ニュースと話題/2013年1月
都府県の生乳生産16年ぶりに前年を上回る見通し―中央酪農会議
全国的な生乳生産は03年以来9年ぶりの増産が見込まれており、特に減産傾向が続いていた都府県では1996年以来、実に16年ぶりに前年を上回る見通しとなっている。
(社)中央酪農会議の門谷廣茂専務が、2012年度の計画生産の実施状況について「12年度から3年間は増産型の計画生産を実施することになっており、1年目の12年度は都府県でも久方ぶりの増産になる実績となっている」と関東生乳販連と関東乳業協会が1月8日に東京都内で開いた賀詞交歓会に来賓として出席し、あいさつの中で述べた。
ただし、門谷専務は「経産牛頭数が増えているわけではなく、上期は酪農家の努力により1頭当たりの乳量がかなり増えたのが要因。下期は生産が伸びない見通し」と今後の生産増加には、厳しい見方を示した。そのうえで「先の理事会で13年度も増産型計画生産を継続することを決定しており、新政権のもとで景気対策が行われるようだが、酪農・乳業界も乗り遅れることのないように、頑張らなければならない」と抱負を述べた。
自民党が「農林水産戦略調査会」を新たに設立、会長に中谷元氏―総合農政貿易調査会と林政調査会を統合、傘下に2つの委員会を設置
自民党は1月10日の農林部会で、これまでの総合農政貿易調査会と林政調査会を統合し、農林水産戦略調査会(調査会長=中谷元氏)を新たに設立したことを報告した。同調査会の下に農林水産貿易対策委員会(委員長=森山裕氏)、農林水産流通消費対策委員会(委員長=山本拓氏)の2つの委員会を置く。
調査会長に就任した中谷氏は「自民党の伝統は、徹底的に議論して皆が納得したうえで作り上げることだ。農は国の基、山は国の宝、海は国の命を意識して取り組んでいく」と話した。
「乳の学術連合」委員長に折茂肇氏、第1回運営委員会を開き活動方針決める―牛乳の日や横浜WDSに参加
日本酪農乳業協会(Jミルク、浅野茂太郎会長)と乳の学術連合は12月25日、東京・千代田の東京国際フォーラムで、第1回乳の学術連合運営委員会を開催し、乳の学術連合委員長に折茂肇氏(骨粗鬆症財団理事長)、副委員長に和仁皓明氏(西日本食文化研究会主宰)と角屋重樹氏(国立教育政策研究所教育課程研究センター基礎研究部部長)、事務局長にはJミルクの前田浩史専務理事がそれぞれ選任された。また、今年の10月28日~11月1日までの5日間、横浜・みなとみらい地区で開かれるワールドデイリーサミット(WDS)への参加など、13年度の活動方針などを決めた。乳の学術連合運営委員会や関係者など約30名が出席した。
乳の学術連合は、健康科学分野(牛乳乳製品健康科学会議、折茂代表幹事)、社会文化分野(乳の社会文化ネットワーク、和仁代表幹事)、食育分野(牛乳食育研究会、角屋代表幹事)の各専門の研究者で構成する組織からなり、それぞれが牛乳・乳製品の価値向上につながる研究・情報提供を行っている。いずれも2012年に発足した。会合では今後の実質的な活動に向けて、乳の学術連合の目的の確認と運営規則の制定、委員長・副委員長の選出や13年度活動計画等について協議した。
13年度は「牛乳の日」に合わせて6月1日に東京国際フォーラムで学術フォーラム、8月3~4日に研究者相互の交流を図るための合同研究会をそれぞれ開催する。また、横浜で開催されるワールドデイリーサミットで発表を行うほか、海外の主要機関及び研究者との学術的ネットワーク構築のための交流の場としてブースの出展も行なう予定。
さらに14年度の委託研究公募は13年11月までに各研究組織で委託研究テーマを選定、13年12月~14年1月の期間に公募することを決めた。
第2次運営委員会は4月3日に開催する予定になっている。
12月分・全国の総受託乳量は0.1%減、年度累計では1.8%増―中酪
(社)中央酪農会議は1月15日、12月分の用途別販売実績を発表した。全国の総受託乳量は60万7739㌧、前年比0.1%減となり、14カ月連続で前年を上回る実績とはならなかったが、ほぼ前年並みを維持した。地域別では北海道が31万8510㌧、1.1%増、都府県が28万9228㌧、1.4%減だった。
12月までの年度累計の総受託乳量は549万5309㌧、1.8%増となっている。12月の用途別販売の内訳は▽飲用牛乳向けが25万9237㌧、1.4%減▽特定乳製品向けが16万5452㌧、2.8%増▽生クリーム等向けが10万7508㌧、0.4%減▽はっ酵乳向けが3万7443㌧、3.1%減▽チーズ向けが3万8096㌧、0.8%増――となっている。
また、年度累計では▽飲用牛乳向けが256万9321㌧、1.7%減▽特定乳製品向けが123万1711㌧、7.5%増▽生クリーム等向けが97万1820㌧、4.7%増▽はっ酵乳等向けが37万6991㌧、0.7%増▽チーズ向けが34万5533㌧、3.0%増――となっている。
「環境問題」で畜産に関する苦情発生件数は2%で推移―乳用牛は529戸で悪臭関連がトップ
農水省は悪臭や水質汚濁など、いわゆる畜産環境に関する苦情発生状況を2012年10月までにまとめた。それによると12年の苦情発生件数は1862戸で、前年に比べ142戸減少している。ただし、畜産農家戸数に占める苦情発生割合は2%で、近年、ほぼ横ばい傾向で推移しているのが特長。なお、苦情発生件数は7月1日までの1年間に住民から地方公共団体へ届けられたもの。
苦情発生戸数の畜種別の割合は、豚が550戸、29.5%(11年は28.4%)をしめている。次いで乳用牛が529戸、28.4%(同29.6%)、鶏が370戸、19.9%(同20.1%)、肉用牛が336戸、18.0%(同18.7%)など。苦情の内訳をみると、悪臭関連が55.5%(同57.5%)と半数を上回る。次いで水質汚濁関連が25.8%(同22.9%)となっている。
乳用牛への苦情発生529戸をみると、悪臭関連が299戸(全畜種における割合が26.2%)、水質汚濁関連が144戸(同27.5%)、害虫発生が28戸(同18.4%)、その他は112戸(同46.5%)だった。その他の内容は、ふん尿の流出や騒音など。
農水省では、家畜排せつ物の適切な処理を促すため、堆肥化施設など管理施設の整備について予算、融資、税制に関する左のような支援策を講じている。