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畜産草地研究所が「GABA高含有チーズ」開発―精神安定、血糖値・血圧下げる作用
(独)農研機構畜産草地研究所が精神安定、血糖値・血圧を下げる作用のあるγーアミノ酪酸(GABA)を高含有するチーズの開発に成功した。同機構が3月6日、東京都内で開いた2011年度第5回産学官連携交流セミナーで畜産草地研究所畜産物研究領域の野村将氏が発表した。
アミノ酪酸にはα、β、γの3種類の異性体が存在するが、GABAはその一つでグルタミン酸にグルタミン酸脱炭酸酵素を作用させることにより生成される。動植物に含まれる、神経伝達物質の一つであり、精神安定効果や血糖値・血圧を下げる作用があり糖尿病や高血圧症の改善等に利用されている。また、通常の食品では発芽玄米、カカオ、キムチ、納豆などに多く含まれている。
野村氏は、チーズ製造に使用するスターターからGABA生成効率の高い乳酸菌01-7株を分離した。このGABA生成菌をスターターとして使用することにより、チーズタンパク中のグルタミン酸をGABAに変換させ、100グラム中200ミリグラムのGABAを含む高GABA含有チーズの開発に成功した。GABAの血圧・血糖値低下作用等の機能性に着目した健康食品として、GABA含有乳酸菌飲料等はすでに販売されている。
野村氏は「市販のチーズにはGABAは、ほとんど含まれておらず、(今回紹介された) GABA高含有チーズは、マイルドな香りと爽やかな酸味が特徴」とし、「GABA生成菌はチーズの乳酸菌から分離したもので、古くから食品として利用されてきたものであり安全である。このチーズ5グラムでGABAの1日必要量が満たせる」と説明した。