乳滴/2024年1月20日号
都府県酪農の重要性
都府県酪農が年々、縮小を続けてきたが、本会は北海道酪農にとっても、また、消費者に牛乳を今後も安定的に供給するためにも「都府県酪農の生産基盤の維持」が必要だと訴えてきた。併せて各地域の土地条件等を生かした家族型経営と近年、急速に生産シェアを伸ばしている大規模経営とのバランスのとれた発展が日本酪農には重要だと指摘してきた。
昨年12月26日の畜産経済研究会において、北海道大学の清水池義治准教授が「北海道酪農は都府県酪農と比べて大規模であり、生乳生産量の拡大も続いているが、都府県酪農なしで(わが国の)牛乳乳製品の需要は充足できない」との試算を基にした研究報告を行った。加えて▽経営の大規模化で進む生産面での飼料価格高騰等の変化に対する脆弱性▽(北海道からの生乳の移出)を行う物流は現状維持ですら容易ではない――との課題を挙げ、「日本全体として北海道への依存を意図的に高める選択肢は持続可能ではない」と述べた。
「需要充足と物流の観点からだけでも都府県酪農の存在意義は明確だ」とし、人口の大半が居住する都府県で賞味期限が短い特性のある牛乳を製造する合理性や酪農への理解醸成、中山間地の農地活用等、「都府県酪農が担うべき役割への期待は大きい」と述べた。