全酪新報/2023年1月20日号
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「自民党、配合飼料高騰で緊急対策の継続を」――1~3月期、前期並み支援必要

2023-01-20

自民党は1月17日に農林合同会議を開き、配合飼料価格高止まりにより依然として畜産・酪農経営が甚大な影響を受けている現状について、関係団体や議員から意見を聴取した。昨年9月に22年度予備費で措置した配合飼料価格高騰緊急特別対策を継続し、1~3月の第4四半期も前期の第3四半期で確保した予算と同程度の支援が必要との党としての決議をまとめた。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

お断り=本記事は1月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「自民党議員が野村農相へ決議文申し入れ」――対応を要請

2023-01-20

自民党が18日に開いた農林合同会議後には総合農林政策調査会の江藤拓会長らが野村哲郎農相に決議文を申し入れた。江藤会長は「配合価格の第4四半期は前期に比べても農家負担が増えてしまう懸念がある。今期も緊急的な対策をお願いしたい」と要望した。これを受けて野村農相は「生産現場から悲鳴が上がっていることは十分承知している。この第4四半期の3カ月間をどう対応していくかが重要だ」と述べた。申し入れには、武部新農林部会長、伊東良孝畜産・酪農対策委員長らも同席した。


対策の検討方向について、決議文では「22年度第4四半期についても、生産者実負担額上昇による影響緩和に向けた緊急的な措置を講じるとともに、このような措置を講ずるにあたり各畜種横断的に万全な対策とする」と盛り込まれている。

「北海道大学大学院・清水池義治准教授、生産基盤の重要性指摘」――将来的には生乳不足の懸念

2023-01-20

北海道大学大学院の清水池義治准教授は昨年12月に都内で開かれた酪農研修会で現在の生産コスト高騰等により、すでに酪農家の離農が急増し、将来的には生乳が不足すると予測。一方、世界的には乳製品需要増加と主要乳製品輸出国の供給能力に懸念があり、安定供給のための国内生乳生産基盤の重要性を指摘した。また、今後、あらゆる需給変動に対応できる常設基金、国産チーズ増加に向けたチーズ向け奨励金制度などを提案した。関東甲信越酪農専門団体協議会と関東地区酪政連協議会が開催した講演の概要を紹介する。


酪農をめぐる複数の危機


現在の酪農は、複数の危機が重なっている。コロナ禍による生乳需給緩和とそれに伴う脱脂粉乳の過剰在庫削減対策、そのための実質的な乳価下落に加え、生産抑制も求められており、酪農家の収入は大きく減少している。


資材コストは21年から大きく上昇していたが、22年は一層深刻な状況となった。農水省の農業物価統計調査を見ると、22年10月時点で飼料だけで21年と比べ約1.3倍で、試算すると北海道で生乳1㌔当たり10円、都府県で16円の上昇となるが、自助努力でどうにかなる状況ではない。


このほか、肥料や建築資材、エネルギーコストの上昇も著しい。加えて、乳牛個体価格下落の影響も大きい。


こうした中、離農が急増しており、都府県の一部地域では前年比で1割近く減少した地域もあると聞いており、今後は逆に生乳が不足する事態も考慮すべきだ。かつてのバター不足を起こすような事態は回避しなければならない。


また、18年の指定団体改革により需給緩和時の生産抑制の実効性が低下している。実際、改正畜安法により系統共販(=指定団体)での需給調整に限界が叫ばれており、系統外出荷者の需給調整コストの未負担や、系統外の生乳廉売問題、系統復帰時の目標数量への算入方法なども議論になっている。


道外移出乳を例に見ると、コロナ禍で需給が緩和した21年度は指定団体の移出乳が減少する中、系統外からの量は増加。今年度も同様の傾向で、需給全体に与える影響は無視できなくなっている。今後、検証が必要だ。


求められる生乳安定供給


現在は厳しい状況だが、日本酪農の存在意義は将来的に高まっていくと断言できる。日本は現在年間生乳換算約1200万㌧の牛乳・乳製品需要があり、そのうち3分の1を輸入している。


