全酪新報/2023年5月20日号
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「2022年度生乳需給動向、抑制で生乳生産1.5%減少」――価格改定等で、飲用需要は低調

2023-05-20

農水省牛乳乳製品課が取りまとめた直近の生乳需給動向によると、2022年度の生乳生産量は関係者の生産抑制の取り組みや離農の影響もあり、753万2500㌧で前年度比1.5%減少した。飲用需要は昨年11月からの乳価値上げの影響もあり低調に推移、牛乳生産量も1.5%下回った。8月からの飲用乳価改定もあり、中長期的に消費拡大へ取り組んでいく必要がある。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

5月20日号記事1-図

お断り=本記事は5月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「脱粉在庫が大幅減少も需給ギャップ依然解消せず」消費拡大は継続して必要――大熊規義牛乳乳製品課長

2023-05-20

2022年度末時点の脱脂粉乳在庫量は約6万4千㌧。官民を挙げた在庫低減対策や4月値上げ前の駆け込み需要の影響で、コロナ禍前の2019年度末を下回る水準まで在庫量が減少しているが、牛乳乳製品課の大熊規義課長は「依然としてヨーグルト需要等の回復は見られず、需要と連動した減少にはなっていない。8月の飲用乳価値上げも考慮すると、需給ギャップが解消したとは言い難い」との見方を示した。5月11日に行われた専門紙との懇談の中で述べたもの。


また、生産抑制対策として措置されている経産牛の早期リタイア事業について、大熊課長は「柔軟に対応していくという方針に変わりはないが、現時点での脱粉在庫の減少をもって、ただちに同事業の実施を中止する状況にはない」との認識を強調。8月以降は飲用乳価値上げの影響も懸念されることから「牛乳でスマイルプロジェクトをはじめとした酪農家や乳業、業界内外の取り組み拡大に期待している。国としても訪日外国人観光客等への消費促進支援などを通じ、消費拡大を後押ししていきたい」と述べた。

「需給短信・5月8日週、牛乳販売個数2.1%減」――さらなる需要喚起が必要

2023-05-20

Jミルクが5月18日に公表した直近(5月8日週)の家庭用牛乳等の販売状況によると、牛乳の販売個数は前年同期比で2.1%減。全ての品目で大型連休中の前週(1日週)よりも販売個数は増えており、牛乳類全体でも前週の6.4%減と比べ3.1%減と減少率は縮小している。このほか飲用等向けは成分調整牛乳16.4%減、加工乳10.7%減、乳飲料0.4%減。飲用消費の低調が続く中、今後気温上昇による一時的な家庭需要の伸長が見込まれるものの、8月の飲用乳価値上げ等を踏まえ、引き続き業界一丸での需要喚起が必要となる。


ヨーグルトにおいても販売個数は前週よりも増加しており、ドリンクタイプは前年同期比100%以上と堅調。個食タイプと大容量タイプは同90%以上で、100%を割る状況が継続している。個食・大容量タイプは減少率が縮小、ドリンクタイプは前年を上回った一方、はっ酵乳全体で前年を下回っている。

「韓国で4年ぶりに口蹄疫発生、防疫対策の遵守徹底を」――5月19日時点肉牛等11件

2023-05-20

韓国で5月10日、口蹄疫が発生した。発生は2019年1月以来4年ぶり。忠清北道清州市の肉用牛農家3農場で確認されて以降増加しており、5月19日までに、清州市と曽坪郡で肉牛農家等において計11件に拡大。2000年や10年の日本における口蹄疫発生はいずれも韓国で発生後、国内で発生が確認されている。同国の地理的な距離や世界的に新型コロナの影響から経済活動が回復しつつある状況等もあり、国内外への渡航者は今後一層の増加が予想されることからも、これまで以上に防疫対策を確認・徹底する必要がある。


韓国での口蹄疫発生を受けて、農水省動物衛生課は5月11日付で全都道府県へ通知を発出。農場への関係者以外の立ち入り禁止や消毒の徹底など、関係者へ改めて発生予防の徹底を呼び掛けている。


通知では国内の酪農・畜産農家等に対して▽口蹄疫発生地域への海外渡航の自粛▽畜舎出入り時における専用の靴・衣服等の適正な着用▽畜舎の出入口への踏み込み消毒槽等設置による靴底消毒の徹底▽農場内及び畜舎、車両、人、物品等の消毒の徹底▽疑いがある場合直ちに家畜保健衛生所へ通報する――などを徹底するとともに、万が一の発生に備えたまん延防止対策の体制整備等に万全を期すよう全都道府県へ要請した。


