全酪新報/2025年5月1日号
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「酪肉近の30年度生乳生産目標732万㌧達成へ関係者一丸で需要拡大、自民党畜酪委で実現へ方針確認」
自民党畜産・酪農対策委員会は4月23日、酪肉近のフォローアップとして、生産者団体がそれぞれ行っている牛乳・乳製品の需要拡大の取り組みに関するヒアリングを実施。酪肉近で設定した生乳生産量の30年度目標732万㌧の達成に向け、関係者一丸で需要拡大の取り組みを進めていくことを確認した。今後定期的に関係者からのヒアリングを行う。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

党本部で開かれた畜酪委
お断り=本記事は5月1日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。
「日米関税交渉をめぐり決議、農林水産品守る旨を明記」――自民党・合同会議
自民党食料安全保障強化本部、総合農林政策調査会、農林部会、水産総合調査会、水産部会は4月25日に党本部で開いた合同会議で、日米の関税交渉に対する決議案を提示し了承。『農林水産品を犠牲にすることにより国益を損なうことがあってはならない』などと明記した(決議文の詳細は次号)。会合で食料安全保障強化本部の森山𥙿本部長は「守るべきものは守るという姿勢を徹底し、我が国の食料安全保障のために戦っていかなければならない」と強調した。
同日夕方には取りまとめた決議を江藤拓農相へ手渡した。森山本部長は食料安全保障上極めて重要な問題であるとの認識を示し「今は改正食料・農業・農村基本法に基づき、日本の農業を大きく転換していくべき重要な時期。(交渉)内容によっては大変なことになってしまう。大臣には今回の決議を受け止め、党の考え方もご理解いただいた上で、交渉が国益を損なわず、食料安全保障がしっかりと守られる結論となるように、引き続き先頭に立って対応いただきたい」と要望。
江藤農相は「食料安全保障の確立へ、国内で食料の生産体制を築くことは国民のためであり、受益者は国民全体。数年前に我々は大変な努力をして日米間の合意にたどり着いた。このことは大変重いものと考えている。決して国内の生産基盤を傷つけるようなことがあってはならない。そういうことになれば農業者だけでなく、最終的には国民が困る」と述べ、あらためて農水大臣として職務を果たしていく姿勢を示した。

江藤農相へ決議文を手渡した
「大型連休を前に家畜防疫対策の徹底を呼びかけ」――農水省
人や物の往来が活発化する大型連休期間を前に、農水省は4月23日、家畜防疫対策の徹底に対する理解・協力を求める通知を消費・安全局長名で都道府県知事宛てに発出した。関係機関や団体等と連携し、農場への病原体の侵入防止や異状の早期発見の徹底、家畜伝染病の発生予防に関する旅行者等への注意喚起、疾病発生時の防疫措置に必要な体制等の確認・徹底を図るよう呼びかけている。
口蹄疫やアフリカ豚熱は近隣諸国やアジア地域で現在も流行が続いている。このうち口蹄疫は、2025年以降に清浄国だったドイツとハンガリー、スロバキアで発生しており、近隣の韓国でも今年3月に1年10カ月ぶりに牛の農場で発生が確認されている。
日本政府観光局によると、訪日外客数は24年に3600万人を超えて過去最多で、本年も増加傾向で推移する一方、口蹄疫等の発生地域からの入国者も多く、持込が禁止されている肉製品の摘発も増加している状況。一層の水際対策及び農場への病原体侵入防止対策の徹底が求められる。
「受託乳量前年度比0.2%増、北海道好調も都府県は減少」――中央酪農会議・24年度用途別販売実績
中央酪農会議は4月15日、24年度の用途別販売実績を取りまとめた。24年度の総受託乳量は682万8336㌧で前年度比0.2%増(閏年修正値、以下同)。直近の22~23年度は北海道と都府県ともに前年度比で大きく落ち込んでいたものの、24年度は全体では微増で、都府県は減少したものの北海道はプラスに転じた。
地域別でみると、北海道395万5974㌧で1.3%増、都府県は287万2361㌧で1.2%減。都府県を地域ごとでみると、東北45万1662㌧(1.8%減)、関東101万4982㌧(0.2%減)、北陸6万3911㌧(3.2%減)、東海28万5229㌧(2.5%減)、近畿13万6397㌧(1.3%減)、中国28万5476㌧(0.2%増)、四国9万9350㌧(3.1%減)、九州53万5354㌧(2.1%減)。23年度は全地域で下回ったが、24年度は中国のみ微増となった。
近年の受託乳量は、19年度は698万8934㌧で0.4%増、20年度は706万8205㌧で1.1%増、21年度は723万4672㌧で2.4%増。
新型コロナ禍前より関係者が一体で進めてきた生産基盤強化の取り組みにより、19~21年度は増産となっていた。
一方、22年度は707万8005㌧で2.2%減、23年度は683万1380㌧で3.5%減と一転。新型コロナやロシアによるウクライナ侵攻の影響によるコスト上昇等を背景に、酪農家の離農が急速に進行。需給緩和の解消へ業界が講じた生産抑制の取り組みもあり、22~23年度の受託乳量は大きく落ち込んだ。24年度は微増しているが、酪農家の離農は依然深刻な状況で、今後の生産基盤弱体化が懸念される。

「元大分県酪農協組合長の清末健一氏に旭日双光章」――25年春の勲章・褒章
農水省は4月29日付で25年春の叙勲・褒章の受章者を発令。酪農関係では、清末健一氏(元大分県酪農業協同組合代表理事組合長、72歳)が旭日双光章を受章した。清末氏はこれまで、全国酪農協会監事や日本ホルスタイン登録協会副会長、九州生乳販連副会長などを歴任。
このほか酪農関係では、千葉県館山市の酪農家の川名正幸氏(75歳、現㈲川名デーリィ代表取締役)が旭日単光章を受章。行政関係では、畜産部長等を歴任した本川一善氏(70歳、元農林水産事務次官)が瑞宝重光章、元牛乳乳製品課長の五十嵐太乙氏(71歳、元東北農政局長)が瑞宝中綬章を受章した。
伝達式は5月20日、農水省7階講堂で行う。
「6月は「牛乳月間」、今年は熱中症予防と乳和食がキーワード、理解促進活動に啓発ツールの活用も呼びかけ」――Jミルク
Jミルクは4月22日、6月1日の牛乳の日、6月の牛乳月間における取り組み方針などを示した文書を会員や賛助会員宛てに発出。理解促進活動に活用できる啓発ツールの提供を周知するとともに、期間中の活動の方向性として、今年度は特に運動後の牛乳飲用による「熱中症予防」、美味しく減塩できる「乳和食」をキーワードとした各地での取り組み強化へ協力を求める。合わせて作成した熱中症予防リーフレット(図)や乳和食の最新ツールデータの活用も呼びかけている。
熱中症予防リーフレットと、例年の「愛してミルク」のポスターなど印刷物配布の申込期限は5月7日。乳和食のリーフレット、土日ミルクのチラシ、牛乳に関する動画、愛してミルクの各種ロゴ等のデータは、JミルクHPよりダウンロードできる。
このほか期間中に実施するSNS企画、「ミルクでつながるありがとうの輪#ミルクのバトンリレー」、「『6月1日 World Milk Day』に世界とつながろう!」への参加・協力も呼びかけている。
