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全酪新報/2026年9月10日号
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「畜産クラスター事業の収益性向上や経営の持続性向上など継続支援、従来事業の利用感維持」――2027年度当初予算概算要求

2026-09-10

27年度予算概算要求では畜産クラスター事業を含む「畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業」に547億1千万円を計上(既報)。事項要求としても求めていく。このうち畜産クラスター事業については、収益性向上や経営の持続性向上等を後押しするメニューなど、支援内容や成果目標等は25年度補正より大きな変更はない(表)。事務手続きも含め従来のスケジュール感から大きく変わらないよう進める。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

9月1日号記事1_画像

お断り=本記事は9月10日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

27年度機構・定員要求で飼料増産推進室設置へ」――農水省

2026-09-10

農水省は8月31日の26年度概算要求と合わせ、機構・定員要求を公表。農業構造転換の推進、作物ごとの生産性向上等への支援に向けた体制強化として、畜産局飼料課内に飼料増産推進室(仮称)を設置する意向を示した。国産飼料の生産性向上を通じ、畜産経営の安定化を支援する。


農業の構造転換関連ではまた、地域計画の継続的な見直しに取り組む市町村への伴走支援の強化、農地集約化の取り組み推進へ、経営局農地政策課内に地域計画・農地集約化推進室(仮称)を設置。中山間地域対策や共同利用施設の再編合理化、輸出産地の育成、官民共創の推進など、構造転換推進へ地方機関を含めた体制強化も図る。

「熊本の酪農復興へ支援金募集中、11月10日まで」――中央畜産会

2026-09-10

熊本地震により被災した畜産農家や酪農家の復興へ、中央畜産会は9月10日より支援金を募っている。支援金は熊本県畜産協会により配分等を決定し、県内の酪農・畜産農家及び畜産関係者へ届けられる。募集は11月10日まで。


募集金額は法人の場合1口5万円で2口以上から。個人の場合、1口3千円以上。専用の様式に記入・申し込みの上、下記の口座に支援金を振り込むことで協力できる(振込先口座など詳細は中畜のホームページまで)。


「熊本県酪農協と大矢野地方酪農協が令和9年4月1日より合併へ」

2026-09-10

熊本県酪農業協同組合連合会(隈部洋会長)は9月1日、熊本市のらくのうマザーズ会議室で、大矢野地方酪農業協同組合と熊本県酪農業協同組合の2027年4月1日の合併に向けた合併予備契約調印式を開催した。2組合の9月1日現在の生乳出荷戸数は79戸で、熊本県酪連全体346戸の22.8%を占める。25年度生乳生産量は約7万6441㌧で、県酪連全体24万5672㌧の31.1%に当たる。


調印式では、大矢野地方酪農協の水野幸也組合長と熊本県酪農協の山本健二組合長が合併予備契約書に署名・捺印。合併後、大矢野地方酪農協は天草出張所となる予定。


挨拶した山本組合長は「大矢野地方酪農協と熊本県酪農協が一つとなり、天草地区の基盤強化につながることを期待している」と述べた。その上で「熊本県酪農協は4月に6組合が集約してスタートし、少しずつ基礎固めを進めている。生産者の減少は今後も危惧され、県内の組織整備は必要不可欠。本県組織整備の最終型をより早く迎えたい」とさらなる組織整備への意欲を示した。


熊本県では、1994年に「一県一酪農協づくり」を掲げて以降、酪農専門農協の組織整備を進めてきた。今年4月には県内10組合のうち早期合併が可能な6組合が合併し、熊本県酪農協が発足。今回の2組合合併により県内酪農組織のさらなる基盤強化を図る。


「経営支える乳用牛改良、生産基盤の維持発展に」――第2回


農水省畜産局畜産振興課
松永知美課長補佐

2026-09-10

8月20日号に続き本欄では、農水省畜産局畜産振興課の松永知美課長補佐(家畜改良推進班)に解説いただいた内容を紹介する。今号のテーマは「乳用牛改良における種雄牛の役割と我が国における改良の必要性」。国内の飼養環境に合った改良や、安定的な精液等の供給体制を維持していく必要性について説明いただいた。


飼養環境に合った国産精液を、安定的な供給体制の維持必要


それでは、優良な雄牛であればどのようなものでもいいのでしょうか。近年では、物流の活性化、輸送技術の高度化により北米をはじめとする様々な国から精液の輸入が可能になりました。【図1】にあるように、輸入精液の利用割合は徐々に増加し、直近では64%程度となっています。海外の高い能力の精液を利用したことにより飼養管理が容易な牛群に転換されたとの話を聞くこともあります。このような中、輸入精液の利用に偏っていくこと、我が国の乳用牛の種(遺伝資源)を海外に委ねていくことは本当に問題ないのか、改めて皆さんに考えていただきたいのです。


