乳滴/2023年7月1日号
農家の精神福祉

6月10日号で紹介した米国ファームエイドのサイトで「農家のメンタルヘルスに注目」との記事を見つけた。ファームエイドでは、相談相手が必要な農家(またはそのような農家を知っている人)向けの相談用電話を設け支援している。国は違うが農村に暮らす者としては頷く部分もあり以下に引用したい。
――農家の仕事は天候、作況、取引価格といった経営外の要因に大きく左右されることが多く、しかもこれらは前触れなしで変動する。農家はひとりで働くことが多く、何か問題が起こった時は誰かに相談する前に、独力で解決しようと試みることに慣れている。非常に働き者が多く、自分の健康管理よりも仕事を片付けることを優先しがちである。ストレスというものは都市生活者のもので、農村生活者には無関係と農家自身が思いがち。ストレスとかメンタルヘルスの問題が起こった時、農家は自分が悪いのだ、と思い込みやすい。農家は、いつか家族伝来の農地や家畜を失うことになるかも、という重圧のなかで働いている――。
記事では続けて、農務省にはメンタルヘルス対策予算(年間1千万㌦)があり、ファームエイドはその支援も受けながら農家、農村生活者を支援していることを紹介している。見習うことの多い国ではある。