ニュースと話題/2012年5月
11年度の用途別販売実績、飲用向けは0.4%減、特定乳製品向けは限度数量を22万㌧近く下回る
(社)中央酪農会議が4月15日に公表した用途別販売実績によると、11年度の飲用牛乳向けは342万3292㌧で前年を0.4%下回った。大震災の影響で飲用牛乳向けが増加したことにより、例年と比べ減少幅は縮小した。総受託乳量(インサイダー、生乳生産に連動)は724万9090㌧で前年を1.2%下回った。特定乳製品向けは限度数量185万㌧を21万7456㌧下回った。
北海道の受託乳量は378万3462㌧で0.3%減少。都府県は346万5629㌧で2.6%減少した。北海道は09年度以来、3年連続で都府県を上回った。両地域の生乳受託量の差は、09年度は6万6千㌧、10年度は24万2千㌧だったが11年度はさらに31万8千㌧にまで拡大した。
都府県では、大震災で大きな被害を受けた東北地域は4.7%減少。そのうち、現在も原発事故の影響を受けている福島県は18.7%減と大幅に減少したほか、宮城県は4.4%減、岩手県は1.0%減だった。また、関東は2.6%減少し、原発事故により出荷停止などの被害を受けた茨城県は0.8%減となった。
用途別では、飲用牛乳向けは、大震災の影響で優先的に仕向けられたため、4月、5月は前年を上回り、7月までの累計では増加傾向にあった。しかし、その後は微減で推移した結果、通年では0.4%減。北海道は都府県への移出と産地パックが増えたことにより5.9%増と拡大した。
一方、特定乳製品(バター、脱脂粉乳)向けは、163万2544㌧で9.5%減。全体の8割以上を占める北海道は大震災の影響で飲用向けが増加したため、10.2%減と1割以上減少した。
その他、はっ酵乳等向けは49万6058㌧で0.1%増。計画停電や電力不足、工場の被災により大震災後の製造再開が遅れていたが、その後は需要が堅調に推移し、前年度並みにまで回復した。生クリーム等向けは、123万150㌧で7.4%増。近年のスイーツ向け需要の高まりやバター不足による乳脂肪分の代替として確保されるなど、複合的な要因で伸びている。チーズ向けは、46万7018㌧で0.7%減。大手乳業3社が北海道に大規模なナチュラルチーズ工場を新・増設して以降、順調に伸びていたが、11年度は減少に転じた。
全国の牛乳乳製品工場数、前年比27工場減の628工場に―農水省の11年末の統計
農水省統計部はこのほど、11年12月31日時点の牛乳・乳製品工場数を取りまとめた。それによると、全国の牛乳工場、乳製品工場は合計628工場で前年に比べ4.1%、27工場減少した。1日当たりの生乳処理量が2㌧以上の工場数は266工場で3.3%、9工場減少しており、全体の割合では42.4%を占めている。
全国628工場を地域別にみると、北海道110工場、東北70工場、北陸50工場、関東・東山157工場、東海62工場、近畿61工場、中国44工場、四国10工場、九州53工場、沖縄県11工場だった。
製品種類別では牛乳等(牛乳、加工乳、成分調整牛乳、乳飲料、はっ酵乳、乳酸菌飲料)のみを製造した工場が最も多く332工場で52.9%と半数以上を占めているが、前年と比べると20工場減少した。牛乳等と乳製品を両方製造したのは173工場で27.5%。乳製品のみを製造したのは123工場で19.6%の割合を占めている。
衛生証明書のない日本向けの米国産牛肉の混載事例で米国側が報告書
農水省は5月2日、昨年10月に見つかった衛生証明書の記載のない牛肉の混載事例の報告書が米国農務省から提出されたと発表した。原因及び再発防止措置が取られたとして、同日付で当該工場からの輸入停止措置を解除した。
報告書によると、ベトナム向け牛肉と日本向け牛肉を同じ鉄道貨物コンテナで港湾まで輸送、海上輸送コンテナに移し替える際、ベトナム向け牛肉4箱を誤って日本向けとして出荷したのが原因。
