全酪新報/2020年3月10日号

「都府県酪農の回復が最重要」――畜産部会が新酪肉近策定へ骨子案示す

2020-03-10

農水省は2月28日、都内で第11回畜産部会を開催し、新たな酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針(酪肉近)と家畜改良増殖目標、家畜排せつ物の利用の促進を図るための基本方針の骨子案を公表した。次期酪肉近の骨子案では、総論として基盤強化と次世代継承を柱とした中で、酪農は、持続可能な酪農の構築や都府県酪農の回復等を最重点課題であると明記。さらに、新補給制度の運用で課題となっている「いいとこ取り」について、「安定供給という制度趣旨に反する」と記載した。なお、地域別の生産数量目標など数値目標等は3月中旬開催される畜産部会で公表する見通し。

今回示された骨子案の中の総論においては、①関係者一丸となった一層の基盤強化②災害や家畜疾病の対策等、次世代に継承できる持続的な生産基盤の創造――を基本方針の柱と明記。酪農関連では、安定供給と国内需要への対応に向け、北海道の持続的な成長や都府県の生産回復、持続可能な酪農経営の展開を最重点課題とした。


また、酪農において喫緊の課題である都府県基盤強化など生産基盤強化において、対応方向として▽関係者一体となった都府県基盤強化の推進と、既存牛舎の活用による地域での増頭の推進▽飼養管理の向上や供用期間の延長等の推進による生産量の増加と生産コスト削減の実現▽省力化や外部化による労働負担の軽減や、ヘルパー・コントラクター等の外部支援組織の育成等の推進の必要性▽後継者のいない生産者の持つ経営資源の次世代への計画的な継承――などの内容を記載。


説明の中で農水省は都府県酪農基盤について、「強化が最大の課題であることは我々としても共通の認識を持っており、このことについては全体を通じ記載させていただきたい」と述べ、今回の骨子案において都府県基盤強化の重要性と方向性を示したことを強調した。


基盤強化に向けた具体策としては、都府県基盤強化を目的に空き牛舎の活用を推奨する成牛120頭以下の家族経営を含む中小規模経営への増頭奨励金の活用などを整理した。


また、新補給金制度の運用において問題となっている「いいとこ取り」については、「生乳の消費者への安定供給という制度趣旨に反する」と明記。その上で契約順守や法令順守に対する意識啓発や指定団体機能の重要性について記述した。


このほか、家畜排せつ物の利用促進や、国産飼料基盤強化、災害対応や、国内の家畜防疫についても、項目を整理している。


なお、地域別の需要の長期見通しや生産数量目標などの数値目標については、基本計画を基に現在検討中で、次回の部会で示される。

お断り=本記事は3月10日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「酪農乳業に深刻な影響、早急な対応策検討を」――新型肺炎で委員がコメント

2020-03-10

現在、感染拡大の防止と収束が喫緊の課題である新型コロナウイルスでは、安倍晋三首相の全国の小・中・高等学校及び特別支援学校への休校の呼びかけから、学乳の提供が停止するなど、酪農・乳業においても深刻な問題となっている。2月28日の食料・農業・農村政策審議会畜産部会(三輪泰史部会長)においても、委員からは一斉休校による生乳などの需要減少を懸念する意見や、情報収集や生産者への支援など早急な対応を求める声もあった。そのほか、需要減少の解決に向けて農相のコメントが不可欠だとする声も上がった。


今回の新型コロナウイルスの畜産への影響について三輪部会長((株)日本総合研究所創発戦略センターエクスパート)は今回の一斉休校に関連して安倍首相から『政府として責任をもって対応する』旨の発言が上がったことを踏まえ、農水省へ短期・中長期における影響への情報収集や実態把握と、農家や関連事業者への適切かつ迅速な対策を求めた。


さらに、三輪部会長は今回の学乳供給停止について、「本来使われるはずだった生乳がだぶつかないよう、家庭や子供の消費促進など、農相から一言があるだけでも効果は違う。最終的な損失の補填や中長期的な需給も重要だが、まずは現在の状況が、乳がだぶついて廃棄処理されたことなどかつてのネガティブなことにならないよう、現行の法やルール、制度の中でできることを検討すべきだ」と強く訴えた。


三輪部会長の意見を受け、牛乳乳製品課の水野秀信課長は今回の休校期間の継続と、それによる需給への影響を「注視すべき問題」と強調。その上で「我々としてもいろいろなことを想定しながら、意見交換も踏まえ、対応策を検討していく」と回答した。

「酪肉近、記述修正求める意見相次ぐ」――改正畜安法は問題点明記を

2020-03-10

3月中旬に本文案の公表が予定されている次期酪肉近の策定に向け、農水省は都内で第11回畜産部会を開き、酪肉近などの骨子案を説明。その後は委員と農水省との意見交換が実施され、委員からは国際化の進展に対する対応や安定的な後継牛確保体制の構築など、記述の修正を求める声が相次いだ。改正畜安法関連では、関係団体からは問題点を明記する必要性を求める意見があった一方、一部の委員からは経営判断として有効であるとの声も上がった。


金井健臨時委員(JA全中常務)は指定団体の重要性を強調したうえで、「二股出荷により合理化が困難となっている状況や、年度を超えた生乳の安定取引に向けた検討なども記載していただきたい」と求めた。


