乳滴/2022年4月1日号
今こそ〝所得〟対策を

生産資材が急激に上昇し、酪農経営が苦境にある。わが国の酪農政策では、加工原料乳生産者補給金制度(畜産経営安定法)により、加工原料乳地帯(北海道)の生乳の再生産を確保するため生産者補給金、集送乳調整金が交付される。都道府県の飲用乳価も、それにより需給や価格が下支えされるとの説明がなされてきた。
また、加工原料乳価は低落時には、農畜産業振興機構の事業(ナラシ事業)として、生産者の拠出と国の助成金で、補てん基準価格(全国の直近3年間の平均取引価格)を下回った場合、生産者に補てん金(差額の8割)が交付される。農産物全体(任意加入)の経営安定対策としては、収入保険もある。
ただし、ナラシ対策や収入保険は、収入の低下時の対策である。本会が過去の政策提言の際に訴えてきた柱は、収入の低下対策だけでなく、例えば配合飼料価格安定制度だけでは支えきれない、コスト増加による「所得の低下を支える政策・対策」がなければ、飲用乳地帯は耐え切れない場合が出るということだ。
まさしく現状がそうだ。本来ならば、交渉によって生産コスト増加が反映された飲用乳価にならなければならないが、そこに乳製品需給が大きな重しとなっている。生産現場の困窮は増すばかりだ。