全酪新報/2021年12月20日号
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「2022年度農水省予算、エコ畜など必要な予算確保へ」――飼料生産拡大、就農支援も継続
農水省が示した2022年度の農林水産関係予算案のうち酪農・畜産関係では、環境負荷軽減の取組を支援するエコ畜事業等に必要な予算額を提示。飼料生産拡大、新規就農を支援する事業も引き続き措置する。一方、12月16日の自民党・農林部会等の会合で金子原二郎農相は「(米とともに)生乳への対応が大きな課題になっている」との認識を強調。今後検討を進めていく考えを改めて示した。-詳細は全酪新報にてご覧ください-
お断り=本記事は12月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。
「農水省、脱粉在庫削減策検討へ」――金子農相が定例会見で言及
金子原二郎農相は12月14日の定例会見で、脱脂粉乳の過剰在庫問題について言及。年末年始における生乳需給緩和の懸念をふまえ、農水省としても消費拡大のためのプロモーションや乳和食の普及など関係者との連携を密に取り組んでいく姿勢を強調した。生産者と乳業者が一体で講じる対策について触れた上で、脱粉在庫の削減へ「こうした関係者の取組状況を踏まえ、コロナの状況下でどのような対策が必要か検討する」との考えを示した。
また、過剰在庫問題をめぐっては、12月15日の自民党畜産・酪農対策委員会でも、在庫解消には国の支援が必要だとして、対応を求める意見が続出。議員からは「民間で80億円規模の在庫対策を実施することも決まっているが、国からの支援も少なくとも同規模の措置が必要ではないか」「今の在庫量が約10万㌧と言われている。適正在庫を6万㌧とするならば、民間の方の対策で2万㌧処理するので、残りの2万㌧を処理できるよう対応をお願いしたい」など国側にも対策を求める意見が上がった。
「2022年度組織・定員案、農業の持続化へ体制整備」――農水省
農水省は同日、2022年度の組織・定員改正案を発表。農林水産業の生産性向上と持続性の両立を目指す「みどりの食料システム戦略」の推進に向け、大臣官房環境バイオマス政策課に持続的食料システム調整官(仮称)を設置する。8月の概算要求時点では新規就農者の育成・確保等の体制強化を重点事項としていたが、今回の案では盛り込まなかった。このほか、国内防疫及び水際検疫の適切な実施へ体制を強化する方針。
「Jミルク、ミルクのケビン×ミルク鍋」――年末年始踏まえ特別企画

ミルクのケビンTHE MOVIE x #私のミルク鍋
Jミルクは現在、年末年始の処理不可能乳の発生防止に向けて消費者向けに実施している「#私のミルク鍋」、牛乳と人の絆を描いたアニメーション映画「ミルクのケビン THE MOVIE」の冬休み特別コラボ企画を実施中。Jミルクのホームページ上で同作品を配信中で、1月にはアニメ制作チームが作ったミルク鍋の紹介も行う予定。
アニメは、牛乳の魅力発信とイメージ向上を目指して活動するミルクマイスター・高砂航さんが自主制作したもの。高砂さんは「冬休みは学乳も止まり需要が落ちる時期で、今は特に大変な状況。ぜひ家族で見て、お家で一緒に牛乳を飲んでほしい」と話す。上映時間は約50分。1月16日まで視聴可能。

