乳滴/2023年1月10日号
需給の〝潮目〟変わるか

乳製品の過剰在庫対策が課題なのは、今年も変わりないが、需給の゛潮目゛が変わってほしいと願う。ただし、今後も変動要因が多いため、一時的かどうかの判断は難しいところだ。
農水省の12月26日公表の牛乳乳製品統計では、最大の課題である脱脂粉乳は、昨年11月末の在庫が前年同月比5%(4517㌧)減の8万5768㌧。前月比では6カ月連続減少し、ピーク時5月の10万3895㌧と比べれば、17.4%(1万8127㌧)減少した。
また、同様にバターも前年同月比12.2%(4693㌧)減の3万3925㌧。ピーク時の4万㌧台から減少が続く。
いわゆる出口対策(9月まで飼料向け転用など、計3万5千㌧の在庫低減対策)に加え、入口対策の北海道の更なる生産抑制対策(来年度生産目標2.2%減)や都府県の低能力牛の早期選抜など生乳生産量の抑制効果が現われる。
新型コロナ禍の規制がなくなり、業務用需要や訪日外国人数も伸び始めた。今後の変動要因は、生活防衛意識がますます強まる消費者の値上げ後の牛乳乳製品に対する購買の減少幅と需要拡大対策の効果。新年は物価高騰、景気悪化懸念が予想されるからだ。
酪農家は需給が改善され、乳価の再値上げを待ち望んでいる。