乳滴/2023年11月10日号
都府県酪農の縮小防げ
1970年代に全国の生乳生産量の7割以上のシェアを占めていた都府県が、初めて北海道に逆転されたのは、13年前の2010年。その差は年々拡大し、北海道が年間生産量で約100万㌧近く(22年度約97万㌧)上回るまでになった。
22年度の北海道の生乳生産量が約425万㌧で比率は56.5%。都府県が約327万㌧で同43.5%である。気候や農地の確保に適した北海道で経営規模拡大が進む一方、都府県は都市化の進行、小規模な酪農家の急激な離農などから1992年をピークに減少傾向で推移してきた。
その影響により、都府県の季節的な需給ギャップが年々拡大し、需給調整や加工処理が大きな課題になってきた。都府県の中でも東日本と西日本における需給格差も生じている。
一方、畜産統計から酪農家戸数をみると、10年は北海道が7650戸(35%)、都府県が1万4050戸(65%)。その後、本年は、北海道が5380戸(43%)、都府県が7240戸(57%)と戸数でもシェアが接近している。毎月公表している指定団体出荷農家戸数では、北海道よりも都府県の酪農経営の中止率・戸数が多く、近い将来戸数でも逆転がありうる状況だ。
両地域のバランスのとれた酪農発展が必要だ。