全酪新報/2021年3月10日号
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「酪農経営の発展に注力、担い手支援等引き続き要請」――酪政連総会で21年度方針示す

2021-03-10

酪政連(佐藤哲委員長)が3月3日に書面で開いた通常総会では、2020年度運動報告や収支決算、2021年度の運動方針などを全て原案通り承認した。中小規模・家族経営の永続的な発展に向け来年度も引き続き担い手やヘルパーの確保を支援する事業の維持・拡充を求めて運動を展開する。具体的な要請内容は、4月下旬頃に開催予定の中央委員会で組織決定した後、国会議員等へ要請活動を展開する。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

お断り=本記事は3月10日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「畜舎特例法案を閣議決定」――手続き簡素化、コスト削減へ

2021-03-10

畜舎の建築規制緩和をめぐり、政府は2日に「畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律案」を閣議決定した。一定の要件を満たし都道府県が認定すれば、建築基準法を適用せずに畜舎を建築、利用できるようになる。今後は今通常国会での成立を目指すとともに、詳細を定めた省令を秋までを目途にまとめる方針としている。


この法案は手続きの簡素化やコスト削減に向けて特例を定めるもの。野上浩太郎農相は2日の会見で、特例法案の閣議決定を受け「建設にかかる負担を軽減し、省力化機械の導入や増頭・増産等の取組を推進し国際競争力強化を図り、畜産物の輸出拡大にも繋げたい」との考えを強調した。


現行の建築基準法では、建築確認は木造500平方㍍、その他200平方㍍を超える畜舎が対象。畜産部が2月26日に開いた記者説明会で農水省は、面積要件に関して「なるべく多くの方が緩和された手続きを適用できるように設定する。一方、消防法等で考慮しなければいけない事項もふまえ『3千平方㍍』に設定する方針。畜舎1棟ごとの面積のため、かなりの数の畜舎を網羅できる」と説明した。

「乳製品在庫は出来る限り改善したい」――農水省・水野牛乳乳製品課長

2021-03-10

Jミルクが3月5日に開いた臨時総会の席上、農水省牛乳乳製品課の水野秀信課長は来賓挨拶で、新型コロナによる業務用需要の減退等に伴い高水準となっている乳製品在庫に言及。2020年度第3次補正予算で措置した国産乳製品需要拡大緊急対策事業(17億円)等により、一定程度の在庫減になると説明した上で「今年は国家貿易の方も大分絞った。いま大変なのは脱脂粉乳とバターの在庫だと思うので、出来る限りそれが改善していく方向にしたい」と述べ、引き続き関係者の理解・協力を求めた。

「Jミルク川村会長、家庭内需要拡大へ取組強化を」――在庫対策、需要基盤強化へ

2021-03-10

家庭内での牛乳やはっ酵乳、バター等の消費が堅調な状況について、Jミルクの川村和夫会長は「こうした消費の流れを定着させることが乳製品の在庫対策に繋がるだけでなく、生乳需要基盤の強化に向けた新たなチャンスを広げることになる」と強調した。業界としても、家庭内需要の拡大に向けた取組の強化が重要との考えを示した。Jミルクが3月5日に開いた臨時総会の冒頭挨拶で述べたもの。


一方、春先の生乳需給に関して川村会長は、学校が休校となる年度末や生乳生産量が最大となる4~5月にかけ、生乳需給が再び緩和する可能性を指摘。その上で「Jミルクとしても、農水省や関係団体、乳業者と十分に連携しながら必要な需給情報の提供等を進め、処理不可能乳が発生しないよう業界一丸となって対応・協議を進める」と述べた。

「牛乳消費は変わらず好調」――牛乳類全体、昨年の反動も販売個数は堅調

2021-03-10

Jミルクが公表した直近(3月4日週)の飲用等向けの販売状況によると、牛乳消費は変わらず堅調で、家庭用バターも好調を維持。牛乳類全体の家庭内消費は昨年同時期に家庭内需要が拡大した反動から前年割れに転じているが、販売個数については引き続き堅調に推移している。一方、5日の緊急事態宣言延長に伴い、業務用需要については厳しい状況が続くものと想定されることから、Jミルクは「生乳需給が緩和する年度末以降に向けて、引き続き家庭用を中心に需要拡大の取組を継続していくことが重要」としている。


直近の牛乳類全体の販売個数は前年比では2.6%減だったものの、前週を若干上回るなど傾向としては堅調に推移。うち好調が続く牛乳は前年比1.0%減。このほか成分調整牛乳は7.0%減、加工乳は7.1%減、乳飲料は7.3%減。

「生乳生産量を考える・その1『時代の認識』――畜産・飼料調査所「御影庵」主宰・阿部亮

2021-03-10

今年の始めに考えるべきこととして生乳生産量を選んだ。日本の酪農勢力を示す指標として最も重要なものだと思う。自動車業界における生産台数と同じレベルのものといえるだろう。


コメ消費減も牛乳乳製品の消費増


先ず、表1を見てほしい。ここには国民一人当たりの各食料の供給量(消費量、㌔/年)と牛乳乳製品需給の年次的な変化を示しており、牛乳乳製品の需給表では生乳量に換算した数値を示している。


