全酪新報/2022年12月20日号
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「23年度畜産物価格、加工補給金43銭、集送乳調整金6銭上げ」――交付対象数量15万㌧引き下げも、超過数量10万㌧に支援策

2022-12-20

自民党は12月13日、2023年度の畜産物価格及び関連対策について、加工原料乳生産者補給金単価を今年度より43銭引き上げ1㌔当たり8円69銭、集送乳調整金単価を6銭引き上げ2円65銭に決定した。総交付対象数量は345万㌧から330万㌧に引き下げる。


一方、関連対策で飲用需要減により加工向けが総交付対象数量を超過した場合、生産抑制に取り組む指定団体等に対し10万㌧を限度に補給金と集送乳調整金相当額を交付する事業等を新たに措置する。-詳細は全酪新報にてご覧ください-


12月20日号記事1-図

お断り=本記事は12月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「農水省畜産部会が諮問案を答申」――生産者委員「今回の結果、正直残念」

2022-12-20

農水省は12月14日、省内で2022年度第2回食料・農業・農村政策審議会畜産部会(部会長=三輪泰史㈱日本総合研究所創発戦略センターエクスパート)を開き、23年度加工原料乳生産者補給金と集送乳調整金単価等の諮問案を審議し、了承した。


補給金単価等については「生産条件、需給事情及び物価その他の経済事情を総合的に考慮すると、試算に示された考え方で定めることは、『妥当』である」との答申を提出し、正式に23年度の畜産物価格が決定した。


一方、委員からは算定方式の見直しを求める意見が多く上がったほか、生産者委員から「前回の部会での発言などで酪農家の窮状を理解してもらえていると思っていたので、今回の結果は、正直残念。営農を継続できるか心配している酪農家も大勢いる中でこの緊急事態に対する支援をいただきたかった」(角倉円佳委員、㈱マドリン代表)との声も上がった。

「自民党、23年度予算の検討状況を確認」――食料安保関連は大臣折衝で

2022-12-20

自民党は12月15日、党本部で総合農林政策調査会・農林部会・農政推進協議会の合同会議を開き、2023年度の農林水産関係予算における重点事項の折衝状況等について、農水省から報告を受けた。大臣折衝事項では、飼料の生産・利用拡大や安定供給確保対策など、食料安全保障の強化に向けた構造転換対策を推進するために必要な予算確保を目指す。


来年度の予算編成は22年度第2次補正予算と一体で、重要な政策課題に必要な予算措置を講じる方針。なお、自民党が公表した来年度予算の折衝状況(内報額)を記した資料のうち、酪農関連予算では、畜産・酪農経営安定対策に2265億円、環境負荷軽減型持続的生産支援事業(エコ畜事業)に63億円を計上するとしている。


会合では、議員をはじめJA全中など関係4団体が鈴木俊一財務相との折衝に臨む野村哲郎農相を激励。野村農相は「食料安全保障をどう実現していくかが課題だが、おかげで22年度第2次補正予算では8200億円を確保できた。これが発射台だ」と食料安保強化に必要な予算確保へ意気込みを示した。

「全酪連、第3回らくのうマルシェ開く」――会員の牛乳・乳製品を販売

2022-12-20

全酪連は12月10日、東京・代々木の酪農会館で「第3回らくのうマルシェ」を開き、全酪連の製品や会員の牛乳・乳製品などを販売。全国各地の牛乳・乳製品の魅力をPRするとともに、昨年以上に処理不可能乳の発生が心配されている年末年始に向け、来場者に一層の消費拡大への協力を呼びかけた。当日は家族連れや学生などが多く訪れ大盛況となった。


マルシェは全酪連が現在開催中の「I LOVE MILK Action 2022 Winter」の一環として実施したもの。全国酪農協会の地域酪農活性化支援事業を活用、同協会が実施中の「ふるさと納税制度」を活用した牛乳・乳製品の消費拡大を提案する取り組みを紹介するパンフレット配布も行われた。


当日は全国各地の牛乳・乳製品のほか、全酪ブランドのチーズやバター、全農の乳飲料など約40品目の商品を販売。また、12月1日より新発売の国産ナチュラルチーズ100%を使用した「そのままでも美味しい国産シュレッドチーズ」をレシピとともにPRした。


年明け1月14日にも酪農会館でマルシェの開催を予定している。

「モ~っと牛乳飲んでくだ祭」――群馬県牛乳普及協会がモール内で消費拡大

2022-12-20

群馬県牛乳普及協会(事務局=JA群馬乳販連)は12月10日、前橋市内の大型ショッピングモール内で「モ~っと牛乳飲んでくだ祭」を開催した。生乳需給が緩和傾向にある現状、牛乳消費の減少が見込まれる冬場に向けて実施した牛乳消費拡大イベント。当日は来場者に牛乳を1千本配布したほか、酪農家が仕事のやりがい等を語る催し(4面に関連記事)や牛乳に関するクイズや牛乳早飲み大会、バター作り教室、模擬搾乳体験等を通じて酪農や牛乳への理解・協力を呼びかけた。イベントには酪農家を含め関係者約30名が参加した。


JA群馬乳販連の小茂田匡央常務は「多くの消費者の方々に地元群馬の牛乳や酪農について知っていただき、消費を拡大したいという思いで今回のイベントを開いた。知る・体験する・楽しむといったことを通じて消費者の方々に酪農や牛乳への理解を深めてほしい」と話した。

