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全酪新報/2024年12月10号
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「全国の酪農家1万戸割る、都府県の離農特に深刻」――中酪・指定団体別出荷農家戸数調査
後継者不足や近年の飼料等生産コストの高騰など、経営環境の悪化により急激に減少してきた全国の酪農家戸数がついに1万戸を割った。中央酪農会議が12月2日に公表した指定団体別出荷農家戸数調査によると、10月時点の酪農家戸数は前年同月比から599戸、5.7%減少。全国的に離農が加速する中、特に都府県の離農率が非常に高く深刻な状況となっている。これ以上酪農家を減らさないための対策・支援を早急に講じる必要がある。-詳細は全酪新報にてご覧ください-
お断り=本記事は12月10日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。
「酪農家ら現場の窮状や課題を消費者に訴える」――有楽町駅前で牛乳配布も・中央酪農会議
酪農家戸数が1万戸割れとなったことを受け、中央酪農会議は12月2日、有楽町の東京交通会館で記者会見を開き、酪農家が直面している問題や厳しい酪農情勢、課題等を発信した。会見終了後には、会館前で酪農家がLL牛乳やチラシを道行く消費者へ配布し、危機的状況にある酪農の窮状を訴えた。
主催者あいさつで隈部洋副会長(全酪連会長)は、これまで複数回の乳価値上げを実施してきた一方、生産コストの高騰の影響は厳しく、受託農家戸数が19年度(約1万3千戸)から5年間で4分の1も減少したこと等を指摘。戸数や乳牛頭数の減少から、次年度期中には減産傾向へ転じていく見通しだと説明した上で「安定供給をどう実現していくのか、真剣に考えなければならない時期になっている。(本日の説明等を通じ)消費者の皆様に今後とも牛乳・乳製品を持続的な価格で購入いただき、飲んで食べて応援してもらえる気運を醸成していきたい」と述べた。
会合では、高水準で受託農家戸数が減少している背景や生乳需給の推移等について、中酪の菊池淳志専務が説明。また、北海道大学大学院農学研究院の小林国之准教授が、全国における酪農の経済情勢の推移等を解説した。
このうち小林准教授は、2020年以降の酪農危機について「機械等への投資により労働を節約して頭数を増やし、配合飼料も多給して1頭当たりの乳量を増やして収益を確保しようというこれまでのあり方が危機に直面している」と指摘。高コスト構造を背景に特に大規模経営ほど所得が悪化している現状、いま収支に問題が無い経営でも次の投資が困難な実態にあること等を説明するとともに、「酪農家と消費者とのコミュニケーションを推進する必要がある」と提起した。
当日は、浦薫さん(北海道・㈱ベイリッチランドファーム)、吉田英子さん(埼玉・吉田牧場)、沖正文さん(広島・トムミルクファーム)の3名の酪農家が登壇。現在は飼料や燃油に加え、機械等の価格も高騰していること、安定供給や地域循環も含めた地域社会における酪農の重要性、自給飼料や副産物の利用など立地条件に合った多様な生産性を持つ酪農業の再構築が必要といった意見を発信。酪農に対する理解を求めた。
酪農を取り巻く厳しい現状を記者団へ伝える吉田さん
交通会館前でLL牛乳やチラシを配布
「酪農の生産基盤強化を推進」――自民党、2025年度農林関係予算編成大綱案を提示
2025年度農林関係予算をめぐり、自民党総合農林政策調査会と農林部会は12月4日、党本部で合同会議を開き、予算編成大綱案を提示した。意見などを踏まえた最終案は幹部一任で了承した。このうち畜産・酪農については、国産飼料の生産と利用拡大や畜産・酪農の生産基盤強化等を推進していく方針としている。
冒頭、総合農林政策調査会の宮下一郎会長は「本日からいよいよ当初予算の議論が始まる。補正予算は皆様のお力もあり良い格好でスタートを切れたと思うが、最大の課題は当初予算。食料・農業・農村基本法の改正を受け、やるべきことがはっきりと見えてきた。これを農業構造転換集中対策期間の5年間でしっかりやりきり、転換することで次世代へつなぎ、農業を発展させていく。それに相応しい予算をまとめなければならない」と意気込みを語った。(右:宮下会長)
大綱案では「食料・農業・農村基本法の改正を踏まえた農業の構造転換の実現と農林業の持続可能な成長」を目標に設定。その実現へ▽食料安全保障の強化▽農業の持続的な発展▽農村の振興、多面的機能の発揮▽みどりの食料システム戦略による環境負荷低減に向けた取組強化――等6つの項目を掲げた。
酪農関連では、国産飼料の生産・利用拡大のほか、生産基盤強化の推進、家畜伝染性疾病の発生予防等を必要な事項として盛り込んだ。
「食料安全保障強化本部設置、関係予算の獲得・充実目指す」――自民党
自民党は12月4日、党本部で「食料安全保障強化本部」(本部長=森山𥙿幹事長)の初会合を開いた。同本部は党則79条に基づく総裁直轄の特別機関として設置。強化本部は年内に3回、来年1月以降4回程度開催する予定。食料安全保障の方針を示し、次期食料・農業・農村基本計画の策定と実効性確保に向けた予算確保へ議論を進めていく。(右:森山本部長)
冒頭、森山本部長は食料安全保障が現在の日本において極めて大事な政策課題だとして「食料安全保障の確立には、予算確保が重要」と強調。長年にわたり、農林水産関係予算の減額が続いてきたことについて言及した上で「よく協議し、予算を獲得していくことが大事だ」と語った。
会合では、関係予算の増額や施策の充実に向けた検討を関係団体と連携して進めていくことを確認した。