全酪新報/2022年2月1日号
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「2022年度国家貿易、バター輸入量1900㌧削減しバターオイル拡大」――枠数量CA内で設定、脱脂粉乳は今年度同750㌧

2022-02-01

農水省は1月28日、乳製品国家貿易における2022年度の輸入方針を決定した。コロナ禍や生乳生産の増加を背景に積み増している乳製品在庫の現状を踏まえ、バターは今年度より1900㌧削減の7600㌧、脱脂粉乳は国際約束に従って今年度同の750㌧と設定した。枠数量は今年度に続きWTOで輸入を約束したカレント・アクセス(CA、生乳換算13万7千㌧)の範囲内に留める。バターオイルは需要を見込み307㌧から500㌧へ数量を拡大する。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

お断り=本記事は2月1日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「各地で相次ぐ臨時休校、学乳向けの動向注視」――需給に影響

2022-02-01

新型コロナのオミクロン株の感染拡大を受けた「まん延防止等重点措置」の対象地域の増加に伴い、小中学校等において学級閉鎖や臨時休校とする地域が相次いでいる。学乳は飲用牛乳等向けの約1割。2020年1月の学乳生産量は3万1145㌔㍑、21年1月は2万9647㌔㍑。コロナ禍と飲用不需要期に加え、今年は生乳生産量も増加していることから、例年以上に動向には注意が必要。


1月21日の閣議後定例会見で、金子原二郎農相は休校による学乳への影響について「各自治体で休校する場合があるなど色々と状況が変わっている。今後、我々としても状況を注視していくが、現時点で予断をもって答えるのはなかなか難しい」と述べた。

「畜産クラスターの償還期限延長等、生産抑制の影響踏まえ支援」

2022-02-01

農水省畜産局は昨年末、コロナ禍による需給緩和で生乳生産を抑制せざるを得ない業界の現状を踏まえ、これに協力する畜産クラスター事業を活用する生産者が、当初の事業計画通り増産できず成果目標を達成出来ない場合でも「すぐに補助金返還等の対象にならない」との考え方を整理。その周知を目的としたリーフレットも合わせて作成した。


また、12月23日には、日本政策金融公庫へ、生産者の貸付資金の償還猶予及び資金の円滑な融通等への協力を求める通知を発出した。これを受けて公庫は相談窓口を設置。コロナで計画通りの償還財源の確保が困難となる可能性を配慮し、金利負担軽減や実質無担保、融資限度額の引き上げ、償還期限の延長などの形で支援する。


リーフレットでは、即時の補助金返済等の対象とならない旨を記載した一方、情勢が改善した場合は「速やかな目標達成に向けた取組の推進と、目標達成まで毎年度目標達成状況を報告すること」と明記。新規で畜産クラスター事業を活用する場合においては「畜産クラスター協議会で地域の生産基盤について十分な検討を行った上で申請すること」としている。

「コンテナ不足の影響深刻、夏頃まで大きな改善見込めず」――関係者が意見交換

2022-02-01

農水省と経産省、国交省は1月14日、国際海上コンテナ輸送の需給ひっ迫問題に対する情報共有を目的とした会合を開催した。1月26日に会合の内容を公表した農水省によると、出席者からは、欧米の主要湾港で混雑深刻化、スケジュール遅延等の発生、北米西岸港での滞船が継続しているなどの現状が報告されたほか、最低でも夏頃まで全体の状況は大きく改善しないとの見通しも上がった。船社、物流業者、情報サービス企業の野村総合研究所や輸出支援等を行うJETROロサンゼルス事務所、輸出入に係る企業・団体等が出席した。


会合で、野村総合研究所からは「新規コンテナの製造量は回復しているが、巣ごもり需要等で欧米の主要港湾における混雑が深刻化。スケジュール遅延やスペースのひっ迫、海上運賃の高騰が継続している」などの報告が上がった。


また、JETROからは「北米西岸港は最大限稼働しているが、処理能力を超える荷動きにより滞船が継続している」との報告に加え、今後も同港の労使交渉や海上輸送に係る年間契約交渉の先行き、コロナによる労働力不足・労働コストの上昇等が懸念される点を指摘。「少なくとも夏頃まで全体の状況は大きく改善しないと考え、準備を行うべき」と対策を講じる必要性を強調した。


このほか船社業界から「北米港等の混雑から運航スケジュール遅延で日本発着サービスでも欠便が発生。混雑解消のめどは立っていない」「臨時船の投入、コンテナ追加購入等により輸送スペース確保に努めている」等の報告が上がった。

「粗飼料安定供給へ残飼防止など指導呼びかけ」――農水省が農政局へ通知、協力要請

2022-02-01

農水省は1月21日、各地方農政局に対し、粗飼料供給の安定に向けた技術指導へ協力を求める通知を畜産振興課長、飼料課長の連名で発出した。需要の大幅増等に起因する国際的なコンテナ不足を背景に、輸入粗飼料の供給にも影響を及ぼしている現状を踏まえて実施したもの。当面、輸入スケジュールの遅延や需給の逼迫基調が続くと見込まれることから、通知では生産者など関係者へ残飼の防止や調達ルートの多様化、早期収穫可能な牧草等の作付け、代替飼料の検討、配送コンテナの早期返却等を行政側から指導するよう呼びかけている。


本通知は生産者をはじめ、飼料輸入事業者や都道府県及び生産者団体等の取組を整理。このうち生産者へは残飼防止等のほか、コントラクター等外部組織への生産委託など、中長期的な国産飼料増産も取り組むべき事項としてまとめた。

前千葉県酪連会長の安田憲一氏が逝去

2022-02-01

千葉県酪農農業協同組合連合会の前代表理事会長(本会理事)、安田憲一氏が1月24日、逝去した。71歳。告別式は2月1日午前、千葉市内の斎場でしめやかに執り行われた。

「牧場で輝く家畜の命」連載⑨ 瀧見明花里さんの写真エッセイ

2022-02-01
牧場で輝く家畜の命⑨

家畜写真家になる以前に同牧場で撮影した牛の親子

家畜写真家の道に進む上で大きく影響を受けたのは、ニュージーランドのファームステイ先での子牛との出会いでした。当時、これを忘れまいと書き留めました。


季節は冬。ある雨上がりの朝に放牧地へ見周りに行くと、そこには1頭の子牛が生まれていました。早産で体も小さく、母牛は辺りに見当たりませんでした。寒さで弱っているように見えたので、私はギュッと抱きしめて温めました。しかし子牛は助かる見込みがないと判断され、アニマルウェルフェアの考え方から安楽死となりました。人生で初めて牛に対して涙を流し、家畜動物の命について考えました。命の大切さを教えてくれてありがとう。たった数時間の命だったけれど、子牛は私にたくさんのことを教えてくれました。天国でお幸せに。


生きることは命をいただくこと。その本質をファームステイや子牛から教えてもらいました。世の中が平和になったら、私の原点であるニュージーランドにまた行きたいな。(全酪新報では毎月1日号に掲載しています)


プロフィール


瀧見明花里(AKAPPLE)


農業に触れるためニュージーランドへ1年3ヶ月渡航。2017年より独立。『「いただきます」を世界共通語へ』をコンセプトに、牛、豚、鶏をはじめとする家畜動物を撮影、発表。家畜の命について考えるきっかけを届けている。


※写真の無断使用はご遠慮下さい

https://photographer-akapple29.com/

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