全酪新報/2025年6月20日号
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「業界全体で牛乳・乳製品の需要拡大へ、自民党畜産・酪農対策委員会が論点整理、取り組みの成果は年末の畜産物価格論議の中で検証」
自民党畜産・酪農対策委員会は6月18日、酪肉近に関するフォローアップとして議論してきた需要拡大の取り組み・拡充に向け、数値目標の設定や関連予算の充実等を図るとする論点を整理した。今後、この論点に沿ってJミルクが数値目標を検討・策定、その上で業界全体の取り組みとして進める。取り組みの成果は年末の畜産物価格論議の中で検証する。-詳細は全酪新報にてご覧ください-
お断り=本記事は6月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。
「東海牛乳の製品で風味異常、2度にわたり牛乳自主回収」
東海牛乳㈱(岐阜県安八郡神戸町)の一部牛乳製品で風味異常が確認され、自主回収が行われていた問題で、同社は6月10日、自主回収の範囲を拡大すると発表した。本件は異物等の混入ではなく風味異常で、その要因について同社は「製品内に含まれる微生物の影響と考えられる。食中毒などの重篤な健康被害を引き起こすような有害な細菌やウイルスではない。空気中や乳の中に存在する低温菌が要因だと思われる」としている。本社工場の製造を一定期間休止する。
同社は5月30日付で本社工場で製造した約230万本の牛乳製品(賞味期限6月10日までの製品)の自主回収を実施。
原因調査と改善を図った上で改善が認められたとして、店頭販売を再開していたが、6月11日賞味期限以降の製品でも再度同様の風味異常が見られたため、このたび自主回収の範囲を拡大した。約220万本を自主回収する。
5月30日発表分も含めた対象製品は、本社工場で製造した賞味期限5月30日~6月25日の牛乳製品。本巣市の工場製造分、乳飲料や清涼飲料水などの牛乳以外の製品は今回の回収対象外としている。
全国農協乳業協会が12日に開いた総会の席上、大久保克美会長が冒頭あいさつの中で、東海牛乳で発生した風味異常の一件が業界へ与える影響について懸念。「(地域では市場が限られていたため)かつては生産者の牛乳をどう処理していくかが一番の課題で、それに皆で結束して取り組んできた。それを自分で売ろうという話は個人の判断にはなるが、こういう事故が発生した際に皆で助け合うことはできないと思う」と述べ、農協系乳業や指定団体等が果たしている役割・機能の重要性を強調した。
また、13日の全国牛乳流通改善協会の総会で、農水省牛乳乳製品課の白尾紘司課長補佐は「製品事故は起きた時にいかに誠実な対応ができるか。それは日頃からいかに気を付けているかだと思う」と述べた上、東海牛乳の自主回収に関して「発生から20日も経っている。どれだけ不安なものを提供し続けたのか。これは一つの企業の責任を超えている」と苦言を呈し、事故発生時の「報連相」の重要性を改めて指摘。牛乳販売店で構成される同会会員にも衛生管理の徹底へ協力を呼びかけた。
「自民党森山幹事長を訪問、26年度予算確保へ要請」――酪政連
酪政連の柴田輝男委員長ら幹部は6月11日、森山𥙿自民党幹事長を訪ね、関連予算の増大など26年度酪農政策・予算確保へ要請書を手渡した。森山幹事長は「初動5年間の予算を確保できそうだ。本日の要請も政策に反映できるよう頑張りたい」と話した。
このほか、▽牛乳・乳製品の消費拡大施策の実施▽自給飼料生産が不利な地域等に対する中長期的な支援施策の構築▽全国協調による需給調整機能の実効性確保及び対策▽有害鳥獣被害対策のさらなる強化▽畜産クラスター事業の弾力的運用――等を求めた。
防疫対策強化、消安局長に要請
酪政連はまた同日、国内外での家畜疾病の発生状況を踏まえ、農水省消費・安全局の安岡澄人局長へ家畜防疫対策の強化を要請。水際対策の強化や、国内で家畜伝染病が発生した際の迅速かつ的確なまん延防止に向けた取り組みへの支援を求めた。また、旅行者ごとの特色に応じた消毒対策の強化支援等、地域における家畜防疫体制の強化も要望した。

左から宮本貞治郎副委員長、柴田委員長、森山幹事長、臼井勉副委員長、佐藤哲副委員長、清水清人副委員長
「6月は牛乳月間、各地で消費拡大運動」
「6月は牛乳月間」。牛乳・乳製品の消費拡大に向けて、知事への牛乳贈呈、関連グッズや牛乳の配布、イベント出展や牛乳飲み比べの実施、スポーツ団体とのタイアップなど、多種多様な取り組みが各地域で行われている。本号では山梨、茨城、栃木、鹿児島、広島、九販連の消費拡大運動を紹介する。
「地域の高校へ牛乳提供、部活動に励む生徒応援」――山梨県牛乳普及協会

