乳滴/2025年6月10日号
村の鍛冶屋

多年の不養生がたたったのか農機のパワステがおかしい。動き出しは良かったが徐々に重くなりやがて重ステに。農機屋さんに連絡。人家も目印もないあぜ道だが大体の方角と「蛍光ジャンパー着てるから、目立つハズ」と伝えたところ、小一時間で来てくれた。
エンジンフードを開け、いくつかの部品を手際よく外す。「こりゃあダメだ」と彼が掲げたそれは、全体的にひび割れて弾力性なくダラリと伸びきっていた。油圧ポンプに動力を伝えるVベルトがボロボロに劣化。そういえばキュルキュルと小さな異音、微かに焦げ臭かった。幸い互換品で対応できたので組み付けて動作確認し作業終了。ありがとう。助かった。
農機屋さんによると今年の農繁期は特に忙しいらしい。「去年の米価が良かったからだと思います。30年前の水準らしいけど、今まで安すぎた。手取りが少ないと機械は後回しになるんですね、きっと」と言っていた。
農作業のスケジュールは前後の天気、作業の段取りに左右されるので案外融通が効かない。そんな時、飛んできてくれた農機屋さん。圃場で除草剤の相談に乗ってくれる農協の購買担当者もだが、頼りになるのは臨機応変、現場で対応してくれる地元の技術者だ。彼らがいる間は小農も頑張れそうだ。