乳滴/2022年9月10日号
需給の危機を目の前に

11月からの飲用・発酵乳向けの10円値上げだけでは、生産費暴騰をカバーできないことから、政府・与党による畜産・酪農の緊急対策は不可欠だ。22年度予算の予備費活用による9月の緊急対策から22年度第2次補正予算案、23年度畜産物価格・政策、23年度予算案の決定に向けて要請を継続したい。
加えて地方自治体による支援対策、生産者団体・組合等による組合員への対策だ。さらに23年度の生産者乳価交渉が控える。何としても経営継続の道を確保しなければならない。
一方、もう一つの難題がある。地方紙の見出しに「牛乳、冬に値上げ 生乳卸価格、11月に大幅上昇 需要減や廃棄を懸念」(北國新聞8月13日)とあった。夏休みが終わり、学乳が再開された。生乳の最需要期である9月とその後の10月は、この問題が表面化することはないが、11月以降の不需要期は、すぐそこにある危機だ。
過去最大級の乳製品在庫を抱え、置き換え対策等の出口対策が進められている。乳価値上げが生産者の要求より2カ月遅れた分、議論されている消費拡大対策、そして入口対策である生乳生産対策も早めの対応が必要ではないか。苦境にある生産者に突然、追い込まれての追加対策が示されるのであってはならない。