「飼養環境」が乳量などの実際の成績に影響を与えることを前述しましたが、それぞれの国における牛の遺伝的能力の改良は、気候条件や飼養環境、ニーズを踏まえて行われています。我が国が牛1頭当たりの生産性を重視するため乳量の改良を重点的に行ってきたように、飲用乳ではなく乳製品への仕向けが多い国では、乳量より乳成分に重点を置いた改良を推進していると考えられます。また、それぞれの国の飼養環境は異なりますし、それぞれのニーズに即して遺伝的能力評価とその結果に基づいた改良が行われているのです。


冷涼な環境で高い能力が発揮される乳用牛の遺伝資源が、高温多湿の、環境の異なる日本に輸入されたとしても、それを活用して生まれてきた後継牛が、北米で発揮するのと同じように我が国で能力を発揮できるとは限らないのではないでしょうか。


また、諸外国における遺伝的能力評価は、形質によっては国ごとに評価方法や定義が異なる場合もあり、日本と各国の遺伝相関が全く同じになることはありません【図2参照】。言い換えれば、諸外国の評価値そのものが、日本において同等の評価値に置き換えられるわけではないということです。


アメリカの選抜指数であるNM(ネットメリット)での評価値を、日本での総合評価(※1NTP)に置き換えてほしい、と相談されることがあります。アメリカの評価値は冷涼なアメリカで乳用牛を飼養して、アメリカのニーズに合致した乳用牛となるような指標です。高温多湿な日本の環境において、ネットメリットの評価値が日本における乳用牛の能力の発現とイコールにはならないのです。


もう少し掘り下げて、具体的な形質にフォーカスして考えてみたいと思います。近年、北米の遺伝的能力評価において疾病に関する評価値が算出されたことから、輸入精液の利用に興味を持たれた酪農家の皆さんもいらっしゃるのではないでしょうか。ただ、海外での疾病抵抗性の評価値をそのまま日本の能力評価として置き換えるのは難しいと思われます。理由は、疾病の状況や要因が日本とは異なることに加え、一部の国における疾病の評価は、酪農経営の自己申告によるデータを基に算出されているとの情報もあり、データの偏りや報告漏れなどの誤差の流入が懸念されるからです。


他方で、我が国でも2025年8月から疾病抵抗性の遺伝的能力評価が開始され、さらに2026年2月からNTPの評価形質に疾病抵抗性が組み込まれました。これにより、泌乳能力と体型をバランス良く改良することが可能となりました。この我が国の疾病抵抗性の遺伝的能力評価は、7道県(※2)の農業共済組合(NOSAI)から提供された診療データを利用して開発されており【図3参照】、農業保険を目的に獣医師が診断する信頼性の高いデータ源となっています。


また、日本の飼養環境下で発症した疾病に対する情報に基づく評価となっていることや、NTPに組み込まれたことにより、これまでの泌乳能力や体型の改良に加え、長期間着実に供用できる長命連産性の向上を果たせる乳用牛改良をより進めることが可能となったと言えます。このように、信頼性の高いデータを活用して日本の飼養環境に基づく遺伝的能力評価を行い、その結果に基づいた乳用牛改良を推進していくことが重要であると考えられます。疾病抵抗性の評価形質の開発に当たっては、(一社)日本ホルスタイン登録協会をはじめ、乳用牛改良関係者の皆さんの熱心な議論・検討が行われました。改めて関係機関の皆様には敬意を表したいと思います。


さらに、海外の遺伝資源に依存しすぎることは、家畜疾病の発生等により凍結精液の輸入が停止される可能性や、能力の高い遺伝資源ほど、販売戦略の影響を受けやすく適正な価格が維持されないといったリスクに常に晒されているとも言えます。輸入精液については、統一的な品質評価や適切な精液証明書の発行などのため家畜精液輸入協議会における検収や受渡しが行われていますが、残念ながら輸入時のトラブルが全くないとは言えません。


酪農経営も多様化が進んでいるため、輸入資源を活用することは否定するものではありませんが、精液等の遺伝資源は生乳生産に不可欠な物資であるため、輸入精液に依存しすぎるのではなく、我が国でも安定的な精液等の供給体制を維持していく必要があります。また、それだけではなく、海外の乳用牛改良の技術や知見を得て、並走しながら、我が国の乳用牛の能力向上を図っていく必要があると考えられます。このことは酪農の生産基盤の維持、ひいては食料の安定供給の一部を担っていると言っても過言ではないでしょう。


※1=総合指数(NTP)とは泌乳能力と体型をバランス良く改良することで、長期間着実に供用できる経済性の高い乳用牛を作出するための指数。なお、後継牛の生産に当たって種雄牛を選定する際は、NTP上位牛の中から、生産者自ら改良ニーズに合致した形質面を考慮した種雄牛の利用が重要。