#私のミルク鍋プレゼントキャンペーン
「2021年の酪農乳業情勢を振り返る」――生乳需給緩和で乳製品在庫が深刻化
酪農乳業界は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言発令等により、業務用乳製品の需要が低迷した一方、生乳生産量は好調に推移した。年間を通して様々な形で消費拡大に取り組んできたものの、現在も年末年始の不需要期における処理不可能乳発生の懸念から関係者一丸で消費拡大を進めている最中で、今年もコロナの影響に翻弄された1年となった。今後も過剰となっている脱脂粉乳・バター在庫の削減対策、生乳の出荷抑制、原料高騰に伴う配合飼料価格安定制度の財源問題など課題が山積している状況で、対応が急務となっている。
規制改革会議が改革検証 宣言解除も需要減少続く
▽1月
7日 新型コロナウイルスが急速に感染拡大。政府は1都3県を対象に緊急事態宣言を発出した。期間は1カ月。
7日 野上浩太郎農相は、食料の安定供給に万全を期すとのメッセージを発出。業務用需要が停滞し、過剰在庫の解消へ乳製品の消費を促すプラスワンプロジェクトを推進した。
7~11日 北陸地方を中心とした豪雪で、酪農家に被害が発生。15戸で生乳廃棄や牛舎倒壊、牛の圧死など被害が発生。
12日 日本乳業協会は緊急事態宣言の発出を踏まえ、一般消費者らへ一層の牛乳・乳製品の消費と安定供給を呼び掛ける文書をHPに掲載。
▽2月
22日 全酪連が東京・代々木の酪農会館1階正面玄関前に牛乳・乳製品の自販機を設置した。
▽3月
3日 酪政連は通常総会を書面開催。21年度の運動方針などを原案通り承認。中小規模の家族経営の発展へ担い手やヘルパー確保支援等を求めて運動方針を決定。
10日 中央酪農会議は、新型コロナによる想定外の急激な需給緩和時の処理不可能乳発生を防ぐため、脱粉・バター向け生乳を対象に補てん事業の実施を決定。
19日 規制改革推進会議・農林水産WGは、生乳流通改革の進捗状況の検証をめぐり議論。生乳流通事業者の適正な競争環境の整備に向けてさらなる見直しを求める意見が相次いだ。
▽4月
1日 宮城県内の酪農3団体は、集乳体制の合理化に向け集乳施設や集乳路線の集約化を実現。新たな集乳体制で業務を開始。
▽5月
12日 農水省は「みどりの食料システム戦略」を公表。酪農では、ICT機器活用による生産持続化や環境負荷軽減の取組等の指針を整備した。
25日 農水省は20年度食料・農業・農村白書を公表。特集では新型コロナウイルス感染症に関する対応や影響を記載。
▽6月
3日 福島県酪農協と全酪連、浪江町は酪農復興事業に関する連携協定を締結。新しい復興牧場を通じて地域酪農再生を図る計画。
▽7月
1日 農水省は省内の組織を再編成。生産局畜産部を独立させ、新たに畜産局を設置。
9~12日 記録的な大雨をもたらした活発な梅雨前線により、各地で道路冠水や河川氾濫など被害が発生。生乳廃棄も発生した。
15日 全国酪農青年女性酪農発表大会が宮城県仙台市で開催。コロナの影響で2年振り。
20日 全酪連が開いた通常総会で任期満了に伴う役員改選が行われ、その後の理事会で隈部洋氏が会長に就任。
▽8月
2日 全酪連と全酪協は酪農への就農や従事を志す担い手を育成する一般社団法人酪農アカデミーを設立。
26日 酪政連は中央委員会を開き、22年度酪農政策・予算確保に向け協議。酪農ヘルパー対策など担い手確保の充実などを求める方針を決定。
全道の生乳生産量抑制へ年末年始に向け緊急対策
▽9月
30日 政府は新型コロナウイルス感染拡大に伴い発出していた19都道府県を対象とした緊急事態宣言、8県を対象としたまん延防止等重点措置を全面解除。牛乳乳製品は業務用需要の低迷など大きな影響を受けた。
▽10月
4日 岸田内閣発足。新農相に金子原二郎氏。
8日 北海道農協酪農・畜産対策本部委員会とホクレンが会合を開き、全道の22年度の生産目標数量を今年度比1%増以内とする方針を決定。生産抑制を図り生乳の完全販売を目指す。
20日 中酪、乳協、Jミルクの3団体は、好調な生乳生産やコロナに伴う需要低迷を背景に「年末年始に処理不可能乳発生回避に向けた緊急の取り組みについて(お願い)」の通知を発出。それぞれの立場での協力を呼び掛けた。
26~27日 年末年始の処理不可能乳の発生防止に向け、Jミルクは新型コロナ緊急対策事業の実施を決めた。一時的な生乳出荷抑制や乳製品工場のフル稼働、消費拡大等を支援する。
▽11月
13日 全酪連は東京・代々木の酪農会館1階の正面玄関で、らくのうマルシェを開き牛乳・乳製品を販売。消費拡大とともに酪農への理解醸成活動を展開。
25日 酪政連は中央委員会を開き、乳製品在庫解消対策に関する要請内容などを協議。
26日 農水省は21年度農林水産関係補正予算で、配合飼料価格高騰緊急対策事業を計上した。
▽12月

「#1日1L」運動
1日 農水省は牛乳乳製品などの消費拡大へ向け吉本興業と連携して「よしもとニッポンフードシフト」を開始。
7日 自民党畜産・酪農対策委員会は22年度畜産物価格・酪農関連対策の決定に向け議論開始。
17日 農水省は年末年始の処理不可能乳の発生防止へ消費拡大を呼びかける「NEW(乳)プラスワンプロジェクト」を開始。