全酪新報/2022年12月10日号
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「生産費高騰が酪農経営を圧迫、補給金単価・数量、経営意欲持てる設定を」――5円以上引上げ要望

2022-12-10

2023年度畜産物価格・酪農関連対策の決定に向け、自民党は12月1日より議論を開始した。12月6日に自由討議を行い、8日に農林幹部へ一任。困窮する生産現場が経営意欲を持てるよう、5円以上の補給金単価引き上げや現行の総交付対象数量の維持(345万㌧)を求める声が相次いだ。8日の会合で自民党畜産・酪農対策委員会の伊東良孝委員長は「地域を存続させるためにも、酪農業を守っていく」と述べた。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

お断り=本記事は12月10日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「北海道、来年度生産目標2.2%減へ」――需給ギャップ改善を優先

2022-12-10

北海道農協酪農・畜産対策本部委員会とホクレン生乳受託販売委員会は11月28日に会合を開き、2023年度の生乳生産目標数量を『401万9千㌧』(22年度目標数量比2.2%減)とする方針を固めた。単年度の需給ギャップ改善等を目的としたもの。また、生産目標を下げることにより、ホクレンの加工向け乳価の交渉を進めたい考えだ。今後、新規就農者分や畜産クラスター等で規模拡大を行った生産者の配分数量(23年度総数の1%以内)を決定し、JAごとに目標数量を配分していく方針。


北海道の生乳生産はこれまで数年間にわたり前年度実績比3%増を基本とした増産型の計画のもとで生産を展開。一方、好調が続く生乳生産やコロナ禍による需要減退等を背景に、当初、22年度の目標数量を「21年度生産目標数量×101%」の『415万921㌧』に設定。今年10月下旬には、生乳需給の大幅緩和を踏まえ、22年度目標数量を5万㌧引き下げ、『410万9千㌧』とする方針を決定していた。

「野村農相、系統外生乳が安売り牛乳に」――「何らかの対応を検討」

2022-12-10

2023年度畜産物価格等をめぐる議論の中で議員や関係者から改正畜安法の運用改善を求める声が相次いでいることを受け、野村哲郎農相は12月6日の定例会見で、生乳出荷・販売に関する法的な制限は困難としつつも、何らかの対策を検討していく考えを示した。


会見で野村農相は、北海道内の生産者団体から北海道産の生乳が農協系統外(指定団体以外)を通じて都府県で安売りされていること、そうした生産者は生産抑制に協力していないこと、系統外へ出荷する農家の場当たり的な出荷先の切り替えに対して、生産者間で不公平感を訴える声が上がっていることを説明した。


その上で野村農相は「(生乳の出荷や販売について)法的に縛ることは難しいが、(現場の)気持ちはよく分かる。何らかの対応があるのかないのか、検討してみたい」と述べた。

「酪政連の新副委員長に清水清人氏(岐阜)」――11月30日

2022-12-10

日本酪農政治連盟(佐藤哲委員長)は11月30日に開いた中央常任委員会で、6月に退任した朝日修副委員長(岐阜県)の補欠選任を実施。新副委員長に清水清人氏(岐阜県酪連副会長、美濃酪連会長)を選任した。期間は24年3月まで。就任に当たり清水氏は「現状の生産現場の声を踏まえながら、佐藤委員長とともにしっかりと国へ要請活動を進めていく」と意気込みを述べた。

今年の酪農業界を振り返る㊤ 長引く新型コロナの影響 需給改善への道筋見えず

2022-12-10

今年2月にはロシアによるウクライナ侵攻が発生。酪農乳業界においても飼料や肥料等の資材やエネルギーコストの高騰など甚大な影響を受けた。一方、新型コロナに伴う業務用需要の消費減退、牛乳消費の低迷、それに伴う脱脂粉乳の過剰在庫は依然解消に至っていない。コロナの影響は未だ不透明な状況が続く中、2022年上期においては脱粉在庫の解消をはじめ生乳生産抑制など緩和傾向に対して、需給の改善、生産費高騰により困窮する生産現場への支援策の模索など、多くの課題が浮き彫りとなった(2022年下期は次号掲載)。