それに対して、①日本向け牛肉を輸送する際は、日本向け専用のコンテナで輸送する②米国農務省は日本向け牛肉の輸出認定施設に対し、物流業者と契約する際に物流業者が日本向け条件を順守するよう警告する――等の改善措置が取られたため、輸入停止措置を解除した。
昨年10月、タイソンフレッシュミート社ヒルズデール工場から輸入された冷凍バラ肉926箱(約23.6㌧)のうち、衛生証明書に記載がなく、対日輸出条件を満たしているか確認できない牛肉が4箱(約100㌔)混載されていた。
2010年度の牛乳紙パックの回収率は44%と目標の50%を下回る
全国牛乳容器環境協議会が4月25日、東京・九段北の乳業会館で開催した通常総会で、2010年度の紙パック回収率は43.6%で目標の50%を下回ったことが報告された。
今年で20年を迎えた同協議会だが、昨年9月に臨時理事会を開き、達成できなかった原因を検証するために重要課題を分析。その中では、必ずしも紙パックが使用されている地域と回収率が比例していないことやチャネル別にも差があることや新聞紙やその他の紙類に紛れて回収されている数量などを把握した。それらの課題を基にして半年間かけてロードマップを作成し、再度、回収率50%を目指す。
食肉処理の効率化へ研究成果の発表会を開く―日本食肉生産技術開発センター
(財)日本食肉生産技術開発センター(塩飽二郎理事長)は、このほど東京都内で11年度研究開発成果発表会を食肉・食品企業、生産者団体、行政、研究機関の関係者など150名が出席して開催した。食肉処理の高品質化や処理技術の効率化、省力化などに関する研究開発の成果15題が報告された。
このうちカヤバ工業㈱とワタナベフーマック㈱は「水圧駆動による小型・衛生的スライサー」と題して報告。スライサーの駆動に水道水を利用した水圧システム装置を搭載することで、従来機種より体積比で約40%、重量比で約20%の削減を実現。「部品の減少やランニングコストの低減につながる」とした。
また、共和化工㈱は、「余剰汚泥処理の低コスト化を図るシステム~YM菌による超高温好気性発酵再生利用システムと高効率汚水処理システムの紹介」と題して報告した。
本紙で以前に紹介した東大農学部附属牧場で試験中の超高温発酵菌(YM菌)を食肉センターで発生する血液、肉片、胃腸内容物、油脂などの有機性廃棄物に利用。100度近い超高温下での好気性発酵による分解処理システムを紹介したもの。同システムは有機性廃棄物の処理に化石燃料を使用しないため低コストで廃棄物の減容・減量化が可能である。
同社では食肉センターの施設内に設置可能な回転ドラム型の「超高温醗酵施設装置」と活性汚泥処理装置「YMリアクターシステム」を紹介した。
なお、YM菌は全国の下水汚泥や有機性廃棄物の分解処理の実績がすでにあり、共和化工㈱が同菌の発見者と独占利用の契約を締結している。
200題を超す発表、2011年度日本獣医師会・獣医学術学会年次大会が札幌市で開催、盛会裏に終了
2011年度日本獣医師会・獣医学術学会年次大会が2月3~5日の3日間、北海道獣医師会との共催により、札幌市の札幌コンベションセンターで開催された。
「食肉産業展2012」に112社が出展、3日間の会期中に約7万人来場
食肉・食肉加工品関連業者が一堂に集まる「食肉産業展2012」が4月4~6日、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された(主催=食肉通信社他7団体)。第37回目を迎える今回は「復興・再生、持続可能な成長への選択」がテーマ。112社が出展し、展示ブース、各種セミナー会場は流通・小売業者などでにぎわった。なお、昨年は東日本大震災で中止となり2年ぶりの開催。
初日の開会セレモニーで、塩飽二郎実行委員長(日本食肉生産開発技術センター理事長)は「消費低迷、放射能汚染、国際化といった状況の中、日本独自の食文化・伝統を守りながら、持続的な発展が可能となる形を目指したい」と展示会の目的を強調した。
期間中は第9回デザート・スイーツ&ドリンク展(主催=日本食糧新聞社)など5展も同時開催されるなど、3日間の来場者数は約7万人だった。