牛乳乳製品に関するニュース

「骨粗しょう症予防に発酵乳が有効」「医療用流動食に乳素材を応用」―10年度酪農科学シンポジウムより

2010-10-28

今年8月に行われた日本酪農科学シンポジウムの中から、明治乳業㈱食機能科学研究所の高杉諭氏の講演「高齢者への発酵乳の応用」と森永乳業㈱栄養研究所の武田安弘氏の講演「医療食への乳素材の応用」の概要を紹介する。


明治乳業の高杉氏は、高齢化社会の進展に伴い今後問題となる要介護・寝たきり状態となる人口の増加について、その最も大きな要因である骨粗しょう症の予防に発酵乳が有用な食品である可能性を示した。


また、森永乳業の武田氏は高い栄養価と保存性を持つ乳素材が必須とされる医療用流動食について、さらなる長期保存性の確保と風味の改良に向けた取り組み事例を紹介した。


明治乳業の高杉諭氏の講演概要


2010年現在、日本の65歳以上の高齢者が人口全体の21%を超える超高齢化社会に突入しており、その割合は今後も増加すると見込まれる。


高齢化社会の進展に伴い、要介護・寝たきり状態となる人の増加、さらには医療費の増加が社会問題となりえることから、食品による健康予防の重要性が一層注目を集める現状にある。


発酵乳はこれまで整腸作用や免疫機能の活性作用などについて多くの研究がなされ、高齢者の健康寿命の延長に大きく寄与する食品であるとの研究成果が示されてきた。


高杉氏はこれらの背景から発酵乳の今後の研究課題は「要介護や寝たきりの原因となる骨折、その最も大きな要因である骨粗しょう症の予防にどの程度作用するか」であると指摘。その上で胃酸分泌阻害薬の投与患者では骨折リスクが増加傾向との報告が近年相次いでいることから、胃酸分泌低下時における骨組織の変化、そして発酵乳給与による影響を検証した。


高杉氏らは08年、胃酸分泌阻害薬を投与したラットを用いて胃酸分泌の低下が骨密度と骨強度に及ぼす影響を検証。胃酸分泌を低下させたラットでは、骨密度・骨強度ともに低下が認められた。その一方、胃酸分泌阻害薬と同時に発酵乳配合発酵飼料を投与したラットでは骨密度・骨強度の低下が認められないことが分かった。


このメカニズムを調べると、胃酸分泌が低下したラットでは▽カルシウム吸収量の低下▽血中カルシウム濃度の上昇に作用する血中副甲状腺ホルモン(PTH)の増加▽骨吸収(破骨細胞により骨組織からカルシウムが放出されること)の増加――が観察でき、発酵乳給与時にはこれらの変化が大きく抑制されることが判明した。


高杉氏はこれらの検証を行い「血中カルシウム濃度を維持するためPTH分泌が増え、骨密度・骨強度が低下した。このとき発酵乳は血中PTHと骨吸収増加の程度を改善した」と考察。さらに高杉氏らは09年に「発酵乳とオリゴ糖を同時に給与するとカルシウム吸収量の低下に相加的な改善が見られた」と報告している。


高齢者は加齢に伴い胃酸分泌が低下することが知られており、胃酸分泌阻害薬は食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍に多く用いられる薬剤でもある。 高杉氏は「胃酸分泌低下時にカルシウム吸収、骨密度・骨強度の低下を抑制する作用が期待できる発酵乳は、高齢者の骨粗しょう症の予防に有用な食品となる可能性がある」との考えを示した。


森永乳業の武田安弘氏の講演概要


流動食の使用量は09年度がおよそ9万2千㌧、対象者は25万人と見込まれる。当初は手術後から常食(普通食)に移行するまでの限られた期間に用いるものであったが、医療の発展に伴い長期にわたり使用する事例が増えたため、長期の賞味期限においても風味上の問題がなく、沈殿・褐色の変化が少ない品質が求められてきた。


流動食のタンパク質源には従来から牛乳由来のものが用いられ、栄養価の高さはもちろん熱安定性に優れることから長期保存が可能な原材料とされてきた。


医療現場では乳糖不耐による下痢等の発生を極力抑える必要があるため、通常は乳糖分解牛乳のタンパク質を使用する。また、便通の改善を目的にビフィズス菌増殖因子であるオリゴ糖や食物繊維を配合した製品も開発されている。


森永乳業では長期保存の手段として現在、高圧ホモゲナイザーで溶液内の粒子径を小さくすることで脂肪浮上や沈殿に対応。滅菌方法ではUHT方式で滅菌した溶液を無菌充填する方法と充填後に加圧・過熱滅菌を行うレトルト型の容器を内容物によって選択しているが、風味・色調では無菌充填タイプが勝っているとのことだ。


長期保存のほか、医療食においても「おいしさ」の提供が今後は追求すべき課題となる。通常、チューブを通じた経管栄養では風味が分からないとされるが、曖気(ゲップ)の際に内容物の風味を知ることもある。


近年では看護・介護者の利便性や院内感染対策に配慮したソフトバック型(レトルト型の容器に注出口を装備したもの)が多く普及しているが、色調・風味の改良が指摘されてきた。そこで同社では08年よりソフトバック型における無菌充填方式を開発。レトルト型に多く見られる褐色の色調に比べて無菌充填型の白色が本人・家族に好評を得ている。


同社では現在、24種類・50品目の流動食を製造している。武田氏は今後の取り組課題について「銅・亜鉛といった微量元素の強化や母乳成分の添加から栄養機能食品としての対応、糖代謝病・心肺疾患・内臓疾患といった病態別の製品開発も想定している」との考えを述べた。


「カゼリ菌SP株」入りヨーグルト、内臓脂肪の低減効果―日本ミルクコミュニティ㈱が欧州の学会誌掲載で報道関係者にセミナー


日本ミルクコミュニティ㈱は、内臓脂肪低減の効果が確認されている「ガゼリ菌SP株」に関する共同研究が欧州臨床栄養学会誌(2010年64号)に掲載されたことを受けて、9月14日、東京都内のホテルで報道関係者を対象としたプレスセミナーを開いた。


セミナーでは雪印メグミルクミルクサイエンス研究所研究主幹の中島肇博士、共同研究者の一人で磯子中央病院の土田隆副院長、女優でフリーヨーグルトガゼリSP乳酸菌のテレビCMに出演している本上まなみさんも参加した。


ヒトの腸内菌叢に関して中島博士が「ビフィズス菌は主に大腸に、ガゼリ菌は小腸にいる割合が多く、住み分けをしている。ビフィズス菌は整腸効果が高いといわれているが、実験効果からカゼリ菌にも整腸効果が認められていて、おなかの中をきれいな正常な状態にして便通等を良くするということが明らかにされている」と説明した。


共同研究について土田副院長は、ガゼリ菌SP入りヨーグルトを一定期間食べる実験で内蔵脂肪が減少したという成果を示しながら「(小腸整腸作用により食物の)小腸通過時間がスムーズになり、無駄にエネルギーを吸収しなかったのではないか、という結論になった」と解説した。

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