全酪新報/2019年9月1日号

「酪農家後押しする生産数量目標が必要」酪肉近・畜産部会――生乳流通関係者から意見聴取

2019-09-01

5年ごとに見直す新たな「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」(酪肉近)の策定に向け、農水省は8月21日に都内で食料・農業・農村政策審議会畜産部会の第4回目となる会合を開き、指定団体や乳業団体など生乳流通に関わる関係者を中心にヒアリングを実施した。10年後の生産目標数量の設定は、生産者側から達成可能かつ前向きで酪農家の生産意欲を後押しする数量設定を求める意見が上がった一方、乳業関係者からは前回水準以上の数量設定を望む声があった。このほか、改正畜安法の効果検証や運用改善、同法施行に端を発する部分委託等の問題をふまえた指定団体機能の重要性とその維持、需給緩和時の出口対策や都府県基盤強化への支援を求める意見が上がった。

お断り=本記事は9月1日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「乳業者が生産目標数量800万㌧を提示」――増産時の所得低下に懸念する意見も

2019-09-01

8月21日の畜産部会では、次期酪肉近で掲げる10年後の生産目標数量をめぐり、日本乳業協会の西尾啓治会長は意見の中で「800万㌧程度」という前回水準以上の数量を提示。それに対し、生産者側や委員から「実現可能な数量設定」を求む意見に加え、増産時の所得低下に対する懸念、800万㌧という数量設定の根拠を問う声などが挙がった。チーズ市場の伸長や堅調が続く牛乳など、着実に牛乳・乳製品の需要は増大しつつあるなか、国産品に対するニーズも高い。一方、生産面では北海道が好調に推移するも、増産に向けては都府県の生乳生産基盤の強化が課題となっている。


生産目標800万㌧の設定に対し、ホクレンの瀧澤義一副会長は「所得低下や増産時の投資コストの回収ができる所得が得られるかが経営者たちの最大の心配事だ」とし、生産量の増産分を北海道酪農が担うことによるリスクに懸念を示した。


一方、九州生乳販連の隈部洋会長は増産目標自体には理解を示しつつも「仮に都府県が350万㌧、北海道が450万㌧ならば、肌感覚で達成は無理だと思う」とし、改めて現実的な目標数量の設定を求めた。


また、委員からの意見のうち、小野寺俊幸臨時委員(北海道農業協同組合中央会副会長)は「増産には大規模化や家族経営向けなど多様な支援が必須だ」と述べ、特に家族経営に対する支援の充実を求めるとともに、需給緩和時における出口対策の必要性も強調。金井健臨時委員(JA全中常務)は「乳業サイドから意欲的な提示がされたのは感謝すべきこと」とした上で、西尾会長へ目標数量設定の根拠となる考えを尋ねた。


一連の質問・意見を踏まえ、西尾会長は「乳業としては、過去20年の間に減少してきた140万㌧の半分を10年で増産したい」と述べた上で、現在の液状乳製品や直消用ナチュラルチーズの伸長などをふまえ「生産意欲の喚起や回復時の国産乳製品への需要回帰・増加に配慮し、前回水準以上の800万㌧が適切だ」との考えを示した。


需給緩和時への対応としては、活用しきれていないチーズ製造設備等があることから「増産時の加工は可能」との考えを示した上で「魅力的な商品開発にもかかってくるが、需要拡大に対する乳業者の意欲は旺盛だ」との認識を示した。

「日米貿易交渉、大枠合意」――9月末の協定署名目指す

2019-09-01

日米両政府はこのほど、早期の成果達成に向けて協議を進めていた日米貿易交渉について大枠で合意した。今後は9月末の協定の署名を目指し、残された作業を加速させる方向で一致した。同交渉の成果に対し、TPP・日EU・日米TAG等経済協定対策本部の森山裕会長は、自民党が8月27日に開いた会合の中で「昨年9月の日米首脳会談で合意したことはしっかり守れた交渉になっているのではないかと思う。33品目のTPPワイド枠のところも崩れていないと基本的に認識している」と述べている一方、TPP枠として設けられた枠数量以上の乳製品が入ってくるのではないかとの懸念も強く、合意内容の詳細も含めて同交渉の動向には注視していく必要がある。