山梨県牛乳普及協会(小澤英康会長)は5月27日、富士吉田市の県立富士北綾高校に牛乳を提供した。6月の牛乳月間に向けて、部活動に励む生徒を牛乳で応援するとともに、牛乳を飲む習慣が低下傾向にある高校生に牛乳の重要性を再認識してもらい、消費喚起を図ることを目的としたもの。運動後に飲む牛乳の有効性を説明したうえで、合計で約1600本の200㍉㍑牛乳を提供した。(上:富士北陵高校の生徒らと)
生徒からは、「インターハイの予選を控えているので、牛乳を摂って体づくりに活かしたい」「給食があった頃は牛乳をよく飲んでいたが、高校に入り飲む機会が減ったので嬉しい」などの声があがった。
小澤会長は「部活動や授業で日々身体を動かしている高校生に、牛乳の大切さを改めて知ってもらいたいという想いで届けた。高校への給食制度が導入されれば、高校生にもしっかりと牛乳を飲んでもらえる。このような取り組みが全国に広がっていき、高校給食実現に向けた第一歩となることを期待している」と話した。
「牛乳月間前に県知事表敬、消費拡大へ協力よびかけ」――茨城県牛乳普及協会

茨城県牛乳普及協会(朝倉実行会長=茨城県酪農業協同組合連合会会長)は5月30日、6月の牛乳月間を前に大井川和彦茨城県知事を表敬訪問。県産牛乳・乳製品を贈呈するとともに、消費拡大への協力を呼びかけた。(右:大井川知事へ牛乳贈呈)
朝倉会長は「大井川知事には、県産牛乳とアイスを試飲・試食していただきながら県内の酪農情勢や酪農の役割を説明し、県民に県産牛乳・乳製品の魅力をもっと知ってもらえるよう、応援をお願いした。茨城の酪農を守っていくためにも、今後も牛乳・乳製品の消費を呼びかけていきたい」と話した。
当日はまた、三宅建史農林水産部長、西野一県議会議長、柳橋常喜教育長もそれぞれ表敬訪問した。
普及協会側からは朝倉会長をはじめ、トモヱ乳業㈱の中田俊之社長、いばらく乳業㈱の北川俊幸社長、関東乳業㈱の相沢敏之社長、茨城乳業㈱の中澤新一社長、茨城県酪連の筧晴夫専務理事が出席した。
駅でグッズ配布 乳業各社が協力

表敬訪問後には、JR水戸駅において茨城県酪連と乳業各社の協力のもと、牛乳・乳製品消費拡大運動を実施【写真】。ミルメークや牛乳消費を喚起するリーフレット、関連グッズなど計1千セット配布した。(右:JR水戸駅にて)
「道の駅2ヵ所でイベント、県産牛乳7種飲み比べ」――栃木県酪農青年女性会議

栃木県酪農青年女性会議(和泉正行委員長、事務局=栃木県酪農協会)は6月1日、牛乳の日に合わせて那須塩原市の「道の駅明治の森」と芳賀郡茂木町の「道の駅もてぎ」の2カ所で、県産牛乳7種の飲み比べと牛乳の無償配布による、牛乳・乳製品の消費拡大運動を実施した。(右:盛況だった飲み比べコーナー)
明治の森では、ホルスタイン、ジャージー、ブラウンスイスの県産牛乳7種類を用意。専用コップ(100円)を購入すれば、すべての種類を飲み比べできる企画を行った。参加者からは「味の違いがはっきりわかって面白い」「いろいろ飲めて楽しかった」といった声が寄せられた。
道の駅もてぎでは、125㍉㍑牛乳とミルメーク、グッズや牛乳料理レシピを400セット配布し、牛乳・乳製品の消費を呼びかけた。
明治の森での活動に参加した和泉委員長は「(飲み比べを)前回の活動から実施しており、飲んでいただくことで味の違いや新しい発見をしてもらいたく、今回は7種用意した。牛乳の価値も伝えたいと考え、あえて無償配布ではなく飲み比べのコップは100円で販売したが、それでもイベント開始前から長蛇の列ができてとても驚いた。工夫すれば消費拡大運動にはまだ可能性がある」と話している。
「球場で牛乳配布、九州生まれの牛乳PR」――九州生乳販連

