乳滴/2022年5月10日号
経験のない酪農危機に

生産資材が軒並み高騰する中で、「7~9月期も配合飼料価格は、さらに1㌧当たり9千円前後の大幅な値上げの情勢にある」と前号で三井物産の瀧本昌平氏(畜産事業室室長補佐)の講演内容を一部報じた。4月20日のJミルクセミナーだが、主催者が酪農情勢に強い危機感を持ち開催したものだ。
「平成の酪農危機」と言われた2007~08年の配合飼料高騰時と比べても、現状は新型コロナ禍にロシアのウクライナ侵攻、円安などの国際情勢が加わり、先行きが見通せない。経験したことのないレベルの「令和の酪農危機」が酪農生産現場を襲っている。
瀧本氏と講演会後に連絡をとった際に「(値上げ幅の見通しを明らかにするかは)悩みましたが、厳しい情勢は早く伝えた方が誠実ではないかとギリギリの話をしました。(私達は上げ幅が縮小するように)出来る努力をするだけです」と述べた。
その上で「講演の本旨は価格ではなく、どうすれば日本の酪農・畜産を守っていけるか。そればかり考えています。今、ここで絶対に日本の酪農、地域酪農の灯りを消すわけにはいきません。ぜひ、一緒に考え行動を共にさせてください。道は必ずあることを信じています」と語った。同志、仲間、友を求めたいと強い気持ちを示された。