ニュースと話題/2013年3月
「加治屋義人副大臣にヘルパー支援などを要請―鹿児島県酪政連と鹿児島県酪農協の代表ら上京し要請活動
鹿児島県酪政連(内匠秋夫委員長)と鹿児島県酪農協(南原需組合長)の代表者らは2月14日、農水省に加治屋義人副大臣を訪ね、①来年度終期を迎える酪農ヘルパー円滑化対策事業に代わる制度創設②乳価交渉に対する国の支援③自給飼料増産対策等――を要請した。
内巧委員長は、会談終了後、酪農ヘルパー事業への支援について「経営の持続や継承で大事な要素を持っている」と述べ、加治屋副大臣の理解が得られたと説明した。
鹿児島県酪政連と鹿児島県酪農協は、前日上京し、地元選出国会議員等を中心に要請活動を行った。
「ヨーグルトが売上増加、増収に貢献」―大手乳業3社の第3四半期までの業績
雪印メグミルク、森永乳業、明治の大手乳業3社は2月13日までに今年度第3四半期(4~12月)までの決算を発表した。これまで各種統計でも顕著になっているヨーグルトの売り上げ増加が各社の業績に大きく貢献しているのが特長。連結業績では、売上は各社とも前年を上回り、明治は増益を確保、雪メグ、森永は減益となった。
明治・第3四半期まで、単体でも増収増益を確保―売上高は7617億円、2.0%増
明治ホールディングスの事業子会社㈱明治の第3四半期(4~12月)までの業績(乳製品、菓子、健康栄養、医療用医薬品事業等)は、売上高が7617億9300万円、前年同期比2.0%増、営業利益が154億6千万円、47.5%増となった。
乳製品事業のうち市乳部門では、健康志向の高まりの中、「明治ヨーグルトR-1」、「明治プロビオヨーグルトLG21」、「明治ブルガリアヨーグルト」などの売り上げが拡大を続け、前年同期を大幅に上回った。
牛乳類は「明治おいしい牛乳」の発売10周年を記念する消費者キャンペーン等の施策が奏功し前年同期を上回った。
乳食品部門は主力の「明治北海道十勝カマンベールチーズ」などが順調に売り上げを伸ばし、チーズ全体では前年同期を上回った。業務用生クリームは積極的な販促活動により主力の「明治フレッシュクリームあじわい」などが好調に推移し、前年同期を上回った。
連結会社である明治HDの連結業績は、売上高が8530億6500万円、1.8%増、営業利益が229億1100万円、10.5(%増、経常利益が251億7900万円、15.3%増、四半期純利益116億5900万円、15.8%増)だった。
雪印メグミルク連結・第3四半期まで、「乳製品事業が1437億円、5.0%増」―チーズ販売も好調、白物飲料は0.5%減
雪印メグミルク㈱の第3四半期(4~12月)までの連結の業績は、売上高が4008億9千万円、前年同期比2.7%増、営業利益が133億8200万円、3.3%減、経常利益が147億9400万円、1.9%減、四半期純利益が90億800万円、8.1%減となった。
部門別の売上高は、乳製品事業(チーズ、バター、粉乳、マーガリン等)が1437億円、5.0%増。その要因として、バター部門の増収に加え、チーズ部門では「こんがり焼けるとろけるスライス」や「雪印北海道100さけるチーズ」が好調に推移した。
飲料・デザート類事業(牛乳類、ヨーグルト、デザート等)は2004億円、2.2%増となった。牛乳や天然果汁が落ち込み、飲料は減収となったが、ヨーグルト部門では主力の「ナチュレ恵」や「恵長くとどまるガセリ菌ヨーグルト」、「恵生きて届けるビフィズス菌カプセルヨーグルト」等が売り上げ増加に貢献し増収となった。
飼料・種苗事業(牛用飼料、牧草・飼料作物種子等)は、353億円、0.7%減。牧草・飼料作物種子の販売数量は増加したが、配合飼料の販売価格の低下、単体飼料の販売数量減少等により減収となった。
雪メグ単体の部門別売上実績はバターが165億円、1.2%増、チーズが508億円、2.0%増、白物飲料が624億円、0.5%減、色物飲料が424億円、5.2%減、はっ酵乳が314億円、16.4%増だった。
森永乳業・第3四半期まで、連結「売上高は4607億円、2.2%増」―牛乳類の売上高は0.4%減
森永乳業連結㈱の第3四半期(4~12月)までの業績は、売上高が4607億8700万円、前年同期比2.2%増、営業利益が108億5400万円、18.2%減、経常利益が111億5900万円、16.9%減、四半期純利益が58億1300万円、16.0%増となった。原料やエネルギー価格の上昇、競争激化による販売促進費の増加などにより減益となった。四半期純利益は、前年同期に震災による損失の計上等があったため、16.0%増となった。
