乳滴/2023年8月10日号
ケルベロスとカロン

猛暑続くが、異常なのは日本のみでなく地球規模の問題だ。7月に欧州南部を襲った熱波はケルベロス、カロンと命名された。
台風、ハリケーン、サイクロンには世界の気象観測部局が連携し都度名前
を付けて警戒を共有しているが、最近は熱波に名前をつける動きがある。「7月10日に欧州南部に張り出した高気圧ケルベロス、その後続いた高気圧カロンはギリシャ、スペイン、イタリアに45度C以上の記録的高温をもたらした」
(アルジャジーラ電子版、7月20日)。東洋人にはピンと来ないが、いずれもギリシャ神話に登場する冥土の番犬と冥土の河の渡し守のことで、ともに「あの世」を連想する名であり、生命の危険を感じさせる熱波だったことがうかがえる。
世界気象機関(WMO)は「温暖化が進む中で異常気象は顕著になりつつあり、人の健康、経済、農業に大きな影響を与える」(タラス事務局長、7月18日)としており、温室効果ガス排出削減など温暖化対策が急務であるとした。
カナダ北部の山火事は温暖化により前例のない規模に広がり、既に1千万㌶超が焼け煙は米国、欧州に及んでいる。7月20日号2面の粗飼料情報に牧草の乾燥具合にまで影響が出ているとあったが、影響の広がりが心配だ。