ニュースと話題/2014年1月
「配合飼料価格安定制度の見直し議論は継続」―異常補てん財源積み増し、発動基準の特例等で当面の安定化を図る
配合飼料価格安定制度の見直しを進めている政府・与党は、2013年度補正予算で配合飼料価格高騰緊急対策として100億円を異常補てん財源に積み増し、当面の制度の安定化を図るとともに14年度も引き続き議論を継続することにした。自民党が12月12日に開いた畜産・酪農対策小委員会で農水省畜産部の原田英男部長が補正予算による緊急対策を説明する中で「次の議論を承りながら2015年度予算に向けて詰めていきたい」との方針を示したもの。
農水省は、異常補てんへの100億円積み増しにより財源強化を図る。併せて異常補てんが発動しやすくなるように発動基準の特例を新設する。具体的には、異常補てんの発動が原則として直近1年間の価格を基準とし、115%を越える場合に発動するのが現行の制度(超えない場合は通常補てんのみ)。これに対して特例では、半年前の(安い時の)基準価格を適用する。基準を下げることで異常補てんが発動しやすくなる(特例による異常補てんは総補てんの3分の1まで)。
原田部長は「基準価格が四半期でスライドするので、価格が高騰しているときは、どんどん基準が上がり発動しにくくなる。見直しにより基準を半年前の安い時に移して引き下げることで、現行では出なかった異常補てんが出るようになる。異常補てんは国とメーカーの拠出であり、国費が出やすくなることで、結果的に畜産農家の負担が和らぐ」との考え方を説明した。
2013年7~9月期の配合飼料価格が過去最高水準となった際に、配合飼料高騰緊急対策(101億円)を決定した自民党は「酪農経営の安定的な発展を確保する観点から、配合飼料価格安定制度について、その抜本的な見直しを早急に行う」との決議を行っていた。
2013年度補正予算「配合飼料高騰対策に110億円」―補助付きリース事業70億円を措置、飼料用米利用を拡大
政府は、昨年12月12日の閣議で2013年度補正予算を決定した。農林水産関係は総額4310億円(内訳は公共事業1728億円、非公共事業2582億円)で、このうち酪農関係では、①配合飼料価格高騰緊急対策(110億円)②畜産収益力向上緊急支援リース事業(70億円)――が措置される。
配合飼料価格高騰緊急対策のうち100億円は異常補てん財源の積み増しに充当し、残り10億円は畜産農家に対する融資の無担保・無保証人化枠の拡大に充てる。
畜産収益力向上緊急支援リース事業は、導入機械等に対する2分の1~3分の1の補助付きリース事業。農水省の原田英男畜産部長は「飼料用米の利用拡大ということもあり、畜産で飼料用米の円滑な受け入れができるような機械の導入、あるいはその他の酪農をはじめとする畜種の機械のリース事業だ」と説明している。12月12日に自民党が開いた会合で述べた。
このほか、農地集積・集約化対策として農地中間管理機構による農地の集積・集約化(非公共事業400億円、機構の設立準備及び運営、農地の出し手に対する協力金の交付、農地情報の電子化等)と農業農村整備事業(公共事業450億円、担い手への土地集積・集約化、生産性向上のための農地の大区画化・汎用化等の推進)、産地の構造改革推進として攻めの農業実践緊急対策(非公共事業350億円、水田フル活用に資する低コスト生産のための高効率機械の導入や施設の機能向上等)が措置される。
酪農・畜産の振興に向けて自民党が決議―配合飼料対策など課題に、酪農・乳業対策大綱の検証も
自民党畜産・酪農対策小委員会(野村哲郎委員長)は12月19日、2014年度の畜産物価格・関連対策を決定するに当たり、酪農・乳業政策のあり方の見直し、酪農ヘルパー対策の充実、配合飼料価格安定制度の抜本的見直しなど、畜産・酪農振興のための7項目の実現を目指す決議を行った。
酪政連が畜産物価格等の決定で小里泰弘政務官に要請―政府・国会に要請活動を展開
酪政連の今村攻副委員など代表者は12月18日、農水省に小里泰弘大臣政務官を訪ね、2014年度加工原料乳生産者補給金の引き上げ等を要請した。要請書を受け取った小里政務官は「TPPについては決議を守ることに尽きる。補給金単価、限度数量は知恵を凝らして対応したい」などと応じた。
要請終了後、佐藤哲副委員長は補給金等をめぐる小里政務官の対応について本紙などに説明。「補給金単価、限度数量ともに最後の詰めにあり『一生懸命頑張る』と言っていたので(結論を)楽しみにしている」と説明。さらに「来年、再来年に向けて生産者が何を求めているのか、具体的な政策要望を求めているというので、後継者向けの支援策を要望した」と述べた。
このほか酪政連の要請の柱は、▽TPPは与党・国会決議から逸脱することがないこと▽補給金単価引き上げと限度数量の維持▽配合飼料価格安定制度の強化と必要財源の確保▽飼料用米・稲WCS等を利用する酪農家への直接支払制度▽コントラ・TMRセンター・ヘルパー等、酪農経営サポート組織の強化・構築への支援▽放射能汚染地域の除染及び粗飼料安定確保に向けた対策の継続――などを盛り込んでいる。
