全酪新報/2018年1月10日号

「酪農ヘルパー要員減少、人手不足が深刻に」酪農ヘルパー全国協会が調査――人材確保が緊急課題

2018-01-10

酪農ヘルパー全国協会はこのほど、2017年8月1日現在の酪農ヘルパー利用組合の実態調査を取りまとめた。それによると、2016年度の利用農家1戸当たり平均利用日数は、22.44日で前年度比0.6日増加した。平均利用日数は年々増加傾向にあり、北海道・都府県ともに22日を超えた。一方、要員数は1910名で、前年度より85名減少。人手不足は深刻さを増し、人材確保が喫緊の課題になっている。

お断り=本記事は1月10日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「畜産クラスター、中山間地域に優先枠」――枝元生産局長「規模の大小問わない」

2018-01-10

農水省の枝元真徹生産局長は1月5日、中央畜産会が開いた新年賀詞交歓会で、年末に概算決定した2017年度補正予算の中の畜産クラスター事業について「国産チーズの振興枠を新設し、全体で665億円を講じることが決まった。また、土地条件に制約がある中山間地の中小規模の畜産農家が活用しやすいよう、中山間地に優先枠を設け、規模の大小を問わずに支援する」と述べた。


農水省は昨年11月、TPP、日EU・EPA対策として、総合的なTPP等関連政策大綱を改訂。国産チーズの競争力強化対策として、畜産クラスター事業の振興枠と合わせて新規で150億円を計上するなど、総額3170億円を確保した。

「乳協・宮原会長、需給調整機能の維持求める」――4月施行の改正蓄安法に言及

2018-01-10

日本乳業協会、Jミルクなど乳業関係13団体が1月9日に開いた合同新年賀詞交歓会の席上、日本乳業協会の宮原道夫会長(森永乳業社長)は、4月より施行される改正畜安法をめぐり「施行後も実態に即して改善を図り、指定団体の需給調整等の機能を実質的に維持するとともに、生産者間の公平性が確保され、生産者の皆さんが安心して生乳増産に努力いただけるような制度運営を期待している」と適正な制度運営を求めた。


また、宮原会長は昨年を振り返るなかで、北海道の生乳生産が昨年後半に約1年ぶりに回復した一方、都府県では生産減が続いている現状を指摘し、「業界も自主的な対策を講じていくが、国も推進中の政策の実効性の向上に加え、後継牛の確保を図るためにも前例にとらわれない、抜本的で効果的な対策の検討をお願いしたい」と述べた。


結びに、業界の発展に向けて宮原会長は「課題は山積しているが、将来をしっかりと見据えて方向性を探り、課題を一つずつ解決していくことで酪農乳業界の価値をもう一段高めていこうではないか」と呼びかけた。

「交雑牛枝肉相場が軟調」――スモール肥育素牛、頭数不足で保合か

2018-01-10

昨年の牛枝肉相場は、前年実績を下回って推移した。乳用種由来の枝肉(交雑種=F1去勢・雌牛、乳用種去勢牛)も軟調となった。12月は最需要期で相場が上昇したものの、年明け後は上げ要因が乏しい。当面、弱もちあいで推移するものと予想される。


枝肉相場の高値が続いたことから、輸入牛肉や豚肉へ需要がシフトし、国産牛肉の引き合いが弱まった。米国の飼養頭数増により、国産牛肉と競合する冷蔵(チルド)品の輸入量が大きく増えている。


牛全体の全国出荷頭数が前年を下回っているが、交雑種は酪農家での黒毛和種交配率の上昇により増加し、牛肉生産を下支えしている。その交雑種の相場がとくに軟調となっている。2017年11月の東京食肉市場における交雑種去勢牛の平均枝肉価格(税込、以下同じ)は、B3が1433円(前年同月比13.5%・223円安)、B2が1175円(同19.8%・290円安)となった。


1~11月の平均価格は、B3で前年同期比10.7%、B2で同16.3%下がった。等級による価格差が拡大し、1頭当たり販売高に15万円近くの大きな差が生じている。


乳用種去勢牛の枝肉価格は、一昨年後半から前年を下回っている。さらに、1~11月の平均価格はB3で前年同期比3.2%、B2で同2.9%下がった。


なお、和牛ではA5はそれほど下がっていないものの、A4以下は5月から下落。等級間及び同一等級内でも品質による価格差が大きい状況が続いている。


一方、肥育素畜(スモール・肥育素牛)価格の推移をみると、北海道の家畜市場平均で交雑種雄スモールは前年を上回っていたが、枝肉相場に連動して下降した。乳用種雄スモールは前年を下回っていたが、9月以降は上回った。1~11月の取引頭数合計は、交雑種雄が前年同期比4.5%減、乳用種雄は同5.6%減となっている。


肥育素牛は、全国の家畜市場平均価格で交雑種去勢子牛はスモールと同様の動きだった。乳用種去勢子牛は前年を下回っていたが、7月からじり高となった。1~11月の取引頭数合計は、交雑種去勢が前年同期比9.0%減、乳用種去勢は11.4%減。枝肉相場が軟調だったが、スモール、素牛とも頭数の減少により依然として高値圏にある。


肥育農家は枝肉安と素畜高のダブルパンチである。肉用牛肥育経営安定特別対策事業(牛マルキン)が乳用種は一昨年7月販売分、交雑種は昨年2月販売分から連続での発動。収益性の悪化で、経営継続が厳しさを増している。


焼き肉などの「肉ブーム」は続いている。だが、消費者の低価格志向は強い。豚肉、鶏肉の販売は好調が続いている。農水省の「食品価格動向調査」によると、昨年後半の国産牛肉(冷蔵ロース)の全国平均小売価格は、前年に比べて下がっていない。消費拡大には値下げが求められる。


農畜産業振興機構は2017年10月~2018年3月の全国と畜頭数について、交雑種は前年同期比4%増、乳用種は同4%減、和牛は同0.3%増、全体で同0.3%増と見込んでいる。これから需要が弱まる時期となるため、相場は弱もちあいの見通し。


交雑種・乳用種雄の出生頭数は、乳用牛飼養頭数の減少に加え、性判別精液や和牛受精卵などの活用で増加が見込めない。今年前半のスモール・肥育素牛価格は、出回り頭数の不足が続くとみられることから、昨年後半の相場のもちあいと予想される。


牛肉生産量(部分肉ベース)は35万㌧前後で推移していたが、2016年度は32万㌧に減少。自給率(カロリーベース)は40%から38%に低下した。生産量の約55%を乳用種由来牛肉が占めている。交雑種は高品質、乳用種は低価格の国産牛肉として重要な位置にある。生産量を維持するために、乳用後継牛の確保による素畜の安定供給が必要となっている。

「F1交配34%、高水準続く」――性判別利用は右肩上がり

2018-01-10

日本家畜人工授精師協会と乳用牛群検定全国協議会は12月25日、2017年7~9月期の乳用種への黒毛和種の交配状況を取りまとめた。それによると、全国の平均交配率は34.4%(前期比1.1㌽増、前年同期比1.1ポイント減)と高い水準が続いている。また、性判別精液の割合は12.9%(前期比0.7ポイン増、前年同期比3.1ポイント増)で、右肩上がりで上昇している。


交配率を地域別に見ると、北海道は22.5%(前期比、前年同期比とも0.7ポイント増)と非常に高い。一方、都府県は48.6%(前期比1.6ポイント増、前年同期比3.2ポイント減)だった。

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