乳滴/2022年10月1日号
11月からの値上げ前に

11月からの牛乳等の小売価格値上げが迫ってきた。購入数量(消費)が減少しないか、非常に心配だ。飼料高騰による平成の酪農危機の際には、生産者乳価の引き上げ(08年4月から3円、09年3月から10円の再値上げ)にともない、牛乳の小売価格も値上げされた。牛乳消費が約1割減少するなど、飲用牛乳向け処理量全体では、09年度4.4%減、10年度2.6%減と影響が出た。
昨年11月の牛乳等向け処理量は約32.4万㌧であり、例年月間30万㌧余りが仕向けられている。仮に5%減少の影響が出れば月に約1.5万㌧を新たに乳製品向け等に処理しなければならない。
すでに過去最大の乳製品在庫を抱えている厳しい状況にあるが、乳製品工場の処理能力の問題も生じてくる。と畜場の処理能力の問題もある。いずれにしても今回の「令和の酪農危機」は、前回を上回る未曽有の危機にある。危機的な酪農経営状況に加えて、処理不可能乳の発生など需給の混乱があってはならない。
まず、牛乳乳製品の需要拡大など、一人一人が可能なことは何でもやらなければならない。農水省が飲用不需要期に備えて業界の垣根を越えた消費拡大の取り組み「牛乳でスマイルプロジェクト」を実施中だが、もっと多くの企業・団体の参加が必要だ。