北海道農協中央会が畜産物価格の引き上げなどを小里泰弘農水大臣政務官に要請
北海道農協酪農・畜産対策本部、北海道農業協同組合中央会(北農中)は12月12日、農水省に小里泰弘大臣政務官を訪ね、14年度加工原料乳補給金単価引き上げなどを要請した。北農中の飛田稔章会長は「平成元年(1989年)に約1万5千戸あった酪農家が今は7千戸を切っている。円安の影響で飼料費等が値上がりするなど、生産費は上がっている。規模拡大しても辞める酪農家の生産量をカバーできない状況だ」と北海道の酪農家の置かれた厳しい状況を説明。加工原料乳の生産者補給金単価とチーズ向け生乳供給安定対策事業の助成単価引き上げなどを求める要請書を手渡した。
このほかの主な要請事項は、▽酪肉近、新たな酪農・乳業対策大綱など、基本方針・大綱に係る検証を早急に開始し、現行の枠組みにとらわれない新たな視点での酪農畜産基本政策を検討すること▽TMRセンター、コントラクター等の経営の高度化等による飼料生産流通拠点形成に対する政策支援の拡充▽配合飼料価格が高い水準で続いた場合を想定し、実質生産者負担が増加しない仕組み及び安定的な財源確保に向けて制度の再構築を図ること――などが盛り込まれている。
「流通飼料費は1㌔当たり42銭分」―加工原料乳の補給金単価の上げ要素
2014年度の加工原料乳(脱脂粉乳、バター等向けの原料乳)の補給金単価が25銭引き上げの1㌔当たり12円80銭となったことについて、農水省は次のように算定基礎の説明をしている。
補給金単価の上げ要素は計プラス60銭、下げ要素は計マイナス35銭となり、差し引き25銭引き上げとなった。上げ要素では、流通飼料費がプラス42銭、家族労働費がプラス7銭、乳量減少がプラス5銭、その他でプラス6銭。
下げ要素では、子牛価格がマイナス19銭、乳牛償却費がマイナス8銭、その他でマイナス8銭。
なお、チーズ向け補給金の31銭引き上げの内訳は、加工原料乳と同じ変動率で算定。上げ要素は計プラス73銭、下げ要素は計マイナス42銭だった。
2013年度補正予算「配合飼料高騰対策に110億円」―補助付きリース事業70億円を措置、飼料用米利用を拡大
政府は、昨年12月12日の閣議で2013年度補正予算を決定した。農林水産関係は総額4310億円(内訳は公共事業1728億円、非公共事業2582億円)で、このうち酪農関係では、①配合飼料価格高騰緊急対策(110億円)②畜産収益力向上緊急支援リース事業(70億円)――が措置される。
配合飼料価格高騰緊急対策のうち100億円は異常補てん財源の積み増しに充当し、残り10億円は畜産農家に対する融資の無担保・無保証人化枠の拡大に充てる。
畜産収益力向上緊急支援リース事業は、導入機械等に対する2分の1~3分の1の補助付きリース事業。農水省の原田英男畜産部長は「飼料用米の利用拡大ということもあり、畜産で飼料用米の円滑な受け入れができるような機械の導入、あるいはその他の酪農をはじめとする畜種の機械のリース事業だ」と説明している。12月12日に自民党が開いた会合で述べた。
このほか、農地集積・集約化対策として農地中間管理機構による農地の集積・集約化(非公共事業400億円、機構の設立準備及び運営、農地の出し手に対する協力金の交付、農地情報の電子化等)と農業農村整備事業(公共事業450億円、担い手への土地集積・集約化、生産性向上のための農地の大区画化・汎用化等の推進)、産地の構造改革推進として攻めの農業実践緊急対策(非公共事業350億円、水田フル活用に資する低コスト生産のための高効率機械の導入や施設の機能向上等)が措置される。
輸入チーズ価格の高止まりで「家庭用チーズ11品の容量を減量」―雪印メグミルクが1月下旬出荷分から
雪印メグミルク㈱は、1月下旬出荷分から順次、家庭用チーズの容量を減らすと発表した。輸入チーズ価格が高止まりしていることと、チーズ向け乳価が値上げされたことが理由。
同社では「コストアップを吸収すべく努めてきたが、家庭用チーズの一部について容量を変更することとした」と述べている。減量率はスライスチーズ4品(12.5%減)、6Pチーズ4品(10%減)、雪印北海道100とろけるチーズ3品(6.7%減)。価格は変更しないものの、実質的な値上げとなる。
輸入チーズは世界的な乳製品の需要拡大、外国為替をめぐる情勢等により高止まりにある。チーズ向け乳価はホクレンとの間で13年4月に遡り値上げすると7月に決定していた。
「最後までTPP断固反対を訴える」―2013年のニュースフラッシュ・上期
昨年末の政権交代により一般予算の入替要求から始まり、BSE対策見直し、円安誘導政策による配合飼料価格の高騰、最大の懸案であるTPP交渉の正式な参加と、数々の衝撃が業界を揺るがした2013年。22年ぶりに日本でのワールドデイリーサミットを開催や飲用乳価値上げとそれに伴う牛乳の小売価格値上げの動きなども大きな出来事だった。