乳滴/2023年2月20日号
適正な「価格転嫁」を
物価の優等生と言われてきた「卵」が鳥インフルエンザの流行や生産資材高騰で、価格が上昇するだけでなく、卵使用商品の供給・販売にまで影響を及ぼしている。大手コンビニにおいて一部商品の販売休止や、道内の大手製菓メーカーでも鶏卵原料不足に伴う商品の一部販売の休止を余儀なくされている。
異例なことである。
同様に優等生とされる、もやし業界、酪農・乳業界も生産資材高騰にあえいでいる。牛乳は他の食品に比べて長期間値上げ幅が少なく、その陰には生産コスト削減への酪農家の努力が続いていた。
スーパー等の販売店では、購入頻度の高い牛乳は来店を促す欠かせない商品だ。目玉商品にもされてきた歴史がある。
しかし、生乳供給を担ってきた酪農家は、今回の生産者乳価の値上げによっても、生産コストの上昇をカバーできず、転廃業が増加している。
農水省は新年度予算でフランスの価格転嫁制度等や適正取引推進に関する調査を実施するとしている。要望として従来の生産費調査とは別に、一刻も早く国内酪農家の直近の生産費調査と適切に反映した価格形成について調査と対応策、消費者理解醸成を実施してもらたい。現状は再生産のための生産費を適正に反映した価格形成とは言えない状況にある。