乳滴/2023年10月20日号
1割弱中止の異常事態
酪農家の経営中止が直近4カ年(19~22年度)と比べて、1.4~1.9倍もの大幅に増加し、歯止めがからない。引き続き緊急の経営安定対策が必要だ。
中央酪農会議が公表している指定団体別(沖縄県を含む)出荷農家戸数(直近公表数値)によると、23年度に入っても4~8月の5カ月間、全国で264戸(北海道100戸、都府県164戸)の酪農家が残念ながら経営を中止した。
8月末時点の生乳出荷戸数は、全国で前年度同期比7.3%(842戸)減の1万645戸となった。北海道が5.1%(247戸)減の4558戸、都府県が8.9%(595戸)減の6087戸と都府県の減少幅が大きい。しかも都府県9地域(沖縄を含む)のうち、5地域では前年同期と比べて1割弱減少という異常事態である。
従来、酪農家の経営中止の理由としては、「経営転換」「高齢化・後継者問題」「経営者の事故・病気・死亡」「将来への不安・負債問題」などであった。現状は、経営環境が悪く、将来展望が見えない等の経済問題が酪農離脱を加速させている。
「息子に継がせるには、あまりにも経営環境が厳しすぎる」との声を聞くが、あえて酪農に飛び込んでくる若者もいる。一刻も早くトンネルを抜け出したい。