一方、低価格かつ環境負荷の少ないタンパク源として途上国を中心に世界的な生乳需要の増加が見込まれていることに加え、環境対応に伴う生産抑制への転換や気候変動対応などによる生産拡大・維持が困難という話も上がっていることから、主要乳製品輸出国の供給能力への懸念もあり、安定的な輸入が続けられる状況ではなくなっている。


そのためにも、国内の牛乳・乳製品の安定供給に向けた体制整備に取り組まなければならない。


需給変動へ常設基金を提案


脱粉在庫は依然高水準にあり、在庫対策の継続は不可欠だが、23年度に関しては対策を行う前提のもと、コロナ禍前の水準までに戻る見通しが出ており、状況によっては、再度、北海道や都府県が乳価交渉を行うタイミングになる。


一方、将来に備え、現在Jミルクが生・処で行っている特別対策をベースに、ある程度恒常化した「需給安定基金」(仮称)へ拡充することも視野に入れるべきだ。


生産者、乳業メーカー、政府が日常的に積み立てることで、需給調整コスト負担を『幅広く』かつ『薄く』求める。これにより在庫削減だけでなくチーズ向け生乳への奨励金や生乳不足時の生産基盤強化など、需給変動にフレキシブルに対応できる。


チーズ向け奨励金制度化で需給改善


この中の1メニューとして例えばチーズ向け奨励金制度も提案したい。現状、輸入チーズは年間生乳換算400万㌧近い量が輸入されており、これを1割国産化できれば現在の需給ギャップは相当解消される。


大手乳業も製造能力に余力はあるが、輸入品との置き換えには現行のチーズ向け乳価を下げ、競争力のある価格水準としなければ、国産化を進めづらい。


そこでチーズ向け奨励金では輸入価格並みにチーズ向け乳価を引き下げた上で、下落分を補填する。具体的にはチーズ向けを一度補給金制度の対象用途から切り離し、独自の奨励金制度を整備する考え方もあるし、補給金の中にいれておいたうえで追加的な奨励金制度を整備することも考えられる。

「全酪連、消費拡大へらくのうマルシェ」――牛乳飲み比べ

2023-01-20

全酪連は1月14日、東京・代々木の酪農会館で「らくのうマルシェ」を開催。全酪連会員等の牛乳・乳製品の販売や牛乳3種類の飲み比べを通じ、来場者に牛乳・乳製品の魅力発信と消費拡大への協力を呼びかけた。昨年12月に引き続き、今回で4回目の開催。当日は雨天にもかかわらず、近隣住民や家族連れなどが多く訪れた。


マルシェは全酪連が展開中の消費拡大運動「I LOVE MILK Action 2022 Winter」の一環。らくのうマザーズや東毛酪農協など会員乳業の牛乳・乳製品に加え、全酪ブランドのチーズやバターなど約50品目の商品を販売した。


また、今回は牛乳の飲み比べも実施。「らくのうマザーズ 産地限定大阿蘇牛乳」「東毛酪農低温殺菌牛乳63℃」「蒜山ジャージー牛乳プレミアム」を提供しそれぞれの味の特長を紹介した。


このほか、全酪ブランドのチーズの食べ比べも実施。牛乳の栄養素のPRや消費拡大に向けたリーフレットやシール、エコバッグも配布した。


全酪連酪農部は「これまで3回の開催により、マルシェのリピーターが着々と増え、地域に求められる活動となったと感じている。こうした交流の積み重ねが生産者の応援にもつながる。この先も時期や需給動向、酪農情勢を見ながらマルシェ等の活動を展開していきたい」と引き続き消費拡大に努めていく意向を示した。

連絡先・MAP

一般社団法人 全国酪農協会
所在地 〒151-0053
東京都渋谷区代々木1-37-2
酪農会館5階
電話番号 代表(総務部):03-3370-5341
(業務部・共済制度)
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(指導部・全酪新報編集部)
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