乳価交渉当初据え置き 脱粉在庫、解消せず


1月


14日 農水省と経産省が国際海上コンテナ輸送の需給ひっ迫問題に対する情報共有を目的とした会合を開催。輸出入に係る関係者から情勢報告を受けた。


28日 農水省は乳製品国家貿易制度における22年度の輸入方針を決定。枠数量はカレントアクセスの範囲内で、バター輸入量を21年度より1900㌧削減の7600㌧と設定。


31日 関東生乳販連は同日までに、22年度の乳価交渉について全用途据え置きで大手乳業メーカーと合意。


2月


4日 農水省が21年の農林水産物・食品の輸出実績を公表。牛乳・乳製品の輸出額はチーズ等の好調で約1割増と過去最高額を更新。


24日 資源エネルギー庁がガソリン等価格の7週連続値上がりを公表。


3月


2日 中酪が22年度の生乳需給の安定化に向けた対策を決定。低能力牛の早期選別を奨励する事業を21年度末より前倒しで実施へ。


10日 Jミルクは臨時総会で、生産者と乳業者が協力して脱粉の過剰在庫解消を目指す「酪農乳業乳製品在庫調整特別対策事業」を22年度事業に盛り込んだ。


14日 生乳流通改革の進捗をめぐり、規制改革推進会議の地域産業活性化WGが農水省から調査結果等を聴取。一部で法令上問題となり得る事例もあったこと等が明らかに。


23日 全酪連が4~6月期の牛用配合飼料価格を前期より㌧当たり4200円値上げすると発表した。ウクライナ情勢の緊迫化等による原料相場の高騰が要因。


24日 ホクレンは22年度の用途別原料乳価格を全用途据え置きで決着したと発表。国産乳製品への置き換え等を支援する生乳販売対策(出口対策)は継続実施することで合意した。


配合飼料さらに高騰 酪農家の9割が経営難に


4月


1日 新規就農を志す担い手の確保・育成を支援する全酪アカデミーは、代々木の酪農会館で22年度入職式を開き、3名が夢の実現に向け入職した。


19日 酪政連は都内で開いた中央委員会で飼料高騰対策をめぐり協議。配合基金の機動的な対応、自給飼料増産に取り組む酪農家への支援を求めていく方針を決めた。


22~23日 全酪連が東京・代々木の酪農会館で第2回らくのうマルシェを開催。5月の大型連休に向けて消費拡大への協力を呼びかけた。


25日 農水省が公表した牛乳乳製品統計によると、21年度の生乳生産量は対前年比2.9%増、北海道と都府県ともに伸長し3年連続増だった。


28日 政府は飼料原料の高騰や不足する配合飼料価格安定制度の財源への対策として、22年度一般予備費で434億8100万円を措置。異常補填の発動基準も従来の115%から112.5%に引き下げた。


5月


19日 自民党が開いた合同会議で飼料の安定供給も含めた食料安全保障の強化に向けた提言案を提示し了承。24日に金子原二郎農相に手渡した。


26日 適正な生乳取引の推進へ、農水省が望ましい取引事例など留意点等をまとめたガイドラインと酪農家向けパンフレットを公表。


6月


8日 自民党酪政会が緊急総会開催。議員から生産者乳価値上げの必要性を訴える声が相次ぎ、農水省は乳価値上げに向けた環境整備に努める方針を示した。


10日 農水省がJミルクとともに立ち上げた牛乳でスマイルプロジェクトが始動。業界の垣根を超えた消費拡大運動へ理解・協力を求めた。


13日 関東生乳販連は22年度乳価のうち、飲用向けとはっ酵乳向けの両用途で㌔当たり15円の期中値上げを求める方針を決定。


15日 中酪が緊急的に実施した酪農経営に関する実態調査を発表。飼料高騰などの環境悪化により酪農家の9割が経営難に陥っていることが明らかとなった。


24日 全酪連は7~9月期の牛用配合飼料価格を前期より1万1200円の値上げを発表。原料価格の高騰や歴史的な円安傾向により3期連続の値上げとなった。


(次号に続く)

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