全酪新報/2023年8月20日号
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「経営悪化で初任牛の購買意欲減退」全酪連畜産主任者会議―― F1やETの生産増加

2023-08-20

全酪連は8月4日、札幌市内に会員農協の担当者を集めて2023年度北海道・都府県畜産主任者会議を開き、搾乳用素牛を巡る情勢について情報交換した。初妊牛価格は低下傾向で推移する一方、需給緩和を背景とした生乳生産抑制やコスト高などの影響を受けた厳しい経営環境から、購買意欲は減退している。それに対し担当者からは、現状はF1やETの生産が増加傾向との報告や、資源は前年度並みに確保できる等の報告が行われた。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

お断り=本記事は8月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「農林水産物輸出23年1~6月期上半期では過去最高額」――牛乳・乳製品は2割増、アイスクリーム等が伸長

2023-08-20

農水省は8月4日、2023年上半期の農林水産物・食品の輸出実績を公表した。1~6月累計での輸出額は前年同期比626億円、9.6%増の7144億円で、上半期では過去最高の実績を記録した。多くの地域で新型コロナの影響が緩和して外食向けが回復したこと、海外市場での競争環境の改善等により、品目全体的に輸出額は増えている。牛乳・乳製品もアジア地域を中心に輸出額は2割増で、特にアイスクリームその他氷菓が大きく伸長した。


23年上期の牛乳・乳製品の輸出額は168億8100万円で、前年同期比20.3%増。品目別でみると、LL牛乳は香港やシンガポール等に4%減の9億1600万円と下回った一方、育児用粉乳はベトナムを中心に5%増の70億8100万円、チーズは台湾を中心に6%増の8億8500万円と上回った。


また、最も伸長したアイスクリームその他氷菓は28%増の46億7千万円。台湾を筆頭に、中国、香港への輸出が多く、22年累計の65億円と比べると、23年上期時点で既にその3分の2を超えるなど非常に好調に推移している。


牛乳・乳製品を含む畜産物の輸出額は483億3600万円(17.3%増)。内訳をみると、牛肉261億8200万円(22.4%増)、鶏卵2973億円(24.4%減)、豚肉1272億円(18.0%増)、鶏肉1028億円(31.7%増)だった。


8月20日号記事2-グラフ

「農水省、不測時の食料安保検討へ初会合を開催」――年内取りまとめ

2023-08-20

農水省は8月8日、「不測時における食料安全保障に関する検討会」の初会合を開催した。近年の食料安全保障上のリスクの高まりを受けて農水省以外の関係省庁も含め、不測時に政府全体で対応するための横断的な体制整備を目的としたもの。基本的な対処方針や法令で新たに措置すべき事項等について検討及び整理する。今後は不測時における重要品目の供給確保に向けた対策、関係省庁の役割などについて議論し、年内に取りまとめを目指す。この日は「食料安全保障上のリスクの高まり」をテーマに、有識者からヒアリングを行い、整理した。


同日の定例会見で野村哲郎農相は、今後の議論の進め方について「どの品目でどの程度の量、どれぐらいの期間にわたり供給が減少した場合、政策的な対応が求められる影響が生じ得るのか検討しなければならない。また、どの段階でいかなる措置を取る必要があるのか、不測時に政府全体の意思決定を迅速に行う仕組みがどういうものがあるのか。農水省だけで決められる話ではなく、政府全体の仕組みとして組織化する必要があり、この政策に関する法律の検討も必要になる」と課題を示した。

「食料自給率、生産額ベース過去最低に」――資材高騰、円安進行等で

2023-08-20

農水省は8月7日、22年度の食料自給率等を公表した。カロリーベース自給率は21年度同の38%だった一方、生産額ベース自給率は5㌽低下の58%。国際的な穀物価格や飼料・肥料・燃油等の生産資材価格の上昇、物流費の高騰、円安の進行等を背景に輸入額が増加したことから、統計上で比較可能な1965年度以降で過去最低となった。


畜産物の自給率(重量ベース、概算値)を見ると、牛乳・乳製品は1㌽低下の62%。全国的な生産抑制の取組や例年以上の離農が影響したとみられる。このほか、牛肉(39%)と鶏肉(66%)は1㌽上昇。豚肉(49%)、鶏卵(97%)は前年度と同じ値だった。


現行の食料・農業・農村基本計画では、食料自給率は2030年度までにカロリーベースで45%、生産額ベースで75%まで引き上げることを目標に設定している。農水省は「現行の基本計画における目標と乖離している状況。目標達成に向け、飼料など自給率の低い品目をきちんと伸ばせるよう取り組む必要がある」としている。

「2022年度チーズ需給消費量減少も国産割合増加」――プロセスチーズ原料用で顕著

2023-08-20

農水省が7月19日に公表した22年度チーズ需給表(速報値)によると、昨年度のチーズ総消費量は33万5610㌧で前年度比5.3%減と3年連続で減少。輸入原料価格の上昇や食品全体の値上げに伴う消費減少等が影響したと思われる。一方、国産ナチュラルチーズは3年連続増で、総消費量に占める国産割合(ナチュラルチーズベース)は1.2%上昇の14.9%。また、プロセスチーズ原料用の国産割合は、国産の増加や輸入量の大幅減少により4%上昇の23.6%と顕著に伸びた。


チーズ総消費量のうち、輸入ナチュラルチーズの総量は7.1%減の25万6902㌧。うちプロセスチーズ原料用は14.8%減の7万5192㌧で、乳製品の国際相場の高騰や円安の進行等輸入原料価格の上昇などを背景に大幅に減少。さらにそのうち、関税割当内の数量は5万1118㌧(4.2%増)。プロセスチーズ原料用以外は3.5%減の18万1710㌧だった。


一方、国産ナチュラルチーズの生産量は4万6162㌧で、1.8%増と3年連続増。そのうち、プロセスチーズ原料用は7.9%増の2万3281㌧。輸入原料価格の高騰やホクレンの対策を背景に国産品の優位性が高まったと考えられる。一方、プロセスチーズ原料用以外は3.7%減の2万2881㌧だった。


これらから国産品と輸入品を合わせたナチュラルチーズ消費量は3.5%減の20万4591㌧と21年度を下回った。


また、プロセスチーズ消費量の内訳を見ると、国内生産量が7.7%減の12万2733㌧。輸入数量は輸入原料価格の高騰と食品全体の値上がりによる買い控えから12.3%減の8286㌧。全体では13万1019㌧で8%減と下回った。

「Jミルク、夏の消費拡大に向けて牛乳の半額券配布中」

2023-08-20

Jミルクは現在、こども食堂等を通して、牛乳を半額で購入できるクーポンを配布する取り組みを実施中。牛乳でスマイルプロジェクトの一環で、㈱イトーヨーカドー、認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの協力のもと実施し、学校給食のない夏休み期間も牛乳の消費拡大を推進する。


農水省による畜産・酪農緊急対策パッケージの「牛乳乳製品のインバウンド等消費拡大緊急対策」(ALIC事業、所要額9億800万円)を活用したもの。半額クーポンは全国のイトーヨーカドー店舗で9月3日まで利用可能。むすびえを通して申し込みのあった、こども食堂約180カ所から利用者に配布する。なお、冬休み期間も同様の取り組みを展開する方針。

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