3月10日号記事6-表1

特徴的な変化を拾ってみると、最も大きな変化はコメ消費量の減少と畜産物消費量の増加で、牛乳乳製品と肉類と鶏卵を併せた畜産物の供給量とコメの消費量との間にはマイナス0.98という高い負の相関があり、畜産物の消費量増加がほぼ直線的にコメ消費量を減少させている。


消費量の減少はコメの在庫量を増し、2020年産米の1俵当たりの平均価格は前年に較べて676円低下した。それを受けて今、21年の主食用米の作付面積の議論が盛んに行われている。


二つ目の大きな変化は生乳の国内生産量が05年以降減少していることで、この値は1990年以降、820万㌧を超える水準で推移してきた。途中、06~07年には減産型の計画生産も行われ、08年には800万㌧を切り、11年に今度は一転して増産型の計画生産に切り替えた。1995年の847万㌧が19年には736万㌧へと111万㌧も減少している。


変化の特徴の三つ目は、国民一人当たりの牛乳乳製品の供給量が1995年から15年迄の20年間、91㌔程度に停滞していたことと、近年の増加基調への転換だ。19年には95.4㌔だが、05年は93.4㌔、18年が95.7㌔と流れが変わってきている。


四つ目は牛乳乳製品の輸入量の増加。1995年以降は直線的に毎年7.8万㌧の伸びを示しており、輸入量の増加によって国内への供給総量を1200万㌧台に維持している状況だ。そのために牛乳乳製品の海外依存率が高まり、1995年の28.0%が19年には41.5%になっている。このままのペースで行くと、35年には50%を超えそうだ。


進展する自由貿易


今回のテーマは「時代の認識」としたが、何をどう認識するのか、「国際間の畜産物の自由貿易」と「人口の減少」を選んでみた。日本の農業は今、国際間の自由貿易競争の渦中にあるとの認識が先ず必要だと思う。


17年の競争相手国の乳価(円/㌔)をみると米国は41.5円、EUは46.7円、豪州は34.7円、NZは45.8円だが、日本は102.9円と大きな違いがあり、これらの国々と日本は日米貿易協定、日欧EPA、TPP11で対峙している。


例えばチーズ貿易について、日欧EPAの合意内容を振り返ってみよう。チーズ貿易の分類は、「関税割り当ての対象となるチーズ」「関税撤廃の対象となるチーズ」「現行のプロセスチーズ原料用チーズ」の3つだが、ここでは関税撤廃の対象となるチーズについて見てみよう。


ナチュラルチーズ(乳脂肪45%未満のクリームチーズ、熟成チーズのうち、チェダー、ゴーダ等のハード系チーズ)とナチュラルチーズを加工したチーズ(おろし及び粉チーズ)が対象品目。協定発効以前の関税率は26.3~29.8%だが、税率は段階的に引き下げられ16年目には撤廃ということになる。


近年の牛乳乳製品の一人当たり供給量増加の内容としてはチーズ消費量がある。08年頃までは一人2.0㌔/年前後で推移していたが、そこからは次第に増加し、19年には2.7㌔になっている。しかし、その中に占める国産チーズの量は0.4㌔と非常に少ない。08年のチーズの輸入量は約18万㌧だったが19年には29.6万㌧に増加している。輸入量の多い順から見ると、1位が豪州、2位がNZ、3位が米国、4位がドイツ、5位がデンマーク、6位がイタリア、7位がフランスで、EU諸国からの輸入総量が約11万㌧で最も多く、輸入総量の37%を占めている。


自由貿易が始まるまで、日本の畜産は関税という障壁を置くことによって輸入品の国内消費量を抑制し、その環境下で国内生産を守ってきた。鎧を着ていたわけだが、これからはだんだんとそれを脱ぎ捨て、そんなに遠くはない将来には「まわし」一つで相撲をとらなければならない。チ-ズで言うと、伝統あるヨーロッパのチーズに負けないような良味で高風味、高品質の日本製品を創造することが大切だ。


人口減と消費量


もう一つ認識すべきこととして人口の減少を挙げた。再び表1を見ると、05年と19年の牛乳乳製品の供給総量を生乳換算値で見ると、この間に供給総量は45万㌧増加しているが、人口は160万1千人、18年の鹿児島県の人口(161万4千人)に匹敵する数が減少している。しかし、供給量は増えている。巷間、言われるように人口の減少イコール供給量(消費量)の減少とはなっていない。それは何故か。


「コメの消費量減少、畜産物消費量増加の基調にあった時期だから」とか、「食品ロスの増加」とか、「食の多様性・高栄養・高嗜好性への傾斜」とか、「安価な輸入畜産物の購入量の増加」とか種々のことが考えられる。


これからはどうか。19年の日本の人口は1億2616万7千人だが、10年後の30年には1億1912万5千人になるだろうと予測されており、704万2千人、18年の埼玉県の人口(733万人)に近い人が抜け落ちてしまう。


この人口減少が、これから10年の牛乳乳製品の消費量にどのような影響を及ぼすのかという定量的な予測が必要で、それに対応した国内生産、輸入依存を考え、それを諸政策に反映してゆくことが大切になる。酪農界、乳業界、流通業界そして役所が協力して近未来の設計図を描くことを期待している。


(次回連載から20日号に月1回掲載)

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