全酪新報/2025年10月20日号
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「牛乳・乳製品自給率63%、生乳生産量は増加した一方でチーズ等の輸入増加により横ばい」――24年度食料自給率・農水省

2025-10-20

農水省が10月10日に公表した2024年度の食料自給率のうち、牛乳・乳製品の食料自給率(重量ベース、飼料自給率未反映)は前年度同の63%。24年度は生乳生産量が増加した一方、主にチーズなど乳製品の輸入も増加し数値としては横ばいとなった。牛乳・乳製品の自給率は18~19年度は一時60%を割ったものの、以降は61~63%で推移している。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

お断り=本記事は10月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「国産飼料生産利用・拡大へ論点整理、水田政策の見直し、予算編成等に活かす」――自民党畜産・酪農対策委員会

2025-10-20 10月20日号記事2_簗委員長近影

自民党畜産・酪農対策委員会(簗和生委員長)は10月16日、国産飼料の生産・利用拡大に関して関係者からヒアリングした。党の農業構造転換推進委員会を中心に検討を進める27年度の水田政策見直しに向け、9月末から計3回に亘り意見を聴取してきたもの。今回の第3回会合では、水田活用の直接支払交付金制度の継続や耕畜連携体制の維持・強化、飼料増産とあわせた鳥獣被害対策への支援など、これまでの議論で上がった意見・声を受けて論点を整理した。今後、この論点を踏まえて水田政策の見直しをはじめ、今年度補正や来年度当初等の予算編成、年末の畜産物価格等関連対策の議論を進めていく。(右:簗委員長)


会合では全農と全中から意見を聴取。全農は飼料用米を配合飼料として使用するための製造・供給体制の現状や飼料用米を使用した畜産物のブランド化事例等を紹介。全中は耕畜連携の推進や国産飼料を活用した畜産物生産の取り組みの継続、飼料の生産性向上に資する農業機械や施設等の導入支援、鳥獣被害防止総合対策交付金の拡充等を求めた。


出席した議員からは、水活交付金制度の適切な継続、深刻化する鳥獣被害の低減に向けた十分な予算確保、飼料生産上で影響の大きい災害への対策、主食用米の価格に左右されない安定的な飼料用米等の生産に関する意見が上がった。


会合後のぶら下がり会見で簗委員長は、これまで行ってきた3回の会合を振り返り「現場の試行錯誤や苦労などを経て耕畜連携の体制を築いてきたが、これをこれからも維持し、国産飼料に立脚した畜産酪農に向けてしっかり強化していかなければならない」と強調。その上で「今後の支援の在り方や方向性については論点を整理できたと思っているが、一方で足元では主食用米の価格回復に伴い飼料用米の作付が減少してきている状況。(これまでの会合を通じて)安定確保へ早急に対応していかなければならないという課題も現場の強い声として浮き彫りになった」との受け止めを示した。

「能登の被災地小学校で『もーもースクール』、全国から酪農家が参加、牛のあたたかさ伝える」

2025-10-20 10月20日号記事3_西出穣さん近影

石川県能登半島地震で被災した子どもたちの心の傷を癒やそうと、地域交流牧場全国連絡会(以下、交牧連)は10月1日、珠洲市立飯田小学校を訪ね「もーもースクールin能登」を開き、児童62名へ搾乳体験などを提供。交牧連北陸ブロックをはじめ全国の酪農家14名のほか、関係団体も協力した。能登でのもーもースクール開催は今回が初めて。イベント中は終日歓声が響き渡った。(右:西出さん)


成牛1頭と子牛2頭の佇む校庭隣の体育館で行われた集会で、四十住(あいずみ)基子校長は「昨年開催予定だったが、同年9月の豪雨で一度中止に。それでも『児童を元気づけたい』と、本日全国からたくさんの酪農家さんが来てくれた。いっぱい牛とふれ合い、酪農家さんと交流して、牛や酪農のこと、命を大切にする意味を学んでほしい」と述べた。


10月20日号記事3_松田徹郎さん近影

続いて、交牧連の大井幸男会長(岐阜県羽島市)も挨拶。「終わる頃には、牛乳が苦手な子も好きにしちゃいます」と宣言した。(右:松田さん)


その後、3班に分かれ、搾乳、子牛とのふれあい、酪農に関する授業をローテーションで実施。搾乳体験では、初めに酪農家が手搾りのやり方をレクチャー。初めは大きい牛を怖がっていた児童も、搾乳を終えると満面の笑み。酪農家も「困ったら周りのおっちゃんたちに言ってね」と緊張をほぐしつつ、搾乳後の児童に「上手だったよ」と温かい言葉をかけていた。


子牛とのふれ合いでは、心臓の鼓動やまつ毛の長さなどに驚きつつ、撫でた子牛の温かさやフワフワの毛を堪能する児童の姿が多く見られた。特別授業では、酪農が多くの関係者に支えられて、安全安心な牛乳が食卓に並んでいること、命をいただくことへの感謝の大切さを教わった。体験を終えた児童からは「いつも飲んでいる牛乳が牛からどんな風に出るのか知らなかった。これからも残さずに飲みたいと思う」「体験や、酪農に関する話を聞いて、牛を育てることは本当に大変なことだと分かった。牛と、毎日頑張っている酪農家さんに感謝して、牛乳を飲むときにはいただきますとごちそうさまを忘れずに言いたい」などの感想が上がった。


「子どもの笑顔が何よりのエール」


10月20日号記事3_廣田孝司社長近影

当日は、震災で甚大な被害を受け、復興に向け活動している酪農家も駆け付けた。3頭の牛を連れて参加した西出穣さん(能登町、交牧連北陸ブロック)は「震災により育成牛舎は全壊。自宅も解体し、搾乳牛舎は今修繕中。今も牧場に行きたいという声が届くが、酪農教育ファーム認証牧場として体験の場も提供できていない」と説明。活動をふり返り、「今回交牧連の仲間が能登のために企画してくれて、共に小学校で体験を提供できることは、本当にありがたい。うちの牛とふれ合った子どもたちの明るい表情を見ることができ、良かった」と語った。(右:廣田社長)


松田徹郎さん(珠洲市)は「交牧連に所属してないが、今回参加した。震災後、地域の子どもの数も減っている。こうした活動は復興のためにも大切だ」と話した。


地元乳業、アイ・ミルク北陸の廣田孝司社長(能美市)も参加。「西出さんに誘われて参加した。被災した子どもと酪農家がお互いに元気をもらえる良い取り組みだと思う。乳業として安全安心な牛乳・乳製品の安定供給に取り組みつつ、今後はこうした活動にも協力していきたい」と述べた。


参加・協力した酪農関係者は次の通り


▽北海道=ファームズ千代田ふれあい牧場▽宮城県=秋保柴田牧場▽千葉県=加茂牧場▽福井県=田嶋牧場▽新潟県=小野牧場▽富山県=clover farm、くろべ牧場まきばの風▽石川県=西出牧場、松田牧場▽岐阜県=大井牧場▽京都府=谷牧場▽熊本県=熊本県立熊本農業高校▽日本酪農教育ファーム研究会▽北陸酪連▽中央酪農会議


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「しっかりと手のひら全体で包み込むようにギューッと握って」。酪農家が搾乳のコツを伝授した

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子牛の体温を実感する子どもたち

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見守られながら、いざ搾乳本番

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体育館では、土、草、牛の循環型酪農のサイクルや、ミルカーを使った搾乳など酪農の話をした

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