「自民党・TAG、TPP枠への追加に懸念」――政府側は共同声明の遵守強調

2019-09-01

自民党は8月20日、このほど大枠合意した日米貿易交渉をめぐり、協議の進捗状況等について政府側から報告を受けた。昨年9月の「過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限」とする日米共同声明に沿って交渉が進められてきたが、重要品目において措置されたTPP枠に加えて『米国枠』が追加されるとの見方もあり、会合でも議員から追加枠を懸念する声が多く上がった。一方で、政府側としては共同声明に沿って交渉を進めていく考えを改めて強調した。


これまで6回に亘り閣僚会合が行われてきた同交渉は、5月末の日米首脳会談以降から実務者による協議、8月13~14日にも事務レベル協議を実施。農産品や工業品について専門的、技術的な見地から議論し、21~22日に開催した閣僚会合に向けた論点整理を進めた。


20日の会合の中でTAGの進捗状況等について報告した澁谷和久内閣官房政策調整統括官によると、TPP12協定において米国を含む参加国全体で関税割当の枠数量を決めた品目は乳製品を含む33品目(全て重要品目)。一方で、現状について「TPPと全く同じ対応を同交渉で行うことは難しく、米国の理解を求めているところだが、牛肉、乳製品はいずれも米国の関心が非常に高い品目で非常に難航している」として、予断を許さない状況にあると説明した。


また会合では、米国枠の追加によりTPP以上の譲許とならないよう求める意見が上がり、澁谷政策調整統括官は「国内対策も含め、許容可能な枠数量がTPPと日EU・EPAを足したもの。それをさらに超えることは出来ないと米国側には強く主張している」との意向を再度主張した。

「20年度農林関係予算、要求額確保へ重点事項議論」――経営継続への支援不可欠

2019-09-01

自民党が8月23日に開いた会合では、来年度の農林関係予算概算要求に向けて重点事項案について議論。酪農関連では、畜産・酪農の競争力強化として省力化に資する先端技術の導入への支援などが盛り込まれたが、会合に出席した議員からは、家族経営において経営発展だけでなく、経営継続ができるよう支援の充実を求める声も上がった。


農水省が提示した来年度予算における重点事項は、輸出力強化をはじめ、先進技術の導入及び環境整備、畜産・酪農の競争力強化など7つが柱。酪農関係では、離農予定の農家の施設を家族経営を始めとする担い手へ継承する取組への支援などを盛り込んだ。


施策に対する農水省の説明後、議員からは▽輸出のさらなる強化▽地方空港における防疫対策の強化▽中山間地域への支援――等への一層の対策を求める声が上がるとともに、家族経営の「発展」だけでなく、「継続」に焦点を置いた施策が必要との意見もあった。


必要な予算の確保に向け、会合に出席した農水省の小里泰弘副大臣は「現場の声を大事にしながら、令和最初の概算要求にふさわしい充実した予算にしていきたい」と述べた。

「ホクレンが創立100周年」――内田会長「理解醸成が国際貿易の影響防ぐ」

2019-09-01

ホクレンが創立100周年を期して8月7日に都内で行った記者説明会の中で、同会の内田和幸会長はTPP11協定など進展する国際化について触れ、「いずれにしても、消費者の皆さんに国産は大事で美味しいと実感してもらえるよう、生産者団体としてもしっかり取り組んでいかなければならない。そのことが最も貿易の自由化を防ぐことに繋がる」と国産農畜産物、国内農業に対する理解醸成活動の重要性を指摘。乳製品でも一部を除き関税が削減されることから影響をふまえ、現在協議中の米国とのTAG交渉も含め、今後の動向に注視していく考えを強調した。


また、内田会長は今年4月より放映中のNHKの連続テレビ小説「なつぞら」について言及。「今では農業者も減少してきているが、ああいう番組を観ることで酪農をやってみたいと思うきっかけになる」とその効果に期待感を示した。

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