今年の酪農業界を振り返る㊦ 飲用等乳価㌔10円値上げ、11月価格改定の影響懸念

2022-12-20

生産者乳価の期中改定要請に対し飲用向けとはっ酵乳向けは7月に10円値上げで決着した一方、生産費の上昇分を補う水準には至らず、11月には乳価値上げ等に伴う小売価格改定の影響から、年末年始や年度末の不需要期に処理不可能乳の発生も懸念されている。生産現場の窮状を踏まえ、国も配合飼料や粗飼料等高騰に対する支援策を補正予算等で措置。業界団体も一丸となって乳牛の早期淘汰等による生産抑制、牛乳・乳製品の消費拡大や酪農への理解醸成活動に取り組んでいるが、コロナ禍や各種コスト高騰等の先行きは未だ見通せず上期同様に厳しい状況が続いている。


生産費高騰で経営苦難 配合、粗飼料対策に支援


7月


7日 政府は肥料原料価格高騰を受け、肥料コスト上昇分の7割を補填する支援策実施を決定。


12日 農水省が畜産統計を公表。22年2月現在の酪農家戸数は1万3300戸で500戸(3.6%)減少。乳牛飼養頭数は、137万1千頭で1万5千頭(1.1%)増加した。


14~15日 全国酪農青年女性会議と全酪連は都内で第50回全国酪農青年女性酪農発表大会を開催。経営発表の部の農林水産大臣賞(最優秀賞)に中野大樹さん(北海道鹿追町)、意見・体験発表の部の最優秀賞には藤田幸子さん(茨城県鉾田市)が選ばれた。


20日 関東生乳販連は22年度乳価の期中改定について飲用向けとはっ酵乳向け乳価を㌔当たり10円値上げで大手乳業メーカー3社と合意。11月1日出荷分より適用すると発表。また、全国の広域指定団体も4日までに大手乳業と大筋合意した。


22日 JA全中と全国農業者農政運動組織連盟は「生産資材高騰対策等基本農政確立緊急全国集会」を開催。生産資材高騰に対する対策の具現化を最重点事項に掲げた。


8月


3~4日 東北地方を中心に記録的な大雨により生乳廃棄や牛舎浸水など甚大な被害が発生。


10日 第2次岸田内閣が発足し、新農相に野村哲郎氏が就任した。


9~10日 明治ホールディングスと森永乳業、雪印メグミルクの大手乳業メーカー3社が第1四半期決算を公表。コスト高の影響を受け各社とも減益となった。


25日 農水省とJミルクは「牛乳でスマイルプロジェクトメンバー交流会」をオンラインで開催。生乳需給をめぐり関係者が意見交換した。


9月


7日 酪政連は自民党本部で「酪農危機突破・全国酪農民緊急特別集会」を開催。高騰する生産費への一刻も早い対策・支援を強く訴えた。


18~19日 非常に強い勢力で九州に上陸した台風14号。九州管内の酪農家39戸で生乳廃棄が発生したほか、牛舎施設などの破損が多数発生した。


20日 農水省は予備費で飼料価格高騰緊急対策事業に504億200万円を措置。配合飼料対策として㌧当たり6750円、粗飼料対策として経産牛1頭当たり1万円、北海道は同7200円の交付を決めた。


22日 全酪連は10~12月期の牛用配合飼料価格及び哺育飼料価格を据え置くと発表。


関係者一丸で消費拡大 生産抑制も合わせて推進


10月


1日 全酪連が脱脂粉乳とバターをセットとした企画商品、「需給調整セット」の取り扱いを専用ECサイト限定で開始。


22日 全国酪農青年女性会議は新宿駅構内で酪農理解醸成活動を実施。酪農を取り巻く厳しい現状を消費者に伝えるとともに、牛乳の消費促進への理解と協力を求めた。


27日 北海道農協酪農・畜産対策本部委員会とホクレン生乳受託販売委員会は需給が大幅に緩和している状況を受け、22年度の生乳生産目標数量を当初目標より5万㌧引き下げ410万9千㌧とする方針を決めた。


11月


1日 飲用及びはっ酵乳向け生産者乳価の値上げや原料や物流コスト等の上昇を背景に、大手3社をはじめ乳業メーカー各社が牛乳等小売価格を値上げした。


3日 地域交流牧場全国連絡会は東京・豊洲で1日限りのわくわくモーモー牧場を開催。酪農家が都心で消費者と交流し、苦境にある酪農経営の現状への理解と牛乳の消費促進を呼びかけた。


8日 政府は22年度第2次補正予算を閣議決定し、生産抑制の取り組みや乳製品の長期保管等を支援する生乳需給改善対策に57億円を計上。経産牛の早期リタイアなど生産抑制の取り組みへ、生産者団体の一定負担を要件に1頭当たり15万円(3~9月の場合)の奨励金を交付する。


28日 北海道酪対本部とホクレンは会合を開き、需給ギャップ改善を最重要課題として、23年度の生乳生産目標数量を今年度目標数量比2.2%減の401万9千㌧とする方針を決めた。


12月


1日 政府・自民党は23年度畜産物価格・酪農関連対策の決定に向け議論を開始。6日に自由討議を行い、8日に党農林部会へ一任した。


13~14日 23年度畜産物価格について、自民党は加工原料乳生産者補給金単価を43銭、集送乳調整金単価を6銭引き上げ、交付対象数量は15万㌧引き下げの330万㌧で決定。翌日の政府の食料・農業・農村政策審議会畜産部会で答申がなされ、正式に決まった。

連絡先・MAP

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所在地 〒151-0053
東京都渋谷区代々木1-37-2
酪農会館5階
電話番号 代表(総務部):03-3370-5341
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