乳滴/2023年10月1日号
値下げも飼料高止まり
2度にわたる生産者乳価の引き上げにも関わらず、「(比較的小規模の酪農経営だけでなく)最近は、比較的大型経営の廃業も出始めた」と関西以西のある酪農協の職員が依然、厳しい現状を説明した。
配合飼料価格は別掲の通り、10~12期は3期連続の値下げとなる。確かに、その通りではあるのだが、本年1年間の値下げ幅の合計は7700円(全畜種総平均)に過ぎず、例えば22年7~9月期の過去最大の値上げ幅1万1400円に遠く及ばない。近年10年間を見ても配合飼料(工場渡価格)は、1㌧6万円台で推移してきたが、農水省の直近データ(7月)では、9万7602円と高止まり。高止まり状況は、実質ほとんど変わっていない。
20年3月以降のコロナ禍後の同年9月に直近の最安値(6万5638円)を付けて以降、価格が急騰。22年2月のウクライナ情勢により、さらに暴騰した。
配合飼料の主原料トウモロコシ相場はせっかく一段下落したものの、コロナ禍前の19年に1㌦110円台だった為替が150円台を伺う急激な円安。下落幅を相殺しているばかりか、輸入飼料価格の暴騰に歯止めがかからない。生産費を見る際にも平均値ばかりではなく、せめて多数が該当する中央値でも見てほしい。