※2=北海道、福島県、千葉県、長野県、鳥取県、岡山県、熊本県の7道県。


9月10日号記事5_グラフ
9月10日号記事5_表1
9月10日号記事5_表2

「経営支える乳用牛改良、生産基盤の維持発展に」――第3回


農水省畜産局畜産振興課
松永知美課長補佐

2026-09-10

9月1日号に続き本欄では、農水省畜産局畜産振興課の松永知美課長補佐(家畜改良推進班)に解説いただいた内容を掲載。今号のテーマは「我が国における乳用牛改良の体制と関係支援」。乳用牛改良体制の維持・強化により、優良な種雄牛造成やゲノミック評価が行われていること等を紹介する(今回で最終回)。


改良推進は関係者の協力不可欠、積み重ねが評価の信頼性維持に


我が国における乳用牛改良については、おおむね5年ごとに家畜改良増殖目標を公表し、家畜(牛、豚、馬、めん羊、山羊※3)の能力、体型及び頭数に関して10年後の目標を定めているところです。直近では2025年4月に公表しました。


この家畜改良増殖目標の達成に向けて、乳用牛改良推進協議会においては主に評価形質の技術開発と後代検定事業について、乳用牛群検定協議会においては牛群検定の実施状況や具体的な検定方法の改善などを行っているところです。


前述したように、日本の環境に適合した乳用牛改良を推進するためには、酪農家の皆さんと関係機関の皆さんの協力が不可欠です。近年では信頼度が向上したSNP情報(※4)を活用したゲノミック評価(※5)を活用して、優良な候補種雄牛(いわゆるヤングサイア)を選抜し、牛群検定参加農家の皆さんにボランティアで調整交配に取り組んでもらっています。


調整交配により生産された娘牛はデータの源であり、後代検定参加農家の皆さまには、その娘牛と同居牛が未経産のうちにSNP検査の収集にご協力をいただいているところです。その後、娘牛が妊娠・分娩し、泌乳がスタートした後は、牛群検定により泌乳データの収集を、(一社)日本ホルスタイン登録協会により体型データの収集をさせてもらっています。これらによって得られたデータをもとに、(独)家畜改良センターにおいて雄牛、雌牛ともに遺伝的能力評価が行われています。


2022年から我が国のゲノミック評価値の信頼度が向上し、現在は、雄牛の選抜にも雌牛の評価にもゲノミック評価が活用され、これまで難しいとされていた遺伝率の低い形質の改良が可能となりました。


前回に疾病抵抗性のデータの収集体制について触れましたが、データの捉え方が異なっていたり、活用するフィールドに適合していなかったりすると、評価値は本当に正しい値とはなりません。多くの方が、遺伝的能力評価については「評価値が出ている」ことに目を向けがちですが、「評価値そのものの真正性、信頼性」も合わせて重要だと考えられます。


我が国の乳用牛改良の体制は、牛群検定をはじめ、後代検定事業により統一的に娘牛データを収集しており、データの収集体制や正確性が担保された非常に盤石な体制です。このような取り組みから得られたデータによりゲノミック評価の信頼度が維持・確保されることは、ひいては評価値が安定して優良なヤングサイアが選抜されるというサイクルにも繋がってきます【図4参照】。


農林水産省では、家畜改良増殖目標の方向性に合わせて日本の飼養環境に適合した乳用牛改良を推進するため、一般予算をはじめとする様々な事業の企画・立案を行い、各種取り組みの下支えをさせていただいています。主に関係機関やデータ収集への助成となっており、酪農家の皆さまには実感しづらいものもあるかもしれませんが、乳用牛改良体制の維持・強化により、優良な種雄牛造成やゲノミック評価が行われていると考えていただければと思います。


これまで国及び家畜改良センターを始め、都道府県、関係畜産団体及び生産者が協力し、家畜改良増殖目標の達成に向けて改良を推進してきた結果、我が国の畜産物の生産性や品質は大幅に向上してきました。現在は2020年11月に発足した乳用牛改良推進協議会が中心になり、酪農家と関係機関の皆様の協力関係によって乳用牛改良の体制が維持されています。この場を借りて関係者の方々には改めて感謝の意を述べたいと思います。(おわり)


※3=鶏の改良増殖目標については、家畜改良増殖法において家畜改良増殖目標を定める畜種には規定されていませんが、これまで家畜改良増殖目標に準じて定めてきました。


※4=DNAの塩基配列における1塩基の違い。この違いが個体ごとの能力の差を生じさせることがあり、特定の形質に複数のSNPが関係していることがあります。


※5=SNP情報とその牛の泌乳成績等を分析し、その相関関係と遺伝的能力として評価したもの。


9月10日号記事6_ポスター

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