九州生乳販連(中村隆馬会長)は、6月3日にみずほPayPayドーム福岡(福岡市中央区)で行われた、福岡ソフトバンクホークスと中日ドラゴンズの公式試合に冠協賛し「九州生まれの牛乳」を宣伝するイベント「九州生まれの牛乳スペシャルデー」を開催。会場では、牛乳6千本を配布したほか、模擬搾乳体験などを実施し、牛乳の消費拡大と酪農理解醸成に努めた。(上:両球団へ牛乳を贈呈する中村会長【中央右】と中島副会長)
試合前には、中村会長と中島清副会長より両球団へ牛乳を贈呈。始球式では、中村会長が見事な投球を披露した。また、場内のアナウンスでは「九州生まれの牛乳」の紹介や6月牛乳月間の消費拡大を呼びかけた。
そのほか場内通路では、模擬搾乳体験や牛乳クイズを実施し、回答者にはグッズを配布した。
販売部の大久保誠太郎次長は「九州全体の牛乳をPRするために『九州生まれの牛乳』として紹介している。酪農家を支えるには、やはり牛乳をたくさん飲んでもらうことが大切。球場での取り組みは、子ども達をはじめ幅広い世代に牛乳の魅力を直接伝える貴重な機会であり、酪農への理解を深めるきっかけにもなる。今後もこうした活動を通じて、牛乳の消費拡大を呼びかけていきたい」と話している。
「天文館で乳しぼり、牧場のジェラート大人気」――鹿児島県酪農業協同組合・鹿児島県牛乳普及協会

鹿児島県酪農業協同組合(有村洋平組合長)と鹿児島県牛乳普及協会(同会長)は5月31日、鹿児島市中心街のショッピングモール、センテラス天文館で「天文館みるくフェスタ」を開催。乳しぼり体験、牛乳・乳製品の試飲・販売など、消費拡大・酪農理解醸成活動を実施した。(右:牛乳ひげスマイルコンテスト)
乳しぼり体験には、本房拓馬牧場(鹿児島市)の親牛と子牛1頭が登場。本物の乳牛に触れることができる貴重な体験となり、乳しぼり体験や子牛とのふれあいコーナーには長蛇の列ができた。
ステージでは、牛乳を飲んだあとの牛乳ひげでの笑顔を競い合う「牛乳ひげスマイルコンテスト」や牛乳クイズ大会が行われ、参加者や来場者が楽しみながら牛乳について学ぶ機会となった。
特別ゲストとして、プロバスケットボールチーム、鹿児島レブナイズの兒玉貴通選手によるトークショーが行われ、成長期に牛乳を毎日飲んでいたという自身の経験を語り、「牛乳をたくさん飲んで大きくなってほしい」と子どもたちに呼びかけた。

乳製品販売ブースでは、酪農の6次産業化に取り組んでいる㈲内ファームのジェラート工房「pace」のジェラート、西ノ村ファームの手作りチーズが販売された。(右:paceのブース)
このほか、試飲・試食コーナーでは鹿児島県酪農乳業㈱から牛乳と飲むヨーグルト、南日本酪農協同㈱から牛乳とコーヒー(乳飲料)などが提供された。
総務企画部の後迫剛部長は「今年は6月の牛乳月間に合わせて、昨年より出展事業者を増やし、規模を拡大して実施した。給食のある中学校を卒業した後、牛乳から離れがちな高校生以上にも牛乳の有用性を伝えるとともに、幼児から高齢者まで幅広い世代が、乳牛とのふれあいや体験、出展者との対話を通じて酪農に親しみを持てるよう工夫した。酪農への理解を深め、牛乳・乳製品の消費拡大と普及につなげたいと考えている」と想いを話した。
イベントには酪農家や組合役職員、関係団体など約70人が参加・協力。3千人超の来場者が訪れた。
「ミルクイベント開催、歌や踊りで盛り上がる」――広島県酪農業協同組合・広島県牛乳普及協会

広島県酪農業協同組合(温泉川寛明組合長)と広島県牛乳普及協会(同会長)は6月7日、広島市西区のショッピングセンター、LECT広島で「魅力ときめくミルクイベント」を開催。Jミルクの「牛乳でスマイルプロジェクト」に賛同し、6月の牛乳月間にあわせて牛乳・乳製品の消費拡大運動を実施した。(右:ご当地牛乳トレカを体験)
会場では、広島県出身の姉妹アーティストでミルクPR大使のMebius(メビウス)による生ライブが行われ、広酪オリジナルの公式ソング「牛乳そんぐ」が披露されたほか、現役酪農家で結成された小川香奈隊長率いる「ときめき隊」のショーが披露され大いに盛り上がった。

このほか、ミルクマイスター®高砂航さんによる全国ご当地牛乳トレーディングカード体験、模擬搾乳体験、牛乳クイズや牛乳パックでお面作りなども実施され、酪農と消費者をつなぐ貴重な機会となった。(右:広酪オリジナルキャラクター「ミルミルちゃん」も登場)
広島県酪農協の児玉尚子主事は「消費者に牛乳・乳製品の価値を伝えるためには、まず牛を好きになってもらうことが大切。牛乳・乳製品ができるまでには、多くの人が関わっている背景を地道に伝えていくことで実需が拡大して、持続可能な酪農につながっていく。ミルクの幸せが全国に広がることを願い、今後も活動を続けていきたい」と話している。