ミルクタイム

「赤ちゃんの出生体重の低下は子供の生活習慣病の発症リスクに」―若い女性のやせ願望に警鐘・Jミルクのセミナー報告

2010-11-17

日本酪農乳業協会(Jミルク・本田浩次会長)は10月20日、東京都内で開いた報道関係者を対象にした第24回ミルクメディアセミナーで「赤ちゃんの出生体重の低下は、子供の生活習慣病の発症リスクが高くなる」との最新の医学研究成果を紹介した。生殖内分泌学(胎児環境と遺伝子の働きを調節する機能であるエピジェネティクス、骨代謝)を研究している早稲田大学胎生期エピジェティクス制御研究所の福岡秀興教授(医学博士)を講師に招いた。同教授は「妊娠女性の痩せは次世代に悪影響を及ぼす」として若い女性のヤセ願望に警鐘を鳴らした。


また、セミナー冒頭のあいさつで本田会長は「牛乳乳製品の摂取と生活習慣病に関する疫学調査の結果を先般発表したが。摂取量が多い人ほどメタボになり難いことが判明した。若い女性はヤセ願望が強く、牛乳・乳製品は太るとの誤解が消費減少の一因となっている」ことを指摘した。

福岡秀興教授
福岡秀興教授

その後、セミナーに移り、福岡教授は日本では低出生体重胎児(2.5㌔以下)が増加していることを説明し、「その頻度は07年現在で10人に1人の割合(9.7%)に達し、OECD=経済協力開発機構の33加盟国の中でワースト国になっている。出生体重の低下は胎生期の母親の低栄養環境が主な原因といわれ、小児生活習慣病児の発症増加とともに、成長してからも高血圧や糖尿病などの生活習慣病の発症リスクが高くなることが知られてきた」と述べた。


この原因として福岡教授は、胎生期に成人病の素因が形成される機序が明らかになっていることを挙げ、「低栄養で育った胎児にはエピジェネティクスの変化が起こり、胎児は低栄養状態に適した代謝系の変化、腎臓糸球体数の減少などの解剖学的な変化が生じる。この解剖学的な変化は出生後も変らないため、生まれた後に高栄養に曝されると適応できなくなり高血圧や糖尿病などの病気が発症することになる。しかもこれらの発病しやすい身体の変化は子や孫の世代にも受け継がれることが最近の研究で明らかになった」と述べた。


この証明は1944年11月から翌年4月にオランダの女性が妊娠した「オランダの冬の飢餓事件」の疫学調査で証明された。ナチス・ドイツ占領下、食糧難のオランダの多くの妊産婦の摂取カロリーは400~800カロリーの低栄養状態と推定され、低体重の出生児が多数出生した。しかし、その後、多数の成人病(糖尿病、高血圧症)患者が多発したことが判明した。なお、出生体重と関連する疾患としては、虚血性心疾患、脳梗塞、メタボリック症候群、脂質異常、血液凝固能の亢進、神経発達異常などの疾病が明確に関連している。

セミナー会場
セミナー会場

現在、日本では若い女性の「ヤセ願望」が広まり、20代女性にはBMI値18・5未満の「ヤセ」の人が約25%もいる。ヤセで栄養状態が不十分な若い女性が妊娠すると、胎児には充分に栄養は与えられない。この30年間の間に平均の出生体重は約200㌘減少している。こうした背景を受け、福岡教授は「出生体重の減少に伴い妊娠初期の葉酸(ビタミンB群で青菜、大豆、レバー等に含有)欠乏による神経管閉鎖障害による無脳症などの高次機能障害児の出生が増加している。ヤセ女性の増加は劣悪な栄養状態の妊産婦の増加に結びつき胎児の栄養悪化や次世代の子供たちの健康が大きく危惧されている」と警鐘した。


妊産婦のための食生活の指針として▽妊娠前からの健康な身体作り▽主食を中心にエネルギーを充分に▽不足しがちなビタミン(葉酸)、ミネラルを副菜で充分に▽身体作りの基礎の「主菜」は適量に▽牛乳、乳製品など多様な食品を組み合わせてカルシウムを充分に摂取するー―ことが必要と強調した。

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