合わせて牛・豚農家用のリーフレットも作成、農水省HP上に公開して注意喚起を促している。

「JA全中などが全国大会、基本法見直しへ政策提案」――適正な価格形成の実現等盛り込む

2023-05-20

JA全中などは5月12日、都内で「令和5年度食料・農業・地域政策推進全国大会」を開催した。食料安全保障の強化に向けて政府与党が進めている食料・農業・農村基本法(以下、基本法)の見直しに対して、適正な価格形成の実現等に加え、改正畜安法等の検証等を要請内容に盛り込んだ政策提案を示した。大会にはオンライン含め関係者4千人が参加した。


政策提案のうち、畜産・酪農対策について全中の中家徹会長は、畜安法を含む現行制度の早急な検証を進めるとともに、酪農家間の不公平感が生じないよう必要な対策を講じるよう要請。「飼料価格の高騰を生乳取引価格に反映させる新たな仕組みの創設・検討」「国産チーズの需要拡大に向けた必要な対策」など対応を求めた。


また、自民党の江藤拓総合農林政策調査会会長は政策提案を受けて「酪農・畜産の飼料含め、日本の農業構造は海外に依存しすぎている。この構造を大転換しなければならない」と指摘。「平時でも有事でも食料が供給できる体制を築いていくことが大切だ」と述べた。


「多様な経営体、しっかり位置づける」自民党・森山委員長


大会では、自民党の森山裕食料安全保障に関する検討委員長が食料・農業・農村基本法の改正等について講演。JAグループから受けた政策提案に同意を示した上で「基本法改正のポイントは、新自由主義からの転換。農業者も含めた意識と行動の変容が必要だ。そして、転換のために重要となるのが担い手対策で、中小の家族経営を含む多様な経営体をしっかり位置づけることが大事だ」と述べるとともに、それらを踏まえて見直しに向けて検討を進めていく意向を示した。


また、畜産・酪農については飼料高騰に伴う生産コストの高騰により厳しい経営状況となっていることを踏まえ「引き続き状況を注視し、必要な対策を講じていく」と述べた。

「価格訴求し消費回復へ」――明治HD・川村和夫社長

2023-05-20

明治ホールディングス㈱の川村和夫社長は直近の生乳需給について「牛乳の需要は弱く、金額ベースでは前年を超えた一方、数量ベースではまだ戻っていない。繰り返しの値上げにより(消費者に)値段が上がったという印象を持たれている。製品の価値を訴求し、数量を回復させることが重要な課題だ。半年や1年では難しいが、中期的に生乳需給改善に粘り強く取り組んでいく」と説明。商品開発力等の向上を通じ、生乳の付加価値を高めていく考えを示した。5月11日に都内の本社で開いた決算説明会の中での発言。


酪農乳業におけるカーボンニュートラル(温室効果ガス削減)の取り組みについては消費者理解を促進していくための前提条件になると指摘。「日本の酪農乳業がカーボンニュートラルに真摯に取り組んでいることを発信していく。世界的にも酪農における環境負荷低減への取り組みが進められており、将来的には日本でも生乳生産の中で実現できるよう、取り組んでいきたい」と述べた。

「牛乳事業の意義を強調」――雪メグ・佐藤雅代社長

2023-05-20

雪印メグミルク㈱が5月15日に開催した2023年3月期決算説明会の席上、牛乳の消費拡大について佐藤雅俊代表取締役社長は「業界として大きな課題だが、飲用として絶対的な量のある牛乳事業を縮小させては、我々が目指す酪農乳業の基盤強化には繋がらないと思っている」と牛乳事業の意義を改めて強調した。業界全体で消費拡大を進めていくとともに、同社が弘前大学と行っている産学連携の取り組み等を通じて、牛乳のさらなる価値向上を図っていく意向を示した。


また、生乳需給の安定に向けて国産チーズの消費拡大について言及。「成長分野として期待している」と述べた上で、振興支援の方法としてたびたび議論に上がるチーズ向け乳価について、佐藤社長は「生産者団体や行政と酪農基盤の強化と生乳需給の安定化に向け、膝を合わせてしっかり議論しながら最適なところを探っていきたい」と話した。

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