乳滴/2022年7月20日号
シワ寄せは私達にも

ロシアのウクライナ侵攻が止まらない。国連食糧農業機関(FAO)が、戦争によるウクライナ農業への影響について次のようにまとめている。
▽動物用医薬品・飼料・飼料添加物など家畜の健康維持に必要な物資の不足。▽小規模畜産農家は家畜を自ら屠畜等処理し、自家消費したり地元で販売できる分、企業的経営と比べるとややマシな状況ではあるが、後継家畜の導入がなければ、いずれ家畜が枯渇する懸念がある。▽インフラや倉庫への攻撃で保管設備が破壊され、家畜の死骸、乳製品が腐敗し環境問題に発展しつつある―――など。
戦時下であっても、そこで暮らす人々の食糧は必要で、そのためにも農地を維持し家畜を養わねばならない。FAOではウクライナの農業政策・食料省の協力の下、各地の農家に対して種イモ、小麦・大麦・ソバ種子の配布、畜産農家に飼料・飼料添加物等を提供することで戦時下の食糧供給を支援している。
しかしこれら支援はいずれも当座の生活をしのぐものにすぎず、一刻も早く戦争が終わり、安定的な社会経済の営みが回復されなければならない。
戦争と、関連する経済制裁で実質的なダメージを受け、疲弊するのは結局、当該国を含む世界中の一般市民、ということを感じている。