森永乳業単体の売上高は3480億8800万円、2.8%増となった。ヨーグルト、プリン、バターなどが前年同期実績を上回った。
市乳合計の売上高は1602億4400万円、4.0%増となった。このうち牛乳類が564億6500万円、0.4%減、乳飲料等が520億3100万円と前年並み、ヨーグルトが399億600万円、14.2%増だった。特にヨーグルトの伸びが著しい。
一方、乳製品合計の売上高は712億400万円、1.1%増となった。このうち粉乳が246億4千万円、1.5%増、バターが99億8600万円、8.2%増、チーズが334億8700万円、0.3%減となった。このほか、アイスクリームは426億3600万円、0.2%減だった。
全国の生乳産出額は6579億円、2.5%減、生乳生産量の減少が要因―2011年・農水省調べ
農水省がこのほど公表した2011年の全国の生乳産出額は2.5%減の6579億円で前年に比べて168億円減少した。地域別では北海道が最も多く3068億円、0.9%増、2位の栃木県が290億円、2.7%減、3位の千葉県が240億円、5.5%減と続いている。
生乳・乳用牛・廃用牛を含む乳用牛全体の産出額は7506億円、219億円減、2.8%減となった。農業総生産額に占める乳牛産出額の構成比は9.1%。11年の乳用牛産出額が減少した要因として、農水省は「生乳の価格が上昇したものの、生産量が減少した」と説明している。
なお、コメ、果実などを合わせた11年度の農業総産出額は8兆2463億円、1.5%増となった。
地域別の生乳産出額は北海道が3068億円、0.9%増、都府県が3545億円、5.1%減だった。また、都府県では関東・東山が1165億円、5.1%減、九州が644億円、0.9%減、東北が551億円、10.7%減、東海が388億円、3.2%減、中国が300億円、3.8%減、近畿が209億円、7.9%減、四国が141億円、4.1%減、北陸が110億円、5.2%減、沖縄が36億円、2.7%減だった。特に東北の減少幅が大きいのは、11年3月に発生した東日本大震災による混乱と東電原発事故の影響とみられる。
全国の生乳産出額が最も多かったのは1991(平成3)年の7760億円、乳用牛産出額は1989(平成元)年の9129億円だった。肉用牛など他の畜種と合わせた畜産部門の産出額は2兆5509億円、0.1%減で、農業産出額全体の30.9%を占めている。
畜産のうち最も産出額が多いのが鶏(鶏卵含む)の7530億円、2.4%増で、次いで乳用牛、豚が5359億円、1.3%増、肉用牛が4625億円、0.3%減。鶏は鶏卵価格の上昇、豚は豚肉価格の上昇により、それぞれ産出額が上昇した。肉用牛は生産減少により産出額が減った。
なお、全国の農業産出額のうち、耕種部門総産出額は5兆6394億円。耕種部門のうち最も多かったのは野菜が2兆1343億円、1142億円減、5.1%減で、次いでコメが1兆8497億円、2980億円増、19.2%増、果実が7430億円、67億円減、0.9%減だった。野菜は価格低下、コメは価格上昇がそれぞれ原因となっている。
稲発酵粗飼料(WCS)事業の継続などを江藤拓農水副大臣に要請―宮崎県酪農協議会の石川幸保会長ら
宮崎県酪農協議会の石川幸保会長は2月5日、先頃決定した13年度農林水産予算案の中で同協議会が求めていた要請内容を再度確認するために同協議会役員11名のほか宮崎県経済連関係者らが江藤拓農水副大臣を訪ねた。
同協議会は、原料高騰や円安による値上げが予想される配合飼料高騰対策や自給飼料生産を重視した水田活用の所得補償交付金・WCS(稲発酵粗飼料)に対する事業の継続のほか、①生産基盤維持のため堆肥調製・保管施設リース事業の継続②今後の酪農経営維持・発展のため酪農ヘルパー事業の継続③預託事業を行っている250㌶の県畜産公社の育成牧場等に対する助成、または預託農家の経費助成――の5点を再度要請、確認をした。
江藤副大臣との会談後、石川会長は「WCS事業がなくなってしまうと、耕作放棄地が増えてしまうため、事業の継続を求めていた。江藤副大臣からは継続するとの回答を得た」と述べた。