乳滴/2022年8月20日号
市町村段階でも要請を

期中値上げ決定は「ありがたいと思うものの(生産コスト急騰は)カバーできない」のが生産現場の現状だ。生産者側としては関東等の15円の要求どころか、20円以上の生産コスト増加も踏まえて交渉を続けてきた。しかし、交渉を引き延ばせば、年明けに長引き、製品価格改定は新年度になる恐れもあったというから、苦渋の難交渉だったことが分かる。
そのため政府・国会、地方自治体への支援を要請。県単事業の支援は大半の県で措置されることになった。しかし、市町村段階では支援がまとまったところは少ないのではないか。
そうした中、関東地域のある町では町内の畜産農家(法人も含む)に対して、乳牛1頭1万円、肉用牛同3千円を支援する補正予算を先頃、可決した。市町村となると予算上の制限、地域性等の様々な諸事情が見えるわけで、難しさはある。まずは畜産農家がまとまり要望を重ねていくことから始まるのではないか。
今回の10円の期中改定は、飲用向けとはっ酵乳向けであり、加工原料乳向けや、協議中の学乳向けは改定されない。その割合の分、酪農家の手取り段階の収入となるプール乳価は10円から低下する。11月まで「待てない」「持たない」という声も聞こえる。過去最大の酪農危機である。