乳滴/2022年5月20日号
国防は食料確保から

G7首脳会議(5月8日、テレビ会議)は「ロシア産石油の段階的な輸入停止または輸入禁止措置をとる」旨の声明を発表。この会議で岸田首相も「我が国には大変厳しい決断ではあるがG7の結束が重要な時であり、ロシア産石油を原則禁輸とする」と説明した。独自の主張により武力侵攻を続けるロシアに対し、民主主義勢力は経済遮断で対抗、というのがそのねらいだ。経産省の直近の統計では日本の原油輸入量に占めるロシア産の割合は3.6%だが、物品の値上げが相次ぐ中で、今後の燃料価格への影響が心配だ。何しろ日本は資源のほとんどを海外に依存している。
ところで今回の事象をきっかけに国の防衛の在り方の議論が高まる気配を感じる。最新兵器の解説、ロシアの軍事パレードの報道等は、見る者の心に不安感を惹き起こす。
しかし、農業に軸足を置く身として言いたいのは、ここはまず、食料自給率向上による防衛力強化が最優先ではないか。
G7構成国を食料自給率(カロリーベース)の順に並べると、カナダ266%、米132%、仏125%、独86%、英65%、伊60%、日本37%。日本の食料自給率の低さが際立っている。各国とも自分達の胃袋はある程度自力で満たす努力をした上で、対ロ制裁を語っているのだ。