪アカデミーの6月19日現在の賛助会員数は39会員、特別会員数は7会員。契約農場は北海道1農場、栃木県2農場、愛媛県1農場、福岡県1農場、熊本県2農場、宮崎県2農場、鹿児島県1農場。


現研修生の近況報告


総会終了後、坂本敬太郎事務局長が現在研修中のアカデミー研修生の近況について報告。「2期生の佐々木雄太さん・真理子さんは11月以降、福岡県での就農を目指している。さる5月には青年等就農計画の承認を受け、現在認定新規就農者として、就農のための資金融資の申請手続きを進めている。3期生の前田ヴィオリスカさん・達弥さんは、就農候補地を鹿児島県に定め、現在研修中であり、県や地方行政と、就農に向けた補助事業等を相談している」と説明した。


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「全酪アカデミー修了生とウェブで懇談、近況説明などを笑顔で報告」

2024-07-01

総会後には、会場と昨年全酪アカデミーを卒業した小久保海さんと髙橋帆乃佳さん・純真さんの牧場をウェブで繋ぎ、近況を説明。ともに先代経営者、所属組合をはじめとする関係者の協力・支援のもと、日々頑張っていることを笑顔で報告した。


昨年9月に熊本県阿蘇市で就農した小久保さんは「毎日様々なこと、色々なトラブルも起こるが、家族や従業員と一緒に頑張りながら、しっかりと利益も残すことができている。全酪アカデミーはじめ、関係者の皆様のお力添えもあって酪農家としての自分があると思っており、これからも頑張っていくので、引き続きサポートをお願いしたい。この素晴らしい全酪アカデミー事業がさらに発展し、より多くの就農者が生まれることを願っている」と述べた。


髙橋帆乃佳さんは夫の純真さんとともに、昨年11月に福島県塙町で就農。「トラクターの横転事故、乳量の激減等のトラブルもあったが先代の佐藤勝さん、全酪アカデミー、全酪連、福島県酪農協、地域の方々のお力添えもあり順調に経営できている」と説明。その上で「4月には第1子も産まれた。なるべく佐藤さんの立派な経営状態を維持しながら、夫と子どもとともに、これからも酪農生活を続けていく。良い報告ができるようこれからも頑張っていきたい」と抱負を語った。

「全国酪農協会、海外酪農視察研修5年ぶり実施へ」――常務理事に岡田征雄氏を選任

2024-07-01 7月1日号記事6_砂金会長近影

全国酪農協会(砂金甚太郎会長)は6月25日、都内で第79回通常総会を開き、2023年度事業報告及び決算、24年度事業計画及び予算等を原案通り承認した。本総会をもって三国貢常務理事、大久保克美理事が退任。総会後の理事会で岡田征雄氏(前全酪連総務部長)が常務理事に選任された。(右:砂金会長)


総会の冒頭、砂金会長はあいさつで「家族型酪農経営と大規模経営のバランスの取れた発展、全国各地に多様な酪農経営があることが牛乳・乳製品の安定供給につながる。本総会を機に、心を新たに会員や役職員とともに頑張っていきたい」と意気込みを示した。


全酪協会は24年度、事業の柱のひとつである酪農共済事業において新たな保障制度の準備を進める。また、海外酪農視察研修「第28回ロイヤルウインターフェア視察とカナダ酪農視察研修6日間」を5年ぶりに実施(11月5日~10日)するほか、「酪農共済優待旅行シンガポール4日間」を実施(25年1月16日~19日)する。


来賓あいさつに立った全酪連の隈部洋会長は「協会との事業連携のひとつ、新規就農を支援する全酪アカデミーの修了生が昨年度、熊本県と福島県で新規就農することができた。都府県で新規就農者2組が誕生したことで、事業の重要さが改めて認識された。もうひとつの大きな取組として、協会とは昨年、事業協力・組織運営効率化協議会を立ち上げた。酪農組織の果たす役割がより重要になっている中、お互いの機能を最大限発揮するためにも協議を加速させてまいりましょう」と述べた。


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連絡先・MAP

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所在地 〒151-0053
東京都渋谷区代々木1-37-2
酪農会館5階
電話番号 代表(総務部):03-3370-5341
(業務部・共済制度)
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(指導部・全酪新報編集部)
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