乳滴/2022年2月20日号
気力がなえないように

現在(2020年の出生数84万人)の3倍以上、年間約270万人もの子どもが生まれた1947~49年。いわゆる団塊世代(約806万人)が、いよいよ75歳を迎え始めた。その前後1年を加えた5年間では、約1265万人。圧倒されるほどの大きな人口階層である。
高齢者の医療の確保に関する法律では、75歳以上を後期高齢者と定義しているが、75歳以降も現役で仕事を続けている農業者はたくさんいる。
その一方、体(健康)がしんどくなった。(仕事に)限界が見えた。後継者がいないとなれば、先祖伝来の農地・経営を守るために、まずは代わりに耕してくれる人や、農地を購入してくれる人を探さなくてはいけない。
最近、米価の大幅な値下がりで、自家用米等だけは作るが、販売用は止めたという話を聞く。低米価が止める一つのきっかけに。要は気力がなえたということである。
人口階層のピラミッドが高齢期に膨らみをもった縦に細長い形となっている。当然、酪農業の就農者も例外ではない。経営規模が大型化し、酪農家戸数が激減してきた日本酪農だが、その発展を支えてきた中心世代の高齢化は進んでいる。
この現役世代が次の世代に引き継ごうという気力(魅力)がなければ産業としての発展は望めないのではないか。