乳滴/2022年3月10日号
酪農経営は非常事態

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻。雪が舞う中、子どもを必死で抱きかかえて隣国に非難するお母さんやおばあさんのニュース映像。ウクライナの人口約4160万人。現時点で200万人以上が避難民として家族と離れ離れになるなどの苦境にあり、日々その数は増えている。
今回の戦争は世界を揺るがした。両国は原油・天然ガス、小麦やトウモロコシの世界有数の輸出国。
新型コロナ禍で長期間、打撃を受けている酪農乳業界にとっても緊急事態だ。更なる生産コスト高が襲う。シカゴの先物相場を見ると苦しさを覚える。トウモロコシは3月3日に1ブッシェル7.5125㌦と7.5㌦を突破した。史上最高値は、米国が半世紀ぶりの干ばつに襲われた平成20年7月の8.2875㌦。また、原油(WTI)も一時1バレル130㌦を突破。史上最高値は、平成20年の147㌦だ。
相場であるから上振れするものだが、適正水準に落ち着くまでには、ウクライナ情勢やロシアに対する経済制裁の行方など不透明なことが多すぎる。いずれにしても新型コロナ禍に加え、今回の戦争と自助努力でカバーできないコストは、価格転嫁しないと酪農経営は持続できなくなる。需給と経営悪化、舵取りを誤ってはならない。