ミルクタイム
「塩味のヨーグルトがブームの兆し」レシピ集などの出版が相次ぐ―野菜を引き立てる料理の調味料として利用
世界的にヨーグルトは、日本のように砂糖を加えるのではなく、塩分を足して万能調味料として料理に幅広く使用されている。昨年から塩麹や発酵食が大ブームとなり、後を追うように「塩ヨーグルト」も紹介され、健康や料理に関心のある若い女性、主婦が注目しつつある。
ヨーグルトの健康や美容効果、例えば免疫力増強やダイエット効果などは、日本でも知られているが、食べ方は、わが国では無糖のプレーンタイプや果物入りの甘酸っぱい加糖タイプをそのまま食べるのが一般的。カレーなど一部の料理で使用されているが、調味料的な使い方は普及していない。そうした中で今、注目されつつある「塩ヨーグルト」は、無糖のプレーンヨーグルトに自然塩を加え3~5%程度の塩分を基本にした塩ヨーグルトを料理に使用すること。素材の風味や旨みを引き立たせる効果などがある。
塩ヨーグルトには、メディアや出版社も注目しており6~8月にかけて大手出版社から相次いで塩ヨーグルトのレシピ、アイデイア料理本が発行された。講談社からは「簡単!おいしい!きれいになる!水切りヨーグルトレシピ」(牧野直子著)、文藝春秋社は「塩ヨーグルトをはじめよう~ヘルシー&美味な簡単レシピ65~」(佐藤わか子著)、小学館は「魔法の水切り塩ヨーグルトレシピ~おどろきの新食感!~」(林幸子著)、(社)家の光協会は「こんなに使えるヨーグルトのレシピ」(ほりえ さちこ著)、ワニブックス社からは「乳酸菌でまろやかヘルシー!~小岩井ヨーグルトレシピ~」(小岩井乳業監修)など、続々刊行されている。
そのうちの一つ、「塩ヨーグルトをはじめよう」の著者、佐藤わか子さんは、同書の中で塩ヨーグルトの効果として、①素材が美味しくなる②応用がきく③手軽に作れる④低コストで時短が可能⑤美容と健康に良い――の5つを挙げている。
また、塩ヨーグルトで素材が美味しくなるのはヨーグルト中の乳酸菌の力で肉を柔らかく(塩麹よりも効果的)、魚の臭みを取るほか、うまみ分やコクを引き出したりする。プレーンヨーグルトは塩麹と異なり、コーヒーフイルターで水分をこして堅さを調整し、カッテージチーズ風やソースに利用。また、ホエーを利用すれば様々な食材として応用が可能と説明している。
塩ヨーグルトは市販の塩麹よりも安価なうえ、日常的に家庭の冷蔵庫に常備され、手軽に利用しやすく、万能な使い道があるのも好評の理由だ。
牛乳や乳製品嫌いな子供や老人も塩ヨーグルトを料理の調味料に使っても気づかずに食べるという。野菜を漬け込んだ塩ヨーグルト床は2~3回も繰り返し使えるうえ、水分で薄まったら塩ヨーグルトや味噌を追加するなど日本料理に利用可能なアイデアも多数紹介している。
今までもわが国では、水切りのプレーンヨーグルトをデザート利用として紹介したことがあったが、小さなブームに終わっていた。今回の「塩ヨーグルト」を「一時的なブームに終わらせず、息の長い調味料製品として、様々な分野に育成してほしいものだ」と酪農乳関係者の一人は語っている。
今後、6次化産業を目指す酪農家が塩ヨーグルトを使った新製品開発(農産物漬け物など)など、牛乳の消費減少に悩む業界に新たな消費拡大の起爆剤となってほしいものだ。