乳滴/2021年9月20日号
異例の飲用最需要期

例年、9月の飲用最需要期は、需給ひっ迫で対応に追われてきた。ところが、今年は様変わり。異例の緩和傾向だ。昨年はスーパー等に牛乳の特売自粛や出荷数量の制限を依頼する地域も出て、北海道からの生乳移出で何とか乗り切った。新型コロナの影響で生乳需要の半分を占める業務用の需要が回復しないのが、最大の要因。学乳の減少と不順天候が追い打ちをかけている。昨年は、3月に小中高校が臨時休校。その遅れを取り戻すため、夏休みが短縮され学乳も増えた。一方、今年は新型コロナの第5波の拡大により、夏休みの延長や分散登校等で学乳が停止される地域があり影響が出ている。
加えて8月の前線停滞による豪雨災害、長雨がひどかった。9月こそはと残暑を期待していたが、予想外の天候となっている。例えば、大消費地の東京と北海道(札幌市)の最高気温を比較してみた。札幌の方が東京より高かった日が8月は6日間。9月は10日まで見ると、何と8日間もある。これでは飲用消費に影響が出ないはずがない。
その反面、乳牛の暑熱ダメージは少なく、生乳生産は関東、北海道をはじめ全国的に伸びている。乳製品の過剰在庫問題がなければ本来は喜ばしいことだ。今後、不需要期に向けて心配が募るばかりである。