また、欠席した小野寺俊幸臨時委員(北農中副会長)と西尾啓治臨時委員(日本乳業協会会長)は書面で意見を提示。小野寺委員は、生乳需給安定対策に関して現行の酪肉近の内容と記述に変更がないことを指摘し、新型コロナウイルスの発生も踏まえ「生産者団体と乳業者団体の連携や、仕組みの構築に向けた国の対策方針について具体的に記載すべき」と求めたほか、二股出荷や年度ごとの出荷先変更がコスト上昇要因となることを強調した。


西尾委員は、初妊牛価格が高値で推移する一方で、F1交配率が高まっているため、乳雌子牛生産頭数が最低水準だった2016年度より20年度は落ち込む可能性を指摘し「再び生産量が低下する恐れがある」と自家育成等による安定的な後継牛確保体制の位置づけを求めた。


一方で、須藤泰人臨時委員(㈲ロマンチックデーリィファーム代表取締役)は、二股出荷に関し「特に大規模などが販売チャネルを複数持つことは、多様な消費者ニーズを加味しても大切な経営判断になる。複数販売を図ることが今後の後継者の選択の幅を拡げる上でも重要」との見方を示した。

「酪政連新委員長に佐藤哲氏」――中小家族経営対策求め運動

2020-03-10

酪政連は3月4日、東京・代々木の酪農会館で20年度通常総会(新型肺炎の感染拡大により、書面議決)と中央常任委員会を開催。任期満了に伴う役員改選では、新委員長に佐藤哲副委員長兼会計責任者(北海道)を選任した。また、新たに木本栄一監事(埼玉県)が新副委員長に、坂本保事務局長が幹事長に就任。草場哲治副委員長(福岡県)、柴田輝男副委員長(秋田県)、朝日修副委員長(岐阜県)は再任された。会計責任者は草場副委員長が務める。笛田健一幹事長は退任した。


就任に当たり、佐藤新委員長は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、学校給食が停止している。このまま放置すると、大混乱に陥る。酪農家と乳業メーカーに負担がかからないようにする必要があり、まず初めにそのことに取り組まなければならない」と述べた。


その上で「脱粉がかなり余ってきている中、加工に仕向けるとさらに余ってしまう可能性がある。政府・与党と話し合いたい。これだけ混乱している中で、改正畜安法が生乳需給の安定にどれだけ貢献するか。今こそ真価が問われている」との考えを示した。


また、佐藤新委員長は「酪政連は中小家族経営を元気付けるために運動している。家族経営が残らなければ、地域社会が崩壊してしまう。中小家族経営への対策をどうするかが我々酪政連の仕事であり、事業の使い勝手を良くする必要もある。また、全国的に鳥獣被害が相当深刻化している。今まで以上に対策を求めていきたい」と述べた。

「酪政連、2020年度の運動方針示す」――学乳停止の損害等要請も

2020-03-10

酪政連が3月4日に開いた通常総会では、役員改選のほか、2019年度収支決算・2020年度運動方針などを原案通り全て承認した。引き続き中小規模・家族経営の永続的な発展を求めて運動を展開する。また、新型コロナウイルスの感染を防止するため、それに対する緊急支援要請も決定。政府が決めた全国の小・中学校、高校などの一斉休校要請による学校給食の停止の影響で生乳需給が緩和している状況を踏まえ、配乳変更に要する運送費、学乳向けを加工原料乳向けに処理した場合の乳価の補填、廃棄乳が発生した場合の補償を自民党農林幹部議員や農水省に要請した。


20年度の運動方針については、重点政策として指定団体機能の維持・新たな補給金制度の適正な運用、酪農ヘルパー事業の充実、家畜排せつ物処理施設の整備・補修支援対策、生産基盤強化対策の拡充、鳥獣被害の縮減、台風・大雨による被害の最小化と復興支援対策――などを求める。


また、税制関連では、軽油引取税の免税措置恒久化、集送乳車に対する免税措置、不動産取得税の軽減、相続税・贈与税の軽減措置の拡充――などの改正を要望する。


そのほか、規約に顧問の任期を2年とし、役員改選時に選任する条文を追加することを承認した。

「農水省、食料品の在庫は十分」――牛乳・乳製品の消費も呼びかけ

2020-03-10

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、農水省は1月30日に対策本部を設置。3月9日までに7回の対策本部会合を開いている。4日の会合の冒頭、江藤拓農相は「一時的に品薄の商品があるが、在庫は十分にある。冷静な購買を改めてお願いしたい」と食料が不足していないことを強調した。また、農水省はホームページ上で「国民の皆様へ」として、学校給食の休止による影響を踏まえ、牛乳・乳製品の消費を呼び掛けている。


江藤農相は3月3日の閣議後の定例会見の中で、小・中学校、高校などの一斉休校による学校給食用牛乳への影響について「(生産された生乳が)牛乳に仕向けられなくなり、加工原料乳に仕向けることになる。全国連や指定団体、乳業メーカーから話を聞いたところ、処理能力は十二分にあり、行き場を失うことはないだろう」と説明したが、加工原料乳として処理することにより、乳価下落が懸念されるため「まだ方向性は示すことはできないが、影響が長期化することを含めて検討しなければならない」との見解を示した。


農水省のホームページでは、牛乳・乳製品の急激な需要減少が懸念されていることから、生産者を支え、自身や家族の健康のためにも牛乳やヨーグルトの消費に協力を求めるメッセージのほか、食品を介して感染したとされる報告はないことや卒業式や送別会シーズンにあるが、中止・縮小される場合でもお祝いとして家庭で高品質な国産牛肉の消